はじめに
現場やチームに「任せて安心」と思われるPRにするには、単なる技術力以上に「配慮・一貫性・検証の丁寧さ」が重要です。この記事は駆け出しエンジニアでもすぐ実践できるレベルで、レビュー返却を激減させるチェックリストと具体的な書き方テンプレ、レビューを受けたときの対応フローまでをまとめます。スタートアップ/WEB系ベンチャーの現場目線で、実務的に使える内容だけを厳選しました。
目次
- この記事の狙いと使い方
- 一言で言うと何を守るか(評価されるポイント)
- PR前チェック 32(実践的・順序付き)
- すぐ使えるPR説明テンプレ(コピペ可)
- 具体例:よくあるPR別確認ポイント
- レビューを受けたときの対応フロー(現場向け)
- まとめ(要点と習慣化のコツ)
- 文字数
この記事の狙いと使い方
- 狙い:レビューで戻されない、現場で信頼されるPRの作り方を「習慣化」すること。
- 使い方:PR出す直前にこのリストを1分でチェック。慣れたらテンプレを自動化(CI check commentsやPRテンプレ)すると効果倍増。
一言で言うと何を守るか
- 読み手のストレスを最小化する(読みやすさ・目的明示)
- 変更の意図と影響が一目でわかる(信頼貯金)
- ローカル/ステージで再現できる(確認手順)
PR前チェック 32(実践的・順序付き)
※順序はPR作成のステップに合わせて並べています。チェックしやすいよう短文化。
準備・コンテキスト
- 目的は一文で書けるか(何を達成し、なぜ必要か)
- チケット/Issueと紐づけているか(参照リンクは明記)
- 大きな変更は分割したか(1PR=1意図の原則)
コードの構造と責務
- 関数は一つの目的か(単責任)
- ファイルの責務が明確か(コントローラにロジック詰め込み禁止)
- 重複処理は抽出済みか(DRYの基本)
命名と可読性
- 名前で意図がわかるか(クラス・関数・変数)
- 動詞/名詞の使い分けができているか(getUser, userList など)
- 略語や魔法文字を使っていないか(dtFlg, tmpはNG)
流れ・ネスト・早期リターン
- ネストは深くないか(原則2層以内)
- 早期returnで分岐を平坦化しているか
- 処理が上から下に自然に読めるか
コメント・ドキュメント
- 「なぜ」を書いているか(自明でない処理)
- コメントは最新か(不要なコメントは削除)
- README / PR本文に確認手順・期待値を書いたか
エラー・例外・境界
- 外部呼び出し(DB, API)にエラーハンドリングがあるか
- null / undefined / Optional の扱いを確認したか
- 境界ケース(ゼロ件・最大件・不正入力)を考えたか
テスト・自動化
- 単体テストまたはスモークテストを書いたか
- テストは主要パスをカバーしているか
- CIでlint・format・テストが通るか確認済みか
チーム整合性
- プロジェクトのLint/Formatterルールに従っているか
- 既に指摘された同種のミスを繰り返していないか
- 依存バージョン(ライブラリ)を更新する場合は理由を明記したか
影響範囲とリスク低減
- 自分の変更以外に影響が出ないことを確認したか(関連機能の簡易動作確認)
- マイグレーションやデータ変更があるならロールバック手順を用意したか
- パフォーマンスに大きな影響がある変更ならベンチ結果を添付したか
信頼と説明責任
- PRの粒度・説明で読んだ人が任せたいと思うか
- セキュリティ・プライバシー観点で問題ないか(ログ出力、敏感情報流出等)
- 最終確認:相手が再現・検証しやすい状態か(スクショ・ログ添付)
+アルファ(あると強い)
- 小さなコミットで説明が分かれているか
- 環境変数や設定変更は分かりやすくまとめたか
すぐ使えるPR説明テンプレ(コピペでどうぞ)
タイトル: [Feature|Fix] 短い目的書き(例: API: ユーザー取得にメールフィルタ追加)
本文:
- 目的: 何を解決するかを一文で。
- 背景: なぜ必要か(User storyや障害)を短く。
- 変更点(箇条書): 主要ファイルと要点を1行ずつ。
- 動作確認手順: ローカルで再現するコマンド・ステップを番号で。
- 期待結果: どうなればOKか(レスポンス例やスクショ)
- 影響範囲: 関連サービス・副作用の想定
- ロールバック方法: もし問題出たらこう戻します
使い方のコツ: 動作確認手順は「誰がやっても同じ結果が出る」レベルで書く。
具体例:よくあるPR別ポイント
- 小さなバグ修正: テストを1つ追加し、再発防止の理由を書こう。
- UI微調整: スクショ比較(Before/After)とスクリーンサイズの条件を書く。
- DBマイグレーション: データ量×時間の見積りとロールバックSQLを必ず添付。
- ライブラリ更新: セキュリティ対応ならCVEや差分を一言で示す。
レビューを受けたときの対応フロー(現場で評価されるやり方)
- 指摘を受けたら一度冷静に要点を整理(何が求められているかを箇条書き)。
- 変更は小さなコミットで分けて再提出(レビュアーが差分を追いやすくする)。
- 指摘に対する返答はPR内で論理的に(「やった/やらない+理由+代替案」)。
- 同じ指摘を繰り返さないために、修正後は簡単なチェックリストを作って自分に貼る。
現場評価ポイント: 迅速で丁寧な応答、再発防止の仕組み、相手の時間を削らない工夫。
まとめ(習慣化のコツ)
- 毎回このリストを「PRテンプレート」に組み込んで、1分でチェックする習慣をつける。
- レビューは「信頼貯金」の場。技術的完璧さより「任せられる説明」を優先する。
- 最初は手間でも、3週間続ければレビューの指摘は確実に減る。
最後に:まずは今日のPRで「目的を一文にする」と「動作手順を必ず書く」を実践してみてください。現場はそれだけで安心感が違います。