はじめに
エンジニアをやっていると、ゲームを遊んでいるときでも、つい「この作業は自動化できそう」「この構成はあとで拡張しづらそう」「このルール自体を変えれば解けそう」と考えてしまうことがあります。
ゲームの中には、そうしたエンジニア的な思考と相性がよいものがあります。
この記事では、単なるおすすめゲーム一覧ではなく、以下のテーマごとにゲームを分類して紹介します。
- CS基礎・低レイヤー
- 暗号・セキュリティ
- 設計・アーキテクチャ
- 自動化・最適化
- 抽象化・ルール設計
- 観察・仮説検証
価格や対応プラットフォームは変わることがあるため、購入前に公式ストアで確認してください。
全体一覧
| 分類 | ゲーム | エンジニア的に面白いところ |
|---|---|---|
| CS基礎・低レイヤー | Turing Complete | 論理ゲートからCPUを組み上げる |
| CS基礎・低レイヤー | TIS-100 | アセンブリ風の制約下プログラミング |
| CS基礎・低レイヤー | Human Resource Machine | 入出力・分岐・ループを命令列で考える |
| CS基礎・低レイヤー | 7 Billion Humans | 多数の作業員による並列処理 |
| CS基礎・低レイヤー | SHENZHEN I/O | 回路、マイコン、仕様書読解 |
| 暗号・セキュリティ | Cypher | 暗号史と解読パズル |
| 暗号・セキュリティ | Hacknet | ターミナルベースのハッキング風体験 |
| 暗号・セキュリティ | Bitburner | JavaScriptによるゲーム内自動化 |
| 暗号・セキュリティ | EXAPUNKS | ハッカー風DSLとエージェント操作 |
| 設計・アーキテクチャ | Factorio | 工場設計、依存関係、ボトルネック改善 |
| 設計・アーキテクチャ | Satisfactory | 3D工場、階層構造、導線設計 |
| 設計・アーキテクチャ | Dyson Sphere Program | 惑星間物流、銀河規模の供給網 |
| 設計・アーキテクチャ | Infinifactory | 3D空間でのライン設計 |
| 設計・アーキテクチャ | SpaceChem | 処理フロー、パイプライン設計 |
| 自動化・最適化 | ShapeHero Factory | 図形からヒーローを生産するライン設計 |
| 自動化・最適化 | The Farmer Was Replaced | コードで農場作業を自動化する |
| 自動化・最適化 | Opus Magnum | 手順、コスト、サイクルの最適化 |
| 抽象化・ルール設計 | Baba Is You | ルールそのものを変更して解く |
| 観察・仮説検証 | Return of the Obra Dinn | ログ解析、状況復元、推理 |
| 観察・仮説検証 | Outer Wilds | 観察、仮説、検証、知識による進行 |
| 観察・仮説検証 | The Case of the Golden Idol | 情報整理、因果関係、推理 |
| 観察・仮説検証 | Mini Metro | 制約下のネットワーク設計 |
1. CS基礎・低レイヤー系
普段のWebアプリ開発では、CPU、メモリ、命令、論理回路を直接意識する機会はそこまで多くありません。
ただ、こうした下の層をゲームとして触ると、「プログラムがなぜ動くのか」「命令をどう組み合わせるのか」「制約の中でどう処理を成立させるのか」をかなり直感的に体験できます。
Turing Complete
- Steam
- 分類: CS基礎・低レイヤー
- テーマ: 論理回路、CPU、計算機アーキテクチャ
Turing Completeは、論理ゲートなどを使いながら、コンピュータの構成要素を組み上げていくシミュレーション寄りのパズルゲームです。Steam公式ページでも、CPUアーキテクチャをパズルで学ぶ作品として紹介されています。([Steamストア][1])
最初から高級言語を書くのではなく、もっと下の層から積み上げていく感覚があります。
- AND / OR / NOT
- 加算器
- メモリ
- 命令
- CPUの構造
- 自分なりのアセンブリ言語
基本情報や応用情報で論理回路を勉強したことがあっても、「実際にどう積み上がるのか」はなかなか実感しづらいです。このゲームは、その部分を手で組み立てながら確認できます。
おすすめ対象:
- コンピュータアーキテクチャに興味がある人
- CPUや論理回路をゲームで触りたい人
- 低レイヤーを改めて体験したい人
TIS-100
- Steam
- 分類: CS基礎・低レイヤー
- テーマ: アセンブリ、制約下の実装、分散した処理単位
TIS-100は、Zachtronics製のプログラミングパズルです。壊れたコードセグメントを書き換えて装置を修復していく、アセンブリ風のゲームとして紹介されています。([Steamストア][2])
複数のノードに小さなプログラムを書き、それぞれのノード間でデータを受け渡しながら目的の処理を実現します。
面白いのは、各ノードができることがかなり少ないところです。
- 書ける命令数が少ない
- 使えるメモリが少ない
- 通信先が限られる
- 入出力のタイミングを考える必要がある
便利なライブラリもフレームワークもない環境で、どう処理を成立させるかを考えるゲームです。
おすすめ対象:
- アセンブリや低レイヤーに興味がある人
- 制約の強い環境で工夫するのが好きな人
- パズルとしてコードを書きたい人
Human Resource Machine
Human Resource Machineは、小さな社員に命令を出して、入力を処理し、出力を作るパズルゲームです。公式説明でも、作業員をプログラムしてパズルを解くゲームとして紹介されています。([Steamストア][3])
見た目はかわいいですが、中身はかなりプログラミング寄りです。
- 入力
- 出力
- 条件分岐
- ループ
- 一時保存
- 命令数の削減
- ステップ数の削減
プログラミング初心者向けにも見えますが、エンジニアがやると「もっと命令数を減らせないか」「もっと少ないステップで処理できないか」と考え始めます。
おすすめ対象:
- アルゴリズムパズルが好きな人
- プログラミング入門っぽいゲームを遊びたい人
- 命令列として処理を考えるのが好きな人
7 Billion Humans
7 Billion Humansは、Human Resource Machineの発展版です。前作が1人の作業者を動かすゲームだったのに対して、本作では多数の作業者に命令を出して同時に動かします。公式ページでも、多数の作業者が同時に命令を実行する仕組みとして説明されています。([Steamストア][4])
エンジニア視点では、並列処理や分散処理を連想しやすいです。
- 全員に同じ命令を出す
- ただし各人の位置や状態は異なる
- 衝突や順序を考える
- 局所的な判断で全体を成立させる
- 同期のような問題が起きる
単一スレッドで順番に処理する感覚から、複数の主体が同時に動く感覚へ切り替わるのが面白いです。
おすすめ対象:
- 並列処理っぽいパズルが好きな人
- Human Resource Machineを楽しめた人
- 状態管理や同期問題に興味がある人
SHENZHEN I/O
- Steam
- 分類: CS基礎・低レイヤー / 設計
- テーマ: 回路、マイコン、アセンブリ、仕様書読解
SHENZHEN I/Oは、電子回路とプログラミングを組み合わせたZachtronics製のパズルゲームです。公式ページでは、マイコン、メモリ、論理ゲート、LCDなどを使って回路を組み、コンパクトなアセンブリ風言語でコードを書くゲームとして説明されています。([Steamストア][5])
このゲームの面白いところは、「仕様書を読む」こと自体がゲーム体験に含まれている点です。
- 仕様書を読む
- 必要な入出力を理解する
- 部品を選ぶ
- 回路を組む
- 小さなプログラムを書く
- コストやサイズを削る
実務でいうと、API仕様書や外部システムの仕様を読みながら実装する感覚があります。
おすすめ対象:
- 組み込み、電子工作、IoTに興味がある人
- 仕様書を読んで実装するのが嫌いではない人
- Zachtronics作品が好きな人
2. 暗号・セキュリティ系
この章のゲームは、現実のセキュリティ技術を実務レベルで学ぶ教材というより、暗号、ターミナル、ハッカー文化、スクリプト自動化の雰囲気をゲームとして楽しめる作品です。
黒い画面、ログ、ファイル、スクリプト、ネットワークっぽい表現が好きな人にはかなり合うと思います。
Cypher
- Steam
- 分類: 暗号・セキュリティ
- テーマ: 暗号史、換字式暗号、エニグマ、解読
Cypherは、暗号をテーマにした一人称パズルゲームです。公式ページでは、単純な換字式暗号からエニグマまで、暗号の歴史を学びながら40以上のパズルに挑む内容として紹介されています。([Steamストア][6])
エンジニア視点では、暗号そのものというより、「未知のルールを推測し、手がかりから構造を復元する」楽しさがあります。
- 文字列を観察する
- パターンを見つける
- 仮説を立てる
- 解読ルールを検証する
- 間違っていたら考え直す
セキュリティ教材というより、暗号史に触れながら頭を使うパズルとして見ると楽しみやすいです。
おすすめ対象:
- 暗号やパズルが好きな人
- パターン認識が好きな人
- ペンと紙で解くタイプのゲームが好きな人
Hacknet
- Steam
- 分類: 暗号・セキュリティ
- テーマ: ターミナル、ログ、コマンド、ハッキング風UI
Hacknetは、ターミナルベースのハッキングシミュレーターです。Steam公式でも、ターミナルベースのハッキングシミュレーターとして紹介されています。([Steamストア][7])
実際の攻撃手法を学ぶというより、ターミナル操作やハッカーものの雰囲気を楽しむゲームです。
- コマンドを入力する
- ファイルを探す
- ログを見る
- システム内を探索する
- 依頼をこなす
黒い画面で物語が進んでいくタイプのゲームが好きな人には合います。
おすすめ対象:
- ターミナル操作が好きな人
- サイバーセキュリティ風の世界観が好きな人
- コマンドラインで物語を進めたい人
Bitburner
- Steam
- 分類: 暗号・セキュリティ / 自動化
- テーマ: JavaScript、スクリプト、自動化、サイバーパンク
Bitburnerは、JavaScriptでスクリプトを書いてゲームプレイを自動化していく、サイバーパンク風のインクリメンタルRPGです。公式ページでも、JavaScriptでスクリプトを書き、ゲームプレイを自動化する作品として説明されています。([Steamストア][8])
エンジニア視点では、「ゲーム内作業をコードで自動化する」部分がかなり直接的です。
- 手作業で進める
- 面倒になる
- スクリプトを書く
- 実行する
- 改善する
- さらに自動化する
セキュリティ風の世界観を持ちながら、実際には自動化・スクリプト作成ゲームとしての色が強いです。
おすすめ対象:
- JavaScriptを書きながら遊びたい人
- インクリメンタルゲームが好きな人
- ゲーム内作業を自動化したい人
EXAPUNKS
- Steam
- 分類: 暗号・セキュリティ / CS基礎
- テーマ: DSL、エージェント、並行処理、ハッカー風世界観
EXAPUNKSは、Zachtronics製のオープンエンドなパズルゲームです。ゲーム内のZINEを読みながら、小さなプログラムを動かしてネットワーク上の課題を解いていきます。公式ページでも、Zachtronics製のオープンエンドなパズルゲームとして紹介されています。([Steamストア][9])
ゲーム内では、小さなエージェントに命令を書いて、ファイルを読んだり、データを書き換えたり、ネットワーク上を移動させたりします。
- 小さなエージェントに命令を書く
- ファイルを読む
- データを書き換える
- ネットワークを移動する
- 複数エージェントを協調させる
「プログラミングをゲームにした」感が強い作品です。
おすすめ対象:
- ハッカー風の雰囲気が好きな人
- DSLを書くのが好きな人
- 並行処理っぽいパズルが好きな人
3. 設計・アーキテクチャ系
この章のゲームは、コードを書くというより「構造を設計する」楽しさがあります。
最初は動けばよい構成で始めても、だんだん供給不足、搬送詰まり、拡張不能なレイアウト、保守しづらい構成が問題になります。
これは、現実のシステム開発で起きる「とりあえず動いた」から「長く運用できる構成に直す」までの流れと重ねやすいです。
Factorio
Factorioは、資源を採掘し、搬送し、加工し、複雑なアイテムを作るための自動化工場を構築していくゲームです。Steam公式では、自動化された工場を建設し、複雑なアイテムを製造するゲームとして説明されています。Switch版もMy Nintendo Storeで確認できます。([Steamストア][10])
エンジニア視点で面白いのは、「最初は動いたけど、あとから拡張しづらい」という問題が自然に発生するところです。
- 鉄板が足りない
- 銅線が詰まる
- 発電量が足りない
- ラインが複雑になりすぎる
- 改修しづらい
- 防衛も必要になる
これは、現実のシステム開発におけるボトルネック調査、リファクタリング、スケーリングに通じるものがあります。
おすすめ対象:
- 自動化が好きな人
- ボトルネックを見つけて改善するのが好きな人
- 「動いたけど汚い構成」を直したくなる人
Satisfactory
- Steam
- 分類: 設計・アーキテクチャ
- テーマ: 3D工場、階層構造、導線設計、構成美
Satisfactoryは、一人称視点のオープンワールド工場建設ゲームです。公式ページでは、探索や戦闘要素を含む一人称視点の工場建設ゲームとして紹介されており、複数階層の工場を建設できる点も説明されています。([Steamストア][11])
Factorioが2Dで俯瞰的に工場を作るゲームだとすると、Satisfactoryは3D空間に立体的な工場を作るゲームです。
- 搬送ベルトをどう立体交差させるか
- 工場を何階建てにするか
- 資源ノードから本拠地までどう運ぶか
- 将来の増設スペースをどこに残すか
- 見た目と効率をどう両立するか
アーキテクチャ図やクラウド構成図を3Dで組んでいるような楽しさがあります。
おすすめ対象:
- きれいな構成を作るのが好きな人
- アーキテクチャ図を見るのが好きな人
- 3D空間で工場を作りたい人
Dyson Sphere Program
- Steam
- 分類: 設計・アーキテクチャ / 自動化
- テーマ: 惑星間物流、巨大システム、スケール設計
Dyson Sphere Programは、宇宙規模で工場と物流網を構築していくSFサンドボックスです。Steam公式では、宇宙・探索・工場自動化を組み合わせた建設ゲームとして紹介され、小さな工房から銀河規模の工業ネットワークへ発展していく説明があります。([Steamストア][12])
最初は小さな工場から始まりますが、やがて複数惑星をまたいだ資源採掘、物流、発電、製造ラインを組むことになります。
- 最初は手元の資源で場当たり的に作る
- 次に惑星内物流を考える
- さらに惑星間物流を考える
- 最終的に銀河規模の供給網を作る
小さく作って動かすことと、将来の拡張性を考えることのバランスをずっと考えるゲームです。
おすすめ対象:
- 大規模システムが好きな人
- 工場自動化ゲームを宇宙スケールで遊びたい人
- リソース管理と物流設計が好きな人
Infinifactory
- Steam
- 分類: 設計・アーキテクチャ / 自動化
- テーマ: 3Dライン設計、改善、比較
Infinifactoryは、Zachtronics製の3D工場パズルです。公式ページでは、3D環境で製品を組み立てる工場を設計・実行するゲームとして説明されています。([Steamストア][13])
エンジニア視点で面白いのは、空間的な制約の中でラインを組むところです。
- 部品をどこから流すか
- どこで加工するか
- どこで合流させるか
- どう配置すれば詰まらないか
- どうすれば短く、美しく、効率よくなるか
さらに、他人の解法と比較できるため、「自分の実装は動いたが、もっとよい解法がある」という感覚が生まれます。
おすすめ対象:
- 3D空間でラインを組むのが好きな人
- 工場パズルが好きな人
- 解法比較や改善が好きな人
SpaceChem
- Steam
- 分類: 設計・アーキテクチャ / 自動化
- テーマ: 処理フロー、パイプライン、設計改善
SpaceChemは、Zachtronics製のデザインベースのパズルゲームです。公式ページでは、原料を価値ある化学製品へ変換する工場を構築するゲームとして紹介されています。([Steamストア][14])
見た目は化学を題材にしていますが、エンジニア視点では処理フロー設計のゲームとして楽しめます。
- 入力を受け取る
- 加工する
- 合成する
- 出力する
- 処理順を改善する
- ボトルネックを減らす
データパイプラインやETL処理が好きな人は、かなり入りやすいと思います。
おすすめ対象:
- パイプライン設計が好きな人
- Zachtronics作品に興味がある人
- 処理フローを詰めるのが好きな人
4. 自動化・最適化系
エンジニアにとって、自動化はかなり強い快感があります。
同じ作業を何度も繰り返すくらいなら、多少時間がかかってもスクリプトを書きたくなる。
一度動いたら、今度はもっと短く、もっと速く、もっと汎用的にしたくなる。
この章では、そういう自動化欲と最適化欲を刺激するゲームを紹介します。
ShapeHero Factory / シェイプヒーローファクトリー
ShapeHero Factoryは、図形を組み合わせてヒーローを生産し、迫りくる敵と戦う工場ビルド型のタワーディフェンスです。Steam公式では、工場・ローグライト・タワーディフェンスを融合させたゲームとして説明されています。Nintendo公式ページでも、Switch版とSwitch 2版が紹介されています。([Steamストア][15])
エンジニア視点で面白いのは、「生産ラインの設計」と「戦闘結果によるフィードバック」が短いサイクルで回るところです。
Factorioのように巨大な工場をじっくり育てるというより、限られたリソースと設備の中で、どのヒーローをどれだけ生産するか、どこにボトルネックがあるか、どのラインを改善すべきかを考え続けるゲームです。
- 図形を流す
- 設備で加工する
- ヒーローを生産する
- 敵と戦わせる
- 結果を見る
- 次の構成を改善する
ローグライト要素があるため、毎回同じ理想構成を再現するのではなく、その場で得られた設備や状況に合わせて工場を組み替える必要があります。
おすすめ対象:
- 工場ビルド系は好きだが、Factorioほど重いものは少し構える人
- 自動化とタワーディフェンスの組み合わせに惹かれる人
- 制約の中でラインを組み替えるのが好きな人
- 短いサイクルで設計、実行、改善を回したい人
The Farmer Was Replaced
- Steam
- 分類: 自動化・最適化
- テーマ: コード、自動化、効率化、農場運営
The Farmer Was Replacedは、ドローンをプログラムして農場作業を自動化するゲームです。Steamコミュニティ側の説明では、ドローンをプログラム・最適化して農場を自動化する作品として紹介されています。([Steam Community][16])
このゲームは、かなり直接的に「コードを書いて自動化する」タイプです。
- 最初は手でやる
- 面倒になる
- 自動化する
- 効率化する
- 汎用化する
- さらに上位の技術を解放する
日常の開発でも、手作業を見つけるとスクリプト化したくなる場面があります。このゲームは、その感覚を農場運営に落とし込んでいます。
おすすめ対象:
- Pythonやスクリプト自動化が好きな人
- 手作業を減らすのが好きな人
- 実際にコードを書いて遊びたい人
Opus Magnum
- Steam
- 分類: 自動化・最適化 / 抽象化
- テーマ: 手順最適化、コスト削減、サイクル短縮
Opus Magnumは、錬金術の機械を組み立てて、指定された物質を作るZachtronics製のパズルゲームです。公式ページでは、ポーションや毒などを組み立てる機械を設計・構築するオープンエンドなパズルゲームとして紹介されています。([Steamストア][17])
このゲームの良いところは、クリア後に「もっと改善したい」と思えるところです。
- もっと短い手順にできないか
- もっと安い部品構成にできないか
- もっと少ない面積でできないか
- もっと美しく動かせないか
一度動くものを作ってから、より短く、より安く、より美しく改善する。これは、コードのリファクタリングやパフォーマンス改善に通じる楽しさがあります。
おすすめ対象:
- 最適化が好きな人
- 見た目が美しいパズルが好きな人
- 実装後に改善したくなる人
while True: learn()
while True: learn()は、機械学習、ニューラルネットワーク、ビッグデータ、AIをテーマにしたパズル・シミュレーションゲームです。Steam公式とNintendo公式のどちらでも、機械学習やニューラルネットワークなどを題材にしたゲームとして紹介されています。([Steamストア][18])
実務レベルの機械学習を学ぶ教材というより、「機械学習っぽい考え方をゲームで触る」作品です。
- データを流す
- 分類する
- モデルっぽいものを組む
- 精度や報酬を見ながら改善する
- フリーランスの仕事として案件をこなす
AI開発者っぽい雰囲気や、データ処理パイプラインの感覚をライトに味わえます。
おすすめ対象:
- AIや機械学習に興味がある人
- 重すぎないパズルゲームを遊びたい人
- データ処理の雰囲気をゲームで触りたい人
5. 抽象化・ルール設計系
プログラミングでは、目の前の値を処理するだけでなく、「この問題は何として表現できるか」「どのルールに落とせば扱いやすいか」を考える場面がよくあります。
この章では、ルールや前提を組み替えることで問題を解くゲームを紹介します。
Baba Is You
Baba Is Youは、ステージ上にある「BABA IS YOU」「FLAG IS WIN」のようなルールブロックを組み替えて、ゲームのルール自体を変更するパズルゲームです。Steam公式とMy Nintendo Storeのどちらでも、ルールを変更できるパズルゲームとして説明されています。([Steamストア][19])
普通のパズルは、決められたルールの中で解きます。
Baba Is Youでは、ルール自体を編集します。
- 主語を変える
- 述語を変える
- 勝利条件を変える
- 自分が何であるかを変える
- オブジェクトの性質を変える
プログラミングでいうと、値を操作するだけでなく、型、制約、評価条件、責務分担そのものを見直す感覚があります。
おすすめ対象:
- 抽象化が好きな人
- ルールベースのシステムに興味がある人
- 前提条件を組み替えるパズルが好きな人
Human Resource Machine / 7 Billion Humans
- Human Resource Machine - Steam
- 7 Billion Humans - Steam
- 分類: 抽象化・ルール設計 / CS基礎
- テーマ: 処理の命令化、ルールの一般化、状態ごとの動作
Human Resource Machineと7 Billion Humansは、CS基礎の章でも紹介しましたが、抽象化の観点でも面白いです。
特に7 Billion Humansでは、多数の作業員に同じ命令を出しながら、それぞれの位置や状態に応じて違う結果を出す必要があります。
これは、個別ケースに対応するというより、「各主体が同じルールで動いたとき、全体として目的を達成できるか」を考えるゲームです。
おすすめ対象:
- 処理を一般化するのが好きな人
- 命令と状態の関係を考えるのが好きな人
- 小さなルールで大きな挙動を作りたい人
Opus Magnum
- Steam
- 分類: 抽象化・ルール設計 / 自動化
- テーマ: 問題分解、部品化、動作設計
Opus Magnumは、自動化・最適化の章でも紹介しましたが、抽象化の観点でもかなり面白いです。
指定された物質を作るには、素材をどう分解し、どう移動し、どう結合し、どのタイミングで出力するかを考える必要があります。
これは、処理を部品に分けて、流れとして組み立てる感覚があります。
おすすめ対象:
- 問題を小さな部品に分解するのが好きな人
- 動きのある仕組みを設計したい人
- 美しい解法を作りたい人
6. 観察・仮説検証系
直接コードを書くゲームではありませんが、ログを読み、状態を復元し、仮説を立てて検証するという意味では、デバッグや障害調査に似た楽しさがあります。
Return of the Obra Dinn
Return of the Obra Dinnは、無人で帰港した船の中で、乗員に何が起きたのかを調査する推理アドベンチャーです。Steam公式では、探索と論理的推理に基づく一人称ミステリーアドベンチャーとして紹介されています。([Steamストア][20])
エンジニア視点では、障害調査やログ解析に通じる面白さがあります。
- 限られた情報を見る
- 時系列を復元する
- 人物や出来事を対応づける
- 仮説を立てる
- 矛盾があれば修正する
「何が起きたのか」を断片情報から復元するゲームです。
おすすめ対象:
- 推理ゲームが好きな人
- ログから原因を追うのが好きな人
- 状況整理が好きな人
Outer Wilds
Outer Wildsは、時間ループする太陽系を探索するオープンワールドミステリーです。Steam公式では、時間ループに囚われた太陽系を舞台にしたオープンワールドミステリーとして説明されています。([Steamストア][21])
このゲームは、キャラクターのレベルや装備ではなく、プレイヤーが得た知識によって進行します。
- 気になる場所を見つける
- 調査する
- 情報を得る
- 別の場所とのつながりに気づく
- 仮説を立てる
- 次の探索に活かす
知識が増えることで世界の見え方が変わっていくゲームです。
おすすめ対象:
- 探索と考察が好きな人
- 仮説検証型のゲームが好きな人
- ネタバレなしで遊びたいゲームを探している人
The Case of the Golden Idol
The Case of the Golden Idolは、複数の事件現場から手がかりを集め、人物、動機、出来事を整理して真相を導く推理ゲームです。Steam公式でも、手がかりから自分の理論を組み立てる探偵ゲームとして紹介されています。([Steamストア][22])
エンジニア視点では、複雑な情報を整理して因果関係を組み立てる部分が面白いです。
- 登場人物を特定する
- 所持品や発言を確認する
- 状況の前後関係を整理する
- 事件の構造を理解する
- 欠けている情報を推測する
バグ調査で「この状態になったということは、その前にこの処理が走っているはず」と考える感覚に似た部分があります。
おすすめ対象:
- 推理ゲームが好きな人
- 複雑な情報を整理するのが好きな人
- 状況証拠から仮説を組み立てるのが好きな人
Mini Metro
Mini Metroは、成長する都市に地下鉄路線を敷いていく戦略シミュレーションゲームです。公式ページでは、急速に拡大する都市のために地下鉄網を設計し、限られたリソースを使いながら効率を保つゲームとして説明されています。([Steamストア][23])
エンジニア視点では、ネットワーク設計やリソース配分のゲームとして楽しめます。
- どの駅をつなぐか
- どの路線を伸ばすか
- どこが混雑しているか
- 限られた設備をどこに投入するか
- 構成をいつ見直すか
都市が成長するにつれて、最初に作った路線がだんだん苦しくなります。これも、運用中のシステムを見ながら構成を見直す感覚があります。
おすすめ対象:
- ネットワーク設計が好きな人
- 制約の中で構成を考えるのが好きな人
- シンプルだけど奥が深いゲームを遊びたい人
まとめ
エンジニア向けのゲームといっても、方向性はいろいろあります。
低レイヤーや計算機科学に触れたいなら、Turing Complete、TIS-100、Human Resource Machine。
暗号やハッカー風の雰囲気を楽しみたいなら、Cypher、Hacknet、Bitburner、EXAPUNKS。
設計やアーキテクチャの感覚を楽しみたいなら、Factorio、Satisfactory、Dyson Sphere Program、Infinifactory、SpaceChem。
自動化や最適化を楽しみたいなら、ShapeHero Factory、The Farmer Was Replaced、Opus Magnum。
抽象化やルール設計を味わいたいなら、Baba Is You。
観察、仮説検証、情報整理を楽しみたいなら、Return of the Obra Dinn、Outer Wilds、The Case of the Golden Idol、Mini Metro。
ゲームとして遊んでいるだけなのに、設計、分解、制約、最適化、抽象化、検証といったエンジニアリングの感覚を別の形で使えるのが、この手のゲームの面白さだと思います。
技術書を読む気力はないけど、何か頭を使う遊びをしたい。
そういうときに、こういうゲームはかなり相性がいいです。