はじめに
正直に言うと、1次受けを経験するまでの自分は、
「リーダーって、メンバーよりちょっと広く見て、困ってたら拾う人でしょ?」
くらいに思ってました。
浅い。
びっくりするほど浅い。
子供用のプールぐらい浅い。
私は11年ほどSES企業に勤めていて、最近転職しました。
この転職自体もだいぶ濃い話なので、それはまた別記事にしたいです。
前職では基本ずっと2次受けでした。
つまり、1次受けの方がいて、その人たちに指示をもらって、相談して、実装していくスタイルです。
それでも当時から、
- リーダーになってみたい
- もっと上流もやりたい
みたいなことは、当時のリーダーにちょいちょい、というか1年かけて結構しつこめに言ってました。
その結果、ありがたいことにサブリーダーにはなれました。
ただ、今振り返るとあの頃の自分は完全に、
「2次受け育ちの発想」にどっぷり浸かってたな
と思います。
で、転職して1次受けの現場に入り、気づいたら6ヶ月でPMになってました。
そのときの感想を一言で言うと、
「え、1次受けの人たち、普段こんなことまで考えてたの?」
です。
もっと雑に言うと、
「今まで自分、思った以上に“決めてもらう世界”で生きてたんだな」
でした。
今回はそのへんを、ありの〜ままに〜書きます。
2次受け時代の自分
2次受けの仕事が悪い、という話ではないです。
これは先に言っておきたいです。
2次受けには2次受けの難しさがありますし、普通に大変です。
制約も多いし、確認先も多いし、「いやそれ先に言ってよ」が発生しがちです。
ただ、構造としてはやっぱり、
- 何をやるか
- どこまでやるか
- 何を優先するか
- 誰に何を説明するか
このへんを、自分の上の誰かが持ってくれていることが多いです。
だから自分は、
- 依頼を理解する
- 分からないところを聞く
- 実装する
- 必要なら改善案を出す
みたいな動きが中心になります。
これ自体は全然大事だし、ちゃんと価値のある仕事です。
むしろここができないと困る。
ただ、長くそこにいると、知らないうちに
「誰かが方針を決めてくれる前提」
で思考するクセがついていくんですよね。
自分はもう、見事にそうでした。
自然すぎて、その前提に乗っていること自体に気づいてませんでした。
サブリーダーになって、ちょっと調子に乗っていた頃の自分
サブリーダーになったとき、内心かなりうれしかったです。
- お、自分も少し上に来たな
- ついに見る景色が変わるのか
くらいには思ってました。
今思うと、景色はそんなに変わってませんでした。
せいぜい少し高めの脚立に乗ったくらいです。なんなら1段目。
当時の自分のリーダー像って、ほんとにこんな感じでした。
- 自分の作業を終わらせる
- 周りの進捗を見る
- 遅れてる人がいたら自分が引き取る
- なんとか納期に間に合わせる
今見ると完全に、
「強い作業者」の延長
なんですよね。
もちろん、それも大事です。
現場では助かります。
でも、本当の意味でリーダーの仕事ってそこだけじゃなかった。
- なんで遅れたのか
- その切り方は妥当だったのか
- 認識合わせの時点でズレてなかったか
- 誰が見ても進めやすい状態だったか
- そもそもその仕事、今やるべきだったか
- その対応、自社として採算に乗るのか
このへんまで見ないと、実は全然「回してる」ことにはならない。
でも当時の自分は、そこまで考えてなかったです。
というより、正確には
考える必要があるポジションに、まだ本気では立ってなかった
んだと思います。
当時の自分は「リーダーやりたいです!」とは言ってたんですが、
今振り返ると、あれはちょっと、
「店長やりたいです!でも発注とシフトと原価計算は知らないです!」
に近かった気がします。
そりゃ店は回らんし、任せられないって。
1次受けをやって、一番びっくりしたこと
1次受けに入って一番驚いたのは、
現場のことだけ考えてればいいわけじゃない
ということでした。
いや、頭では分かってたつもりだったんです。
でも、全然分かってなかった。
なんとなく1次受けのリーダーって、
- お客様と話す
- メンバーに振る
- 全体管理する
- 自社の作業もする
みたいな感じかと思ってました。
違いました。
実際にやるのはもっと泥臭くて、もっと同時多発です。
- お客様の期待値を調整する
- 進め方そのものを決める
- 曖昧な依頼を具体化する
- 優先順位を決める
- メンバーの状況を見て再配置する
- リスクを先回りで潰す
- この追加対応をどこまで飲むか判断する
- 自社として赤字にならないか見る
- 今回どこを成果として握るか言語化する
つまり1次受けって、
「現場の仕事」と「自社の仕事」を同時に持つ
んですよね。
2次受けのときは、極端に言うと
「与えられた土俵の中でどう強く戦うか」
が中心でした。
でも1次受けは、
「そもそもその土俵、どう作る?」
から始まる。
なんなら、土俵までの道とか、何を売店で売る?みたいな設営から入りますよね。
この差はデカかったです。
5ヶ月でPMになって思ったこと
現場にアサインされて、5ヶ月でPMになりました。
これ、聞こえだけだとちょっとかっこよく見えるかもしれないんですが、実態としては
「いやそんな急に視座って育たんて」
です。
普通に戸惑いました。
メンバー時代の自分は、
- 自分のタスクを終わらせる
- 他の人が詰まってたら助ける
- 頑張って前に進める
で、わりと成立していました。
でもPMになると、それだけでは回らない。
たとえば、
「これ、やった方がいいですか?」
って聞かれたときも、
ただ技術的にできるかどうかじゃないんですよね。
- 今やるべきか
- 今それを飲むと後ろが詰まらないか
- 本当にお客様が欲しいのはそこか
- 別のもっと安い解き方はないか
- その場の善意で受けると後で燃えないか
こういうのを同時に見る必要がある。
で、ここがしんどいのは、
どれも「がんばってコード書けば解決」しない
ことなんですよね。
ここで初めて本気で分かりました。
「作業ができる」と「回せる」は、似てるけど別能力だわ
って。
昔の自分、リーダーをちょっとナメてた説
これは本当に思います。
過去の自分、リーダーという仕事をちょっとナメてました。
もちろん悪気はないです。
でもナメてました。
ぬるめの温泉ぐらいにはナメてました。
昔の自分の頭の中では、
リーダー = 一番できる人が、周りも見ればいい
くらいだったんです。
でも実際は違った。
1次受けで必要なのって、
- 技術力
- 調整力
- 説明力
- 判断力
- 優先順位付け
- 交渉力
- 採算感覚
- 業務理解
このへんが全部混ざってきます。
結局、物量で殴る時期は必要だと思う
ここはかなり現実的な話です。
1次受けに入って思ったのは、結局のところ、
最初のうちは物量で押さないと無理
ということでした。
夢がない言い方ですが、かなり本音です。
もっとスマートな言い方をしたいんですが、体感としてはかなり物量です。
もちろん、
- 効率化
- 仕組み化
- 型化
- AI活用
- ドキュメント整備
こういうのは大事です。
でも、それでもなお最初は、
現場に触れる時間を積まないと、業務知識が乗ってこない。
これは避けられない気がしています。
業務知識って、資料1回読んで入るものじゃないんですよね。
- 打ち合わせに出る
- 質問を受ける
- 背景を聞く
- トラブルに立ち会う
- 修正の意図を確認する
- お客様が何を嫌がるかを見る
これを何回もやって、やっと少しずつ分かってくる。
だから最初に変にスマートぶって、
- 上流だけ見ます
- 意思決定だけやります
- 自分は管理に専念します
みたいなことをやると、たぶん薄い人になります。
そして業務知識が薄いまま1次受けにいると、最終的にどうなるか。
「なんか偉そうだけど、現場のこと分かってない人」
になります。
これが一番きつい。
会議ではよく喋る。
でも現場で「あの人に聞いても、ふわっと返ってくるよね」ってなる。
これ、かなり怖いです。
だからこそ、ある程度はもう、
泥臭く関わるしかない
物量で殴るしかない
と思っています。
雑に聞こえるかもしれませんが、かなり本音です。
じゃあ2次受け経験は無駄だったのか
いや、全然そんなことはないです。
むしろ武器でした。
2次受け時代に身についた、
- 制約の中で実装する力
- 相手の意図を汲んで確認する力
- 曖昧な仕様でも前に進める力
- 手を動かして詰める力
- 現場のしんどさに耐える力
このへんは、今もかなり活きています。
ただ、1次受けではそれに加えて、
- 決める力
- 線を引く力
- 飲む / 飲まないを判断する力
- 相手に納得してもらう力
- 自社都合と顧客都合を両方持つ力
が必要になる。
つまり、2次受け経験は土台になる。
でも、そのままでは足りない。
持ってる武器は活きる。
ただ、戦う場所が変わる。
そんな感じでした。
今の自分が、昔の自分に一番言いたいこと
一番言いたいのはこれです。
「引き取ることを、リーダーシップだと思うな」
昔の自分は、かなりここに寄ってました。
困ってる人がいたら自分が持つ。
自分が頑張る。
自分が何とかする。
もちろん、それが必要な場面はあります。
でもそれだけだと、わりと再現性がない。
しかも、だいたい本人が先に死にます。
本質はたぶん、
- なぜ詰まったのかを見る
- 次に同じことが起きないようにする
- 誰が見ても進めやすい状態にする
- 現場と自社の両方が倒れない着地を作る
このへんなんですよね。
昔の自分はちょっと、
「俺が頑張れば何とかなる」
みたいな少年漫画の主人公寄りでした。
でも現実の現場は、そんなに都合よく覚醒しません。
普通に疲れるし、普通に漏れるし、普通に再発します。
だいたいSlack通知が増えるだけです。
だから、1次受けに入ってからは
自分が頑張ることより、どう回すかを考える比重がめちゃくちゃ上がった
と感じています。
なお、最終的には結局頑張ることも多いです。
現場なので。
そこは綺麗事ではなかったです。
学びっぽくまとめると
ここまでの話を雑にまとめると、こんな感じです。
1次受けは「広く見る」じゃなくて「複数の正義を同時に持つ」仕事
お客様の正義もある。
自社の正義もある。
現場の正義もある。
その全部を見ながら決める必要がある。
「作業ができる」と「回せる」は別
強い実装者が、そのまま強いリーダーになるとは限らない。
ここは本当に別筋肉でした。
業務知識は、結局ある程度は接触時間に比例する
最初はスマートにやろうとしても、たぶん無理。
一定期間は泥臭く入るしかない。
2次受け経験はちゃんと武器になる
ただし、その武器だけで勝てるルールではなくなる。
新しい武器が必要になる。
引き取るだけではダメ
最後の最後に助けるのは大事。
でも、本質は「再発しない進め方」を作ることでした。
まとめ
2次受けしか経験してこなかった自分が、1次受けを経験して一番感じたのは、
仕事の難しさが増えるというより、難しさの種類が変わる
ということでした。
実装力がいらなくなるわけじゃない。
でもそれだけじゃ足りなくて、
- 判断
- 調整
- 説明
- 線引き
- 採算感覚
- 業務理解
- 関係構築
このへんが一気に必要になる。
で、その近道があるかというと、今のところあまり分かってません。
たぶん一定期間は、ちゃんと泥臭くやるしかないです。
関わって、聞いて、考えて、失敗して、ちょっと凹んで、またやる。
たぶんそういう感じです。
でもそのぶん、
今まで見えてなかった景色が見える
のは、かなり面白いです。
少なくとも自分は、1次受けを経験して
「自分、思ったよりずっと、誰かが決めた世界の中で働いてたんだな」
と気づきました。
そして今は、ようやく
エンジニアとして別の筋トレが始まった感
があります。
まだ全然ムキムキではないですが、
少なくとも前よりは、どこの筋肉が足りないかは分かってきました。
同じように、
- 2次受けから1次受けに来た人
- リーダーやPMをやってみたい人
- 自分は上流向いてるのか分からない人
このへんの人に、少しでも刺さればうれしいです。
たぶん今後書く記事
- 運命的(縁が深い)な転職をした話
- 2次受けでサブリーダーになれた話
- 「リーダーやりたいです」を言い続けたら何が起きたか
- 1次受けで5ヶ月でPMになって最初に折れかけた話
- 業務知識、結局「接触時間ゲー」説
- 「俺がやります!」で現場を救った気になっていた頃の自分へ