ブロックチェーンの多次元化を考えてみる
現在あるブロックチェーンは2次元的な構成をとっており、世界中に分散して存在しつながりあっているノードも、チェーン上に連なっていくブロックも、横に展開している。サイドチェーンやレイヤー2なども、横軸の展開に見え、平面に閉じ込められている感覚がある。また、最近のブロックチェーン界隈は、大きな変化・進化という点については、鈍化してきているようにも見える。
そこで、ブロックチェーンを多次元構成にすると、最強のブロックチェーンができあがるのではないか、という仮説を立ててみた。
[仮説]
ブロックチェーンを多次元構成にすると、最強のブロックチェーンができあがるのではないか?
ブロックチェーンの多次元化を考えるにあたり、宇宙物理的な要素や量子力学的な要素は不可欠であり、そういった用語が登場してくるので予めご了承をば。
最先端のブロックチェーンは時空を超えるか
まずは、ブロックチェーンの多次元化を図る上で、多次元化させる要素を検討。次の3要素が考えられる。
1. space(空間)
2. time(時間)
3. function(機能)
それぞれ見ていく。
1. space(空間)・・・空間的多次元化
ブロックチェーンネットワークにおける空間は、ノードが存在する物理空間と、一つのブロックチェーン内のデジタル空間と、複数のブロックチェーン同士がつながるデジタル空間とがある。
- 物理空間:P2Pネットワークの構成要素であるノードを多次元に分散配置
-> 多次元ノード、多次元P2Pネットワーク
- デジタル空間:
・一つのブロックチェーン内の空間・・・対となる2つのハッシュでフォークさせた量子もつれ的重ね合わせ状態
・複数のブロックチェーン間の空間・・・空間的・時間的・機能的に異なる次元のブロックチェーン同士をつなぐ
※分散化されたデータを量子粒子に変換して「量子ブロック」を作成する「量子ブロックチェーン」は、実際に世界で研究開発が行われている。
一つのブロックチェーン内での多次元化は、「0」と「1」、「YES」と「NO」のようにフォークするため、答えが同時に2つ存在するようになる。これにより、計算や処理を複数同時並行に進めることが可能になる。2つあるため、その瞬間は分岐し定まっていないが、署名・選択・実行がなされたり次のブロックがつながったりするタイミングで定まる。
「宇宙ノードを建てたい」と最近特に口にしているのだが、それも、ノードやブロックチェーンネットワークの多次元化の一端である。
2. time(時間)・・・時間的多次元化
重力の大小によって時間の進む速さが変化するということが知られている。また、映画「インターステラー」にも出てきたように、多次元領域においては、現在と過去が隣り合わせ、あるいは入り混じっているような状態になる可能性がある。
そこで、
- 複数の重力下にノードを配置(多様な時間速度下にノードを配置)
- ノードの同期と同時に、各ノードとの時間差をアンカリングしていく
上記のようにすることで、通常一直線の一方向で捉えられている「時間」において多次元化できるものと考える。
3. function(機能)・・・機能的多次元化
機能的多次元化についてはまだあまりイメージできていないが、
- モジュラー設計
- プラグイン
などによって多次元化することができるかもしれない、と思案中である。
今後も引き続き機能的多次元化を深ぼっていく。
ブロックチェーンの重要な構成要素である「ノード」、ノードのつながり合いで構成される「P2Pネットワーク」。
特にノードと時空とは密接な関係があるため、ブロックチェーン多次元化の鍵の一つがそこにあると考えられる。
(いわゆる「原子性」あり。)
量子暗号を取り入れる
現在、各国各所で「量子暗号」が研究開発されている。量子暗号は、量子力学における物理法則の原理を使うことによって、データ通信の途中で第三者が盗聴することを完全に防ぐことができる暗号技術である。どんなに高速な計算能力のある量子コンピュータでも、情報理論上絶対に解読することのできない暗号化が可能であるとされている。
- 量子鍵配送(Quantum Key Distribution, QKD)
・BB84プロトコル
・E91プロトコル
・CV-QKD
- 量子直接通信
- 量子複数者鍵合意
などの種類がある。
多次元ブロックチェーンの力
以上から、ブロックチェーンを多次元化すると次のようなメリットがあると考えれられる。
1. 機能性の向上
2. スケーラビリティの向上
3. セキュリティ・耐障害性の向上
1. 機能性の向上
ブロックチェーンが多次元化することで、より多彩なトランザクションやコントラクトの実行や、より便利で効果的なアプリケーションの実行が可能になる。
2. スケーラビリティの向上
- ノードが複数の計算や処理を並行して実行できるようになり、ネットワーク全体の処理能力が向上
- ノードを強力に分散させ、ネットワークの安定性を高める
3. セキュリティ・耐障害性の向上
- 量子暗号の採用による暗号技術の強化・進化
- ノードの多次元化により、障害点の分散を強力に向上
考えられるデメリットと解決策
- 複雑性の増大:
・モジュラー設計によりシステムを小さなモジュールに分割、管理しやすさを確保
・自動化ツール活用による効率化
など
最先端の多次元ブロックチェーンを実現しよう!
以上見てきた通り、デメリットに対する対策を前提にブロックチェーンを多次元化すると、ブロックチェーンの機能や性能が飛躍的に高まり、非常に強固な最先端のブロックチェーンが構築できる。いわゆる「ブロックチェーン vs 量子コンピュータ」に対する答えでもあると考える。
多次元ブロックチェーン上で「多次元トークン」や「多次元ネームスペース」、「多次元トランザクション」を作ることができるようになると思うと、非常に夢が広がる。新たなビジネスやユースケースが創出されるであろう。
「量子ブロックチェーン」や「量子暗号」などに注視しながら、「宇宙ノード」構想もじわじわ進め、ブロックチェーンの多次元化を研究・実験し、実現していこう!