そういえば、一つ前の記事で紹介したガイドについてです。
今回紹介する学習教材は、最初からOSSとして公開する前提で作ったものではありませんでした。
エンタープライズ環境でGitHubを使い始める方の学習を支援するために、「導入初期に迷いやすいポイント」を整理していたところ、公開できる形にまとまってきたので、OSSとして切り出して公開することにしました。
※本教材は公開情報と一般化したパターンをもとに整理しています。特定組織の設定値や運用ルールなど、非公開情報は含めていません。
エンタープライズでGitHubを導入する局面では、特にセキュリティ/統制/運用の観点で「学習の入口」が詰まりやすい印象があります。
典型的なのが、「GitHubを使い始めたいが、どこから学べばいいのかわからない」という状態です。
公式ドキュメントは非常によく整備されています。
ただ、英語中心で情報量も多く、しかも機能単位で整理されているため、初学者が「今の自分に必要な順番」を掴みにくいことがあります。
つまずきやすいのは、知識量そのものというより「次に何を学ぶかを決める手がかりがない」ことだと思っています。
何が問題だったのか:情報はあるのに、行動に落ちない
GitHubの情報は世の中にたくさんあります。
それでも導入初期につまずきやすいのは、次のようなズレがあるからだと思っています。
- ドキュメントは「機能」単位で整理されている
- 実際の利用では「やりたいこと」に沿って複数機能を横断して使う
- 役割(開発者/レビュアー/管理者)によって必要な情報が違う
- 初学者は「情報がない」より「最初の一歩が決められない」で止まる
特にエンタープライズ環境では、使う人数が増えるほど管理は複雑になります。
権限・統制・運用の前提が整わないまま走り出すと、後で手戻りが大きくなりがちです。
そのため、「まずどこから学ぶべきか」を示せる形に整理すること自体が重要だと考えました。
「学習パス(3本)」で迷わないようにする
最初にやめたのは、「機能を網羅する」ことです。
網羅しようとすると、結局また情報量が増えて、初学者が迷います。
そこで方針を切り替えて、**次に何を学ぶか迷わないための"学習パス"**を作りました。
現在は、以下の3本のルートに整理しています。
- Quick Start(60分):全体像を掴み、次のステップを選べる状態にする
- Security / GHAS(90分):セキュリティ統制の型と、GHAS主要機能を説明できる状態にする
-
Admin / Operations(120分):Enterprise設定やポリシーを適切に構成できる状態にする
この教材の特徴は、日々の開発フロー全般を網羅することではなく、導入初期から運用で必要になる基盤・統制の論点を中心にしている点です。
(開発者向けのユースケースは、反響や要望を見ながら段階的に拡充していく予定です)
作成した教材について(67ファイル + 公開サイト)
今回公開した教材は、次のような形になっています。
- 4モジュール構成の学習教材
- 全体で約67ファイル
- Markdownベースで管理
- MkDocsを使って静的サイトとして公開
公開サイトはこちらです。
OSSとして公開しており、誰でも参照・フォーク・改変が可能です。
特定の企業や環境に依存する記述にならないよう、内容はできるだけ汎用化しています。
なぜOSSとして公開したのか
この教材は、特定の組織向けの手順書を公開したかったわけではありません。
狙いは、公開情報と一般化したパターンをベースに、「初学者が自走できる学習の道筋」を再利用可能な形で残すことです。
さらに、公開することで次のようなメリットがあると考えました。
- 第三者の視点で改善点が見つかる
- 読者の疑問が集まり、教材の品質が上がる
- 同じ課題を持つ人が再利用できる
- 知見が個人に閉じず、コミュニティに蓄積される
結果として、教材を「完成品」ではなく「育てるもの」として扱えるようになります。
使ってみて分かったこと:完璧より、更新可能性
公開してみて改めて感じたのは、「最初から完璧な教材を作る必要はない」ということです。
実際に使われて初めて、分かりにくい箇所や不足が見えてきます。
そこで直す。更新する。
この繰り返しが、教材の価値を高めていきます。
現在も内容は継続的に更新しています。
フィードバックや提案があれば歓迎します(Issueでもコメントでも大丈夫です)。
おわりに
この教材は、GitHubを「知る」ためのものではなく、GitHubを「使い始める」ためのものです。
特に、エンタープライズ導入で詰まりやすいセキュリティ/統制/運用の観点から、学習の入口を作ることを意識してまとめました。
これからGitHubを導入しようとしている方や、導入初期の学習に悩んでいる方の参考になれば幸いです。