※この記事はAgileStudioに掲載した記事の転載です。
元記事:「何から始めたらいいかわからない」初めての1ページに、モブプロで挑んだチームの試行錯誤(トナリノ)
「何から始めたらいいか分からなかった。参考にできるものが少なくて。」
あるチームのメンバーが、初めて画面を1ページまるごとつくることになった時のことを振り返って、こう言いました。
今回ご紹介するのは、2年前にプロジェクトが始まった開発チームです。顧客側の初期メンバーは技術的な経験が豊富というわけではなく、チーム全体で学びながら開発を進めてきました。
この記事は、そのチームがモブプロ(複数人での作業)を当たり前にしていくまでの試行錯誤の記録です。
トナリノは、隣のチームの泥臭い試行錯誤をそのまま届けるコミュニティです。
様々なチームの「うまくいかなかったこと」「試してみたこと」「今の現在地」を記録しています。正解やTipsではなく、あるチームのリアルな試行錯誤をお届けします。
各自でコンポーネントをつくる日々と、はじめての1ページ
このチームが最初の頃に取り組んでいたのは、画面の部品(コンポーネント)を1人ずつつくる作業でした。
分からないことがあれば、チャットで質問します。文章で伝えづらいと感じた時は「画面を見てもらっていいですか〜」と声をかけ、そのままリモートで繋いでペアプロに移ることもありました。チャットで気軽に質問できる空気があったので、コンポーネントをつくるタスクはこの進め方でスムーズに回っていました。
その空気が変わったのが、初めて画面を1ページまるごとつくることになったタスクでした。コンポーネントを組み合わせるだけでは終わりません。参考にできる前例もない。最初のとっかかりが、どうしても見えてきませんでした。
「最初の1個だけ、モブでやりましょうか」という提案
発足当初から、ペアプロやモブプロという言葉自体はすでに知られていました。チームには「全体把握・属人化しない」というワーキングアグリーメントもありました。誰か1人がタスクを抱え込む状態を、チームとして良しとしない約束事です。
その土壌の上で、初めての1ページ作成が近づいたスプリントのプランニングで、経験者のメンバーからこんな声が挙がりました。
「最初の1個だけ、モブでやりましょうか」
はじめての画面づくりだから、まずはみんなでやってみるのが効率的だろう。そういう提案でした。チームはこれを受け入れ、モブプロで最初の1ページに取り組みました。どう手をつけていいか分からなかったところを、みんなで協力し合うことで、画面が1つできあがりました。
その後のふりかえりでは、モブプロに参加したメンバーの過半数が「keep」の付箋を出しました。「良かった」という反応が多数を占め、試しにやってみたモブプロは、そのまま継続的に取り組む「Try」になりました。
「だれかお願いします」が、当たり前になっていった
最初のモブプロ以降、タスクに着手するタイミングで「だれかお願いしますー」という声がけが自然に生まれるようになりました。声をかけて誰も反応しない、ということはありません。誰かしらが必ず応じてくれます。
面白いのは、この日常的なやり取りの中で役割が入れ替わっていくところです。最初は技術に自信がなく「モブプロいいですかー」とお願いする側だったメンバーが、少しずつ、誰かからの依頼に「いいですよー」と答える側に回るようになります。ちなみに、答える側に回るのは、技術に詳しい人だけではありません。経験の浅いメンバーが「いいよー」と答えることもあります。互いに成長しながら、頼む側と応える側が入れ替わっていきます。
こうしたやり取りが積み重なるうちに、プランニングの段階で「このタスクはモブでやりましょう」と認識を合わせ、タスクに「モブ」タグをつける工夫も生まれました。新しく参画したメンバーも、このやり取りに巻き込まれるように「自分もお願いします」と手を挙げ、いつのまにかモブプロを当たり前のものとして受け取っていきます。チームが開発に慣れてモブプロをしない週が増えても、新しいプロジェクトや新しい技術に触れるたびに、この動きはまた戻ってきます。
ペアとモブを、使い分けているわけではない
このチームには、ペアプロとモブプロを厳密に使い分けるルールはありません。誰かがヘルプを出した時、来たのが1人ならペア、複数人ならモブ。それだけの違いです。発生する比率は、体感でペアとモブが半々くらいです。
「モブがないと仕事が進まない」と思ったことは、実際にあります。初めてやるタスクはどう進めればいいか分からない。そういう時は、モブでやった方が早いという実感があります。
チーム全員でモブをしていると、非効率だと感じる瞬間もあります。それしかチームとしてやっていない状態になってしまうからです。
あなたのチームでは、難しいゴールを達成するためにどうしていますか
最初の1ページを、1人では乗り越えられない壁からチーム全員で越えたことが、このチームの文化の起点になっています。チームのゴールは、いつも平坦なものばかりではありません。挑戦することが多いチームほど、こうした壁に当たる場面は増えます。
それでもこのチームが選んだのは、バラバラに動くことではなく、協力し合うことでした。 それができたのは、この文化そのものより先に、協力し合いやすい関係性がチームにあったからかもしれません。
あなたのチームでは、難しいゴールにどう立ち向かっていますか。そこに、協力し合える関係性はありますか。このチームの試行錯誤が、皆さんのチームへの「問い」になれば嬉しいです。
この記事は、「トナリノ」から生まれた試行錯誤の記録です。
様々なチームの泥臭い試行錯誤を、定期的に届けています。
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