突然ですが、みなさんは転職における「成功した!」の基準はなんだと思いますか?
年収があがった。キャリアアップを実現できた。確かにこれらは成功といえるのかもしれません。しかし、それは転職の目的が「年収をあげる」「キャリアアップをする」だった人に限られます。
「転職をして、年収をあげよう!キャリアアップを実現しよう!」
転職サイトのこんな煽りをよく見かけます。
転職する理由の1つとして、年収やキャリアアップは重要な要素であるため、転職を魅力的に見せたり、その機会を強調したりすることがあります。しかし、人の幸福とは「お金」と「キャリア」だけではないはずです。
収入は増えたけど趣味につかえる自由時間がなくなった、キャリアアップできたけど残業が増えて家族時間が少なくなった、こんな話はよく聞きます。
本当に必要なのは、転職が本当に自分の目指すものに近づくための手段であるか、自分の意志に基づいて判断することです。他人や広告に流されるのではなく、自分の価値観で決断することが大事だと思うわけです。
───なぜ、こんなつまらない話をしているのか。それは本記事の私の結論に関係しているからです。
結論が遅くなり申し訳ございません。私が考える転職における「成功」の基準、それは『"幸福のバランス"が最適化されたかどうか?』です。
転職の目的は「自分が幸福になること」であることを前提とし、その幸福になる方法のひとつに、年収やキャリアアップなどの要素があるに過ぎないといった考え方です。
この記事では、自分が今どういうバランスであるかを理解もせずに転職したとしても、幸福のバランスが崩れ、結果的に不幸になってしまう可能性があるのではないかということを主張します。
"幸福のバランス"とは何か。
"幸福のバランス"は私の造語です。多分そんな言葉はありません。ですので、そのイメージだけを伝えます。
あなたには幸福ポイントが100ポイントあります。それをあなたの幸福項目に配分してみてください。もちろん、幸福項目は人によって異なります。一例として私が作成した項目とその配分を共有します。
今のバランス
・自由時間:30% 😆
・家族時間:40% 😆
・お金 :20% 🤔
・キャリア:10% 🤔
項目を増やしすぎても複雑化するので、とりあえずはこんなところでしょうか。
今は結構幸せですね。
・いつも定時帰りなので自由時間が多く、趣味や副業にかける時間が十分にある。
・妻はいるけど子供はいない、妻との仲は最高で、毎日の晩ご飯は私が作っている。
・お金には困っていないし、物欲が強い方でもないしブランドものにも興味がない。
・会社でキャリア伸ばそうとは思わないし、今の仕事にも役職にも不満はない。
・貯金も投資もできているし、とり急ぎ給料を増やさなくても困ることもない。
で、転職したら多分こうなるのかなと思うわけです。
転職後のバランス(予想)
・自由時間:20% 😔
・家族時間:20% 😵
・お金 :30% 😆
・キャリア:30% 😆
うーん。パッと見、これは嫌ですね。
・趣味(ゲーム)の時間は確実に減りそう。記事なんて書いてるヒマあるのか?
・残業が増えれば家族時間も少なくなるだろうし、ご飯も作ってあげられなくなる。
・お金は貰えるかもしれないけど、別に金銭的な問題で困ってるワケじゃないし。
・今よりは活躍できそうな気はするけど、プレッシャーとか苦手だしストレスが。
このように、今の"幸福のバランス"と比べたときに、年収があがったりキャリアアップを実現できたとしても「転職が成功した」とは言えないんじゃないかなーと思ったわけです。
少なくとも、私はこれだとそんなに幸せじゃないかもと思いますし、妻もきっと一緒にいる時間が長くなる方を選んでくれるだろうと思っています。多分。
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どうでしょう。自分の"幸福のバランス"を理解することが結構大切なことだと思えてきたのではないでしょうか。むしろ、これを理解していないと、転職したときに「幸福ガチャというヤバい運ゲー」を強いられることになるかもしれません。
そういうわけで、私は転職を成功させたいのであれば、まずは自分の"幸福のバランス"を理解すべきだと考えています。
必要なのは、今の自分に満足できているかを問うこと。そして、何をしたら幸福のバランスをよくすることができるのか考えることです。幸福を配分するコツは誰と比べないことです。全部主観でいいんです。だってあなたの幸せですから。
100ポイント以上は増やせない
念のために書いておきますが、幸福の100ポイントは120ポイントや200ポイントに増やすことができません。これは絶対です。「ザコが、俺は時間もお金もキャリアも100ポイント(計300P)手に入れるぜ!」なんて人が出てくるかもしれませんが、そういう話ではないので落ち着いてください。
100ポイントしかないのは前提です。それをどこに配分するかという話です。
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この類の話をするとき、私はいつもドラえもんの秘密道具「いいとこ選択しボード」を思い出します。
ドラえもん40巻「顔か力かIQか」:小学館てんとう虫コミックス 藤子F不二雄
この秘密道具は、自分の「ルックス」「パワー」「頭脳」の値を操作できる道具です。ただし、総合値が決まってるため、すべてを MAX にはすることはできません。ルックスをあげればパワーや頭脳がさがり、パワーをあげればルックスや頭脳がさがります。
のび太はIQを普通にして、うんとかっこよくなった。すこし走るだけで息が切れ、ノートが重い。パワーが極端に落ちている。
かっこよくなったのび太は、ジャイ子から「変装してからかわれた…」と勘違いをされてしまう。それを聞いたジャイアンが「ゆるせねえ!みんなでのび太をつかまえろ。非常線をはるんだ!」と命令した。
みんなに追いつめられたのび太は「顔も頭もどうでもいい!パワー全開!」とボードを変更。「ドカ!ボカ!バキ!」と、全員を蹴散らすことができた。
───この物語が伝えたいことは、さきほどお話した”幸福のバランス”と同じだと思っています。100ポイントをどこに割り振るかの重要さと、その危険性についてです。
夜になってものび太が帰ってこないのでドラえもんが町を探し回った。ドラえもんが「おーい、のび太やーい。」と叫んでいるかたわら、まったく異なった顔をしたのび太が「ここはどこ?ぼくはだれ?」とさまよっていた。
ドラえもん40巻「顔か力かIQか」:小学館てんとう虫コミックス 藤子F不二雄
こんなオチで物語が終わります。
現実ではここまで極端なことにはならないと思いますが、100ポイントをどう割り振るべきなのか?というお話において、これ以上いい例え話を私は知りません。(ドラえもんはいつも大切なことを教えてくれる。)
大切なものを見逃さないで
以前こんな記事を書きました。
誰もが一度は「唯一無二の何者か」になりたいと願ったことがあるはずです。そして、今は誰でも何にでもなれる時代です。たった1日あれば、動画配信者やブロガーになれるし、フリーランスとして働くこともできます。自分自身のコンテンツを作ることは容易であり、すぐに仲間を見つけることもできます。つまり、「時間がある」ということは、これらのことを成功させる「可能性がある」ということです。
(…)
一見、このチャレンジはバカが騙されているだけにも見えますが、そうではありません。それは大いに意味のあるチャレンジです。失敗しても、「あぁ、私は彼らとは違うんだ」と納得できれば、将来「あのときチャレンジしておけば…」と後悔することもありませんし、そういう世界に少しでも足を踏み入れられたのなら、それは一生ものの経験になるでしょう。やってみることが大事なのです。未来に後悔を残さないためにも、彼らは時間を使うのです。
出典:Qiita. “「出世」とか「キャリアアップ」が今の若者に響かない理由”(2023/6/21) - https://qiita.com/haihaikazuma/items/102bd68ae84fa4ed3e7c
実は、私もつい最近までなんとなく「転職したら年収上がるんやろ?」とか「キャリアってやつが上がるんやろ?」と、メリットばかりに気を取られていました。しかし、いざ自分が転職することを考えたときに、(当たり前ですが)デメリットもあることを知ったのです。
環境が変わるということは、生活にも大きな変化をもたらします。
自由時間が少なくなると、自分が本当にしたかったこともできずに後悔するかもしれません。年をとってから「そういえばあんなこともチャレンジしたかったな」と後悔するのはごめんです。
家族と過ごす時間が減るかもしれません。仕事と家族、どちらが重要なのかは言うまでもありません。言うまでもありませんがあえて言います。一生のつきあいとなる家族に決まっています。
お金がないと家族を支えられないかもしれませんが、古来から"妻"という生き物は「貧乏でもいいから一緒にいたかった」と思う人が多いと聞きます。まして、それは年を取ってから言われるらしいです。
ほかにも、"幸福のバランス"となる項目候補はいくつかあります。
・友人
・健康
・学び・成長
・心の平穏(ストレス)
どれも大切なもので、人によってはそれを一番に優先したいものもあるでしょう。
・友人はときに、家族にも相談できないことを相談する相手にもなります。
・誰も健康を犠牲にしてまで頑張りたいとは思わないでしょう。
・学びや成長のない人生はつまらないのかもしれません。
・ストレスは心身の健康を蝕む根本の要因となります。
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───ということで、「転職はメリットしかないからやったもん勝ち。」と安易に考えるのは危険ということと、しっかりと自分の"幸福のバランス"(価値観)に向き合うことが大切だという主張でした。
繰り返しになりますが、転職は"幸福のバランス"を最適化する手段の1つであり、転職によって『”幸福のバランス”が最適化された』ときに、はじめて「転職成功!」と言えるのではないかと思います。
今年私がやったことと、感じたことはそんなところです。
以上です。