はじめに
TERAKATA Roboticsの連載、これにて最終回です。
第1回から第4回まで、私たちのロボット「TERABO」の技術的な詳細(ハードウェア、Docker、Nav2、GUIツール)を解説してきました。
最後にお話しするのは、技術の根底にある「経験」としての失敗と成功、そして私たちの「これからの話」です。
1. 中之島の反省:「縁石」という名の魔物
2024年秋、大阪・中之島公園で開催された「中之島ロボットチャレンジ2025」。
私たちは意気揚々と乗り込みましたが、結果は10m地点と100m地点でリタイアという惨敗でした。
敗因の技術的解析
原因は、公園の遊歩道にあるわずか数センチの「低い縁石」でした。
- VLP-16の限界: メインの3D LiDARは高い位置にあるため、至近距離の足元の縁石が死角に入っていました。
- 未使用のUST-30LX: 設置はしていたものの、必要性を認識しておらずソフトウェアの準備ができていませんでした。
「センサーが付いている」ことと「認識できている」ことは違います。実環境では、 「見えているはずのものが見えない」 怖さを痛感しました。
2. つくばの成果:500mの完走とデータの価値
中之島の雪辱を果たすべく、徹底的なパラメータ見直しを行って臨んだ「つくばチャレンジ2025」。
本走行後の実験走行枠において、私たちは500mの完全自律走行に成功しました。
成功の要因
- Costmapの多層化: UST-30LXの点群データを厳格に障害物として扱うようNav2を再構成しました。
- 地図の精度: 第3回で紹介したCartographerのチューニングにより、500m走ってもスタート地点とゴール地点の地図ズレがほぼゼロでした。
走行データが語るもの
500m完走を達成しましたが厳密なチューニングを要し、様々な環境に対応できる汎用性はまだまだ実力不足でした。
最新技術の動向をキャッチアップして取り入れていきたいと思います。
3. 次なる挑戦:「ヒューマノイド」を作ります
TERABOの開発を通じて、私たちは「車輪移動」の技術を一定のレベルまで習得しました。
しかし、同時にその限界も感じました。中之島の縁石のように、車輪ロボットにとって段差は天敵です。人間なら無意識に跨げる段差も、ロボットには越えられない壁になります。
だからこそ、私たちは宣言します。
次は、「ヒューマノイドロボット」を作ります。
Project: ヒューマノイドTERABO
- コンセプト: 人間と同じ空間で生活できる、二足歩行ロボット。
- 目標: 段差や縁石を「乗り越える」移動能力の獲得。
- 技術: ROS 2 Controlによる全身制御、強化学習(Reinforcement Learning)による歩行生成。
第一段階として、上半身のみヒューマノイドに改造したセミヒューマノイド TERABO-2 を製作する予定です。
これはTERABOよりも遥かに困難な道です。ハードウェアコストかかります。
そこで現在、開発資金の調達方法を検討中です。
おわりに
「おもしろいものをつくる」
私たちがTERAKATA Roboticsとして活動する理由は、これに尽きます。
会社の仕事では味わえない、自分たちで決めて、自分たちで作る楽しさ。
夜な夜な集まってコードを書き、現地で動いた瞬間の歓声。これは何物にも代えがたい体験です。
この連載を読んでくださったエンジニアの皆さん、学生の皆さん。
もし少しでも「面白そうだな」と思ったら、ぜひ私たちの活動をウォッチしてください。そして、いつかどこかのフィールドでお会いしましょう!
連載にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
リンク
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