本記事の内容は、次の通りです。
- 作業者を選べるなら、指示に従わない無能を雇うメリットはない。
- 評価を上げるための鉄則は「指示されたことを正確にする」こと。
最近、Webライターというものに興味を持ち、クラウドソーシングで Web ライティング(記事執筆)のお仕事を探しています。
私は自分が書けそうなテーマで募集されている執筆案件に応募するのですが、依頼者であるクライアント側は「応募してきた数人の中から、誰にお願いするのか決める」必要があります。そこで、一般的にはテストライティングという方法で候補者を評価し、作業者を決めます。
テストライティングについてざっくり説明すると、「まずは簡単な記事を書いてみてください。それを見て採用するか判断します。」というものです。で、私は今まで、このテストライティングでは「ライティング能力を見られているんだ!」と思っていましたが、これがどうもそれだけではないようです…
先日、私が応募したとある案件で、テストライティングで「指示されたことを正確にできるか」を確認しているクライアント様がいましたので、今日はそのお話をしたいと思います。
真に求められていたもの
つい先日のことです。応募したライティング案件で、こんなテストライティングをしてきました。
『腕時計に興味がある人に向けて、指定したお店の紹介をしてください。フォーマットと構成はご用意しますので、見本に従って記載してください。』
テストライティングあるあるの「簡単な記事を作ってください」系のテストです。記事の構成も指定いただいていて、確かこんな感じでした。
・指定されたお店の名前
・基本情報
・紹介文
・実績
・口コミ
自分で作文するのは「紹介文」だけで、約500文字程度でしょうか。どんなサービスがあって、その強みは何か、利用しやすそうなポイントなどを自分の言葉で書かなければいけません。
「さて、500文字しかないのも逆に大変だな。短い文章でいかに心を掴む文章が書けるか…そこが勝負な気がするな。」
「よしよし、なかなかいい記事が書けたんじゃないか?じゃあ、あとは見本の通りに書いてっと。実績は3件ほどでいいのか?まぁいいか。」
「OK!じゃあ送信や!」
特に手こずることもなく完成しました。この日はふるさと納税で届いた明太子と一緒にビールを飲みましたかね。これくらい楽勝だと、ご機嫌で晩酌してました。
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で、次の日ですよ。
!!! 検収不合格 !!!
コメントには次のような修正依頼が…
・『基本情報』項目のフォーマットが違います。修正してください。
・『実績』項目のフォーマットが違います。修正してください。
・『口コミ』項目のフォーマットが違います。修正してください。
「ぇ…?フォーマット…?見本通りに書いたんやけど、指定あったっけ、ぇ!詳細ファイル…?あ…」
実は、このテストでは魅力的な文章を書けるかではなく「言われたことがしっかりできるか」を見られていたのです。ライティング以外の部分、つまり、基本情報、実績、口コミに罠があり、検収時のレビューもそこを重点的に確認していたのです。
それを裏付けるように、私が一番力を入れていた『紹介文』については何一つ触れられていませんでした。そう、「修正がなかった」というよりも、そもそも重要視していないという感じで。
「詳細の資料は読みましたか?」
基本情報などの調査系の作業には細かい記載ルールがあり、それはテストライティングの依頼時にしっかり説明されていました。では、なぜ私がそれを見なかったのか。それは、事前に見本が渡されており、それだけを参考に作成したためです。
つまり、「見本があるから、とりあえずその通りに書くかー。なんかそれっぽいの書けたから詳細は見なくてもいいやー。」ということです。
ちなみに、詳細には次のようなことが書かれていました。(一例)
・基本情報欄はすべて記載してください。不明点は「<情報なし>」と記載すること。参考URLのカッコは半角()を利用してください。項目の区切りは[:]でお願いします、見本では[,]となっておりますがこれは誤りです。
・口コミは、評価4以上のもののみ、3件分を載せてください。口コミは必ずコピペで張り付けてください。不要な改行や誤字があったとしても整形はしません。また、口コミユーザーの詳細な情報(ハンドルネーム、性別、年齢)があれば記載してください。
・実績は必ず5つ記載すること、フォーマットは次の通りですので、フォーマットの通りに記載してください。<見本とは違うフォーマット>
ちなみに、「見本にはこう書いてあるけど、それは違うのでこう書いてください」とも記載がありました。「見本は、ワザと違うフォーマットにしていたんだろうな」と思っています。
で、私ですが、なんもフォーマットを守れていませんでしたとも。だって詳細読んでないんですから。もういただいたコメントもやんわり指摘なんてもんじゃありません。「詳細にはこう書かれてたと思いますけど、なんでこの書き方なんですか?」と「ちゃんと指示読みましたか?」と言われて、もう恥ずかしいやら情けないやらで平謝りでした。
「やっちまった…」
気が付いた時にはすでに遅し、クライアントから「こいつは指示を正確に読むことができない」とレッテルを張られてしまったのです。ひさびさに本業以外で冷や汗をかきました。
それは新入社員に求められるもの
でも、よく考えたら「言われたことを正確にする」って社会人になったときに一番最初に教えられるものです。そして、それは一番大事なことなので私も意識してきたはずです。
それなのに今回、与えられた仕事に対して自分の都合のいいように(今回でいうと、ある程度見本の通りに作成さえすればいいし、紹介文の部分が評価されるはずだと)解釈してしまい、間違ったものを納品してしまうなんて…きっと先方もガッカリされたのでしょうね。
もちろん、ライティング案件もお断りされてしまいましたよそりゃそうです、依頼内容に対して出てきたものは全然違ったものだったのですから。
なぜ、そんな初歩的なこともできなかったのか…たんに面倒だったのか、習慣づいていなかったのか…理由はどうであれ、社会人としてこれだけは身に着けておかねばと、改めて感じたできごとでした。
そういえば、最近は会社でも「日報のその他項目に何も書いてない」とか「作業実績も毎日更新するのは面倒だから週末にまとめてつけるとか」いろいろサボってるなー…。私が慣れてきたからといって、今も「言われたことを正確しているか」を評価されているのは変わりません。改めて、引き締めていこうと思いました。
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評価というものは『積み上げ方式』です。つまり、最初は0であって、小さい信頼を積みあげて100にしなければなりません。急に100になることもありませんし、最初から100あって、それが減点されていくわけでもありません。
また、評価はコンボによって上昇率が上がります、2回連続で期待に応えることで「前回もOKで、今回もOKか、あいつ信用できる奴かもな」となります。逆に、1回でも信頼を失うと、その失敗を取り戻すのは難しいです。「あいつ、前回は失敗してるからな、今回成功してるけど、引き続き用心しておくか」となります。上司も仕事なのでシビアな目で見てきます。
これが「指示されたことを正確にする」人が評価される───あるいは、最低限のことだけをやっておけばある程度は生き残れる───理由です。
評価がクソ高い人ほど、普段の業務の中で指示されたことを正確にしているものです。もちろん、これは仕事に限った話ではありません。「あいつ、デスクの掃除するって言ってたのにやってないやん」「日報が前日のコピペやん、面倒くさがってるな」「また、勤怠押し忘れてるのか…いい加減注意するか」などなど…我々は人の失敗や怠惰が目につくようになっているため、些細なことでも注意を払う必要があるのです。
そろそろ、新入社員の方も今の職場に慣れてきたことでしょう。その変化はとても良いことだと思います。ただし、私のように「気を抜く」のはあまり良くないかもしれませんね。なんせ、マイナスが付けられるのはこれからなんですから。
以上です。
おまけ:「余計なことをしない」のも大事
指示に従わないのも問題ですが、指示以外のことをするのも、また問題です。
開発エンジニアなら、共感してくれる人が多いと思うのですが、開発者の思いや熱意だけで「機能を追加したくなる」病のことです。『開発者が「あったら便利なんじゃないかな」と思って追加した機能でも、お客様にとって不要な機能であれば、その開発は行うべきではない!』というお話ですね。