ニフクラ mobile backendは3月末で終了します。

ニフクラ mobile backendからの移行先として、お勧めしているのがParse Serverです。設計思想が近く、変更するコード量が少なく済むのではないかと思います。

Parse ServerではAndroid向けにSDKを提供していますが、言語はJavaのみとなっています。そのため、Kotlin向けには、Java SDKの内容を翻訳しながら実装する必要があります。そこで、本記事にて、各機能の使い方を解説します。今回はユーザー管理（認証）について紹介します。

Android SDKのインストール

Android SDKのインストールは幾つかの設定が必要です。

settings.gradleの修正

プロジェクトルートにある settings.gradle を修正します。

dependencyResolutionManagement {
    repositoriesMode.set(RepositoriesMode.FAIL_ON_PROJECT_REPOS)
    repositories {
        google()
        mavenCentral()
				// 以下を追加
        maven {
            url "https://jitpack.io"
        }
    }
}

app/build.gradleの修正

app以下にある build.gradle を修正します。

dependencies {
	// 以下を追加
	implementation "com.github.parse-community.Parse-SDK-Android:parse:4.2.1"
}

バージョンはインストールするタイミングによって異なりますが、現在は以下です。

AndroidManifest.xmlの修正

開発中で、ローカルのParse Serverを使う場合には、以下の設定が必要です。

<application
	android:usesCleartextTraffic="true" <!-- 追加 -->
>

初期化

SDKの初期化は MainActivity にて行います。Androidはエミュレーターなので、 localhost:1337 ではなく、 192.168.0.2:1337 などがParse ServerのURLになるでしょう。

オフライン対応する際には .enableLocalDataStore() を追加します。これがないと、オフライン時にデータ操作できないので注意してください。

import com.parse.Parse

class MainActivity : AppCompatActivity() {

    private lateinit var appBarConfiguration: AppBarConfiguration
    private lateinit var binding: ActivityMainBinding

    override fun onCreate(savedInstanceState: Bundle?) {
        super.onCreate(savedInstanceState)
        Parse.initialize(
            Parse.Configuration.Builder(this)
                .applicationId("appId")
                .clientKey("clientKey")
								.enableLocalDataStore()
                .server("http://your_parse_server/parse/")
                .build()
        )
				// 省略
		}
}

ユーザー登録

ユーザー登録の基本はユーザーIDとパスワードです。以下のコードで登録できます。

val user = ParseUser()
user.username = "ncmb"
user.setPassword("password")
user.email = "email@example.com"
user.put("phone", "650-253-0000")

user.signUpInBackground { e ->
		if (e == null) {
				Log.d("DEBUG", "Sign in as -> " + user.objectId)
		} else {
				Log.d("DEBUG", e.message ?: "")
		}
}

同期処理用に signUp メソッドもあります。

try {
		user.signUp()
		Log.d("DEBUG", "Sign in as -> " + user.objectId)
} catch (e: ParseException) {
		Log.d("DEBUG", e.message ?: "")
}

ログイン

ログインは以下のコードで行います。

ParseUser.logInInBackground("ncmb", "password") { user, e ->
		if (e == null) {
				Log.d("DEBUG", "Logged in as -> " + user.objectId)
		} else {
				Log.d("DEBUG", e.message ?: "")
		}
}

こちらもユーザ登録と同じく、同期処理用に logIn メソッドがあります。

try {
		val user = ParseUser.logIn("ncmb", "password")
		Log.d("DEBUG", "Logged in as -> " + user.objectId)
} catch (e: ParseException) {
		Log.d("DEBUG", e.message ?: "")
}

メールアドレス認証

メールアドレスを使う場合には、 emailVerified というフィールドを追加して、独自に実装する必要があるようです。

ログイン判定

ログイン判定は以下のコードで行います。

val currentUser = ParseUser.getCurrentUser()
if (currentUser != null) {
		Log.d("DEBUG", "Logged in as -> " + currentUser.objectId)
} else {
		Log.d("DEBUG", "Not logged in")
}

ログアウト

ログアウトは以下のコードで行います。

ParseUser.logOutInBackground { e ->
		if (e == null) {
				Log.d("DEBUG", "Logged out")
		} else {
				Log.d("DEBUG", e.message ?: "")
		}
}

同期処理用に logOut メソッドもあります。


try {
		ParseUser.logOut()
		Log.d("DEBUG", "Logged out")
} catch (e: ParseException) {
		Log.d("DEBUG", e.message ?: "")
}

匿名認証

NCMBでいう匿名認証も、Parse Serverに用意されています。以下のコードで実装できます。

ParseAnonymousUtils.logIn { user, e ->
		if (e == null) {
				Log.d("DEBUG", "Logged in as -> " + user.objectId)
		} else {
				Log.d("DEBUG", e.message ?: "")
		}
}

ソーシャル認証

ソーシャル認証用に、以下のクラスが用意されています。

ParseFacebookUtils
ParseTwitterUtils

他の認証方法については専用のクラスがなかったので、 ParseUser.logInWithInBackground を使って実装する必要があります。こちらは同期処理用のメソッドがありませんでした。

まとめ

Parse ServerとNCMBのデータストア操作は、Android SDK同士では大きくは異なりません。載せ替える際には、大きなコードにはならなそうです。基本の認証は問題なさそうですが、メールアドレスログインがないこと、FacebookとTwitter以外のソーシャルログインがないのが気になりました。

データの管理方法などはParse ServerとNCMBで似ています。他のmBaaSと比べると、全体の修正量はそこまで多くないと思われます。載せ替え先として検討に挙げてください。

Android Developers Guide | Parse