クリニックのホームページを開いた人が、最初に知りたいことは意外とシンプルです。
今日は診療しているのか。初診でも予約できるのか。どの診療科に相談すればよいのか。そして、どうやって行けばよいのか。
大きな写真や整ったレイアウトも印象を左右しますが、こうした情報が見つからなければ、使いやすいサイトとはいえません。医療機関のサイト制作では、見た目を整える作業と同じくらい、情報を探す順番の設計が大切になります。
MediCure – Health & Medical WordPress Themeは、医療・ヘルスケア分野に向けたWordPressテーマです。この記事では、公開されている仕様をもとに、クリニックサイトでの使いどころと、導入時に見落としやすい点を整理します。
MediCureは、診療内容と医師紹介をまとめたいサイトの候補になる
MediCureでは、サービス紹介用の投稿タイプや医師プロフィールのレイアウトが案内されています。2系ではElementorによる編集に対応し、CMSMastersの専用アドオンと組み合わせてページを構成します。
この仕組みが役立つのは、診療内容や担当医の情報を一定の形式で揃えたい場合です。
たとえば、診療科ごとにページを作るとき、担当者が自由にレイアウトを組むと、ページによって説明の順番や予約ボタンの位置が変わりがちです。共通の構成を用意しておけば、内容を追加するときにも迷いにくくなります。
テーマ選びの段階では、GPLWPPassの掲載情報も確認しながら、配布バージョンや必要な構成を整理できます。MediCureの商品ページは以下です。
ここで確認したいのは、デモの見た目だけではありません。自院の情報を誰が更新するのか、予約はどのシステムで受け付けるのかまで考えておくと、導入後の作業が具体的になります。
導入前に確認したい、1系と2系の違い
MediCureには、古いバージョンの紹介記事も残っています。検索で見つけた説明が、そのまま現在の構成に当てはまるとは限りません。
開発者の移行案内によると、1.4.5以前と2.0以降ではページビルダーの仕組みが異なります。2系はElementorベースになっており、旧版のショートコードを使ったコンテンツは、そのまま新しい仕組みで表示できません。
すでに旧版で運用している場合は、通常の小規模な更新と同じ感覚で進めないほうがよいでしょう。既存ページの再構築を含めて計画する必要があります。
作業前には、少なくとも次の内容を整理します。
- 現在使っているテーマと関連プラグインのバージョン
- 診療案内や医師紹介など、移行が必要なページ
- フォームと予約サービスへの接続
- 現在のページURLと内部リンク
- バックアップと復元方法
新規制作なら、利用する配布ファイルがどの系統なのかを確認したうえで、そのバージョンに合う手順を参照します。この確認を先に済ませるだけでも、古い解説と新しい管理画面の違いに悩む時間を減らせます。
トップページは「受診前の入口」として設計する
医療機関のトップページに、すべての情報を載せる必要はありません。ただし、よく使う情報への入口は、すぐに見つかる場所に置きたいところです。
私なら、最初の画面とその直下に、診療時間、予約方法、アクセス、初診案内への導線をまとめます。
そのうえで、医院の特徴や診療方針を紹介します。先に必要な情報を見つけられる構成なら、詳しく知りたい人はそのまま読み進められます。
特に気を付けたいのが、診療時間と受付時間の表記です。実際の運用で異なる場合は、同じものとして扱わず、それぞれをわかる形で掲載します。臨時休診のお知らせも、過去の記事に埋もれない場所で確認できるようにしておくと便利です。
予約ボタンの文言も、遷移先に合わせて決めます。
日時を選べるなら「Web予約」、問い合わせを送るだけなら「お問い合わせ」。実際には予約が確定しないフォームに「予約完了」と表示しないよう、操作後の案内まで揃えておきましょう。
診療ページは、同じ項目を同じ順番で掲載する
診療内容のページを作るときは、文章量よりも、必要な項目が揃っているかを先に確認します。
たとえば、次のような共通構成です。
| 掲載項目 | ページで伝えること |
|---|---|
| 診療の概要 | どのような相談を受け付けているか |
| 担当医 | 誰が担当するか |
| 受診方法 | 予約の要否や受付方法 |
| 来院前の準備 | 持参するものや事前確認事項 |
| 関連情報 | 医師紹介やアクセスへの案内 |
この構成を診療科ごとに揃えておけば、複数のページを見比べる際にも情報を探しやすくなります。
説明文は、院内で使っている専門用語をそのまま並べるより、初めて受診する人が理解できる言葉に整えたいところです。詳しい医学的な説明を載せる場合は、院内で内容を確認できる担当者を決め、更新日も管理します。
テーマが用意するのは、情報を掲載するための形です。説明の正確さや、実際の診療体制との一致は、公開する側で確認する必要があります。
医師プロフィールは、経歴を並べるだけで終わらせない
医師紹介ページでは、氏名、担当分野、経歴などを一定の形式でまとめると読みやすくなります。
そこに、診療時に大切にしていることや、初めて受診する方への案内を短く添えると、プロフィールに具体性が生まれます。
たとえば「患者様に寄り添います」という一文だけより、説明の進め方や相談時の姿勢が伝わる文章のほうが、医院の方針を理解しやすくなります。ただし、本人が確認していない考え方を、紹介文として作り足す必要はありません。
写真も、可能であれば実際の担当医と院内のものを使います。デモの人物写真や架空の経歴が残っていると、せっかく整えたページの信頼性を損ねてしまいます。
担当医の変更がある医院では、プロフィールだけでなく、診療ページや担当表にも情報が掲載されていないか確認しておきましょう。更新箇所を把握しておくことも、制作段階でできる工夫です。
Elementorで編集するなら、共通設定を先に整える
MediCureをElementorで編集する場合、ページごとに色や文字サイズを決めていくより、共通の設定から始めるほうが管理しやすくなります。
まず、本文、見出し、リンク、主要ボタンの見た目を揃えます。そのあとで、診療案内や医師紹介のような個別ページへ進みます。
医療機関のサイトでは、淡い色を使いたくなることもありますが、背景と文字の差が小さすぎると読みにくくなります。清潔感を出すために、本文まで薄いグレーにする必要はありません。
日本語へ置き換えたあとは、スマートフォンで改行も確認します。英語では短く収まっていた見出しが、日本語では三行以上になり、肝心の案内を画面の下へ押し出すことがあります。
特に診療時間表は、実機で確認したい部分です。横幅に収めるために文字を極端に小さくするより、表示する情報や表の構成を見直したほうが読みやすくなる場合があります。
予約機能は、テーマとは別に運用を決める
医療向けのデザインが用意されていることと、院内の予約業務を管理できることは別です。
導入前には、既存の予約サービスへリンクするのか、問い合わせを受けてスタッフが調整するのかを決めます。診療科や担当医ごとに受付方法が違う場合は、その違いもページ上で説明します。
すでに予約システムを使っている医院なら、サイト側には案内と入口を設け、受付を既存の仕組みに集約する構成も考えられます。
問い合わせフォームを追加する場合は、そのフォームで受け付ける内容を明確にします。一般的な問い合わせのために、詳細な病歴や検査資料まで求める設計にする必要はありません。
送信後に誰が確認するのか、どの連絡先へ返信するのかまで決めてから公開すると、受付後の対応も揃えやすくなります。
公開前の確認は、実際の来院までの流れで行う
制作が終わったら、トップページから順番に眺めるだけでなく、具体的な目的を決めて操作してみます。
「初めて受診する人が、診療内容を確認して予約する」
「通院中の人が、休診日と電話番号を調べる」
「家族が、医院までの行き方を確認する」
この三つを試すだけでも、情報の不足やリンクのわかりにくさを見つけやすくなります。
公開前には、次の項目を優先して確認するとよいでしょう。
- 電話番号、住所、診療時間が各ページで一致している
- 予約ボタンが正しい受付先へつながっている
- フォームの通知が担当者へ届く
- スマートフォンでメニューと診療時間表を操作できる
- デモの文章、人物、連絡先が残っていない
- ページタイトルが実際の内容と合っている
既存サイトを作り直す場合は、以前のURLも確認します。デザインの変更と同時にページの場所まで変えるなら、旧URLから新しいページへ案内する設定を整理しておきたいところです。
MediCureの価値は、公開後も情報を揃えて管理できるかで決まる
MediCureは、診療内容や医師紹介を一定のデザインでまとめ、Elementorを使って編集したいサイトの候補になります。
ただし、導入時の見栄えだけで判断するより、休診のお知らせや担当医の変更を、無理なく更新できるかまで確認したいテーマです。旧版から移行する場合は、ビルダーの違いも含めた再構築の計画が必要になります。
制作を始めるなら、まず一つの診療ページを完成させてみるとよいでしょう。必要な説明を読み、担当医を確認し、予約方法へ進める。その流れをスマートフォンでも確かめてから、ほかのページへ展開します。
来院前に知りたいことが見つかり、内容が実際の医院と一致している。MediCureのデザインを活かすためにも、まずはその基本を丁寧に整えておきたいところです。