Microservices 風 Emacs HTTP Server(s) on Heroku

概要

• Emacs HTTP Server (elnode) を Heroku で動かしてみた
• Emacs on Heroku 同士でデータのやりとりを行ってみた

といった出来事から得られた感想を述べます。

タイトルで Microservices と書きましたが、要するに Emacs の環境が Heroku 上に簡単に用意できる ことを知っていただくことが本記事のメインとなっております。

経緯

Emacs ユーザの皆様におかれましては

「Emacs で HTTP Server を起動できるから Heroku で動かしたい！！」

と日頃より思い悩んでいるはずで、偶然にも最近 gongo/emacs-heroku-docker を作成したことで
その悩みは解消されることと存じ上げます。

簡単に説明すると、この Docker Image を利用して Heroku にリリースすることで、
Cask で依存パッケージをインストールしつつ、好きな Emacs プロセスを起動できます。
Heroku なのでおそらくは elnode や simple-httpd を起動することになるでしょう。

Example:

• emacs-heroku-docker/example
• https://emacs-heroku-docker-sample.herokuapp.com/

これにより、いくつでも Emacs on Heroku の環境を起動できるようになりました。

そして、複数の HTTP Server を立てられるようになった人類は、
お互いにデータのやりとりを望むようになります。一つになりたい。

作ってみました

• https://emacs-json-formatter.herokuapp.com/
  • 以後 ejf-front と呼ぶ
• https://emacs-json-formatter-api.herokuapp.com/
  • 以後 ejf-api と呼ぶ

JSON テキストを整形するやつです。
拙作 gongo/json-reformat の Web 版といったところです。

1. 構成

• ejf-front = UI を提供する
  • 整形したい JSON テキスト入力フィールド
  • 整形後の JSON テキスト表示フィールド
• ejf-api = POST されてきた JSON テキストを整形して返す
  • 整形時、JSON テキストに不備(カンマがない、キーの書き方がおかしい、など)があれば、その旨とおおよその原因の位置を返す(おおよそです)

2. 仕組み

2つのサーバ(サービス)で構成されているので、そこまで複雑ではありません。

1. ejf-front で、整形したい JSON テキストを入力し、ボタンクリック
   • front/public/index.html#L25
2. 入力された JSON テキストを superagent.js で ejf-api に POST する
   • front/public/app.js#L19-L22
3. ejf-api で、受けとった JSON テキストを整形する
   • api/ejf-api.el#L25
4. 整形に成功すればそのテキストを、失敗すれば原因と詳細な情報をレスポンスとする
   • api/ejf-api.el#L25-L41
5. ejf-front は整形後のテキスト or エラーメッセージを表示する
   • front/public/app.js#L24-L3

3. コメント

概ね動いているのですが、本記事執筆までに達成できなかった点が不満として残りました。皆様方お気付きかと思いますが

サーバ間のやりとりが Emacs で行われていない

これは Emacs の限界ではなく、単に私がめんどくさがってやらなかっただけです。

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Emacs で HTTP 通信を行う際、私はよく emacs-request を愛用しています。
本作も途中までは emacs-request で JSON テキストを POST していましたが、
現在の emacs-request のバージョン (0.2.0) だと

GET/POST のレスポンスステータスが失敗系の場合、そのレスポンスボディが破棄される

という問題がある(仕様である)¹ということがわかりました。

ejf-api は整形失敗時に JSON でエラーメッセージやら怪しい箇所の情報をレスポンスしてくれるため、
これが破棄されてしまうと ejf-front 側では「とりあえずエラーになった」ということしかわかりません。

もしかしたらいい抜け道があったかもしれません。emacs-request を使わない手もありましたが、
今回はそこまで追求せず、結局 POST は JavaScript に頼ることにしました。

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先述の通り私がめんどくさがってやらなかっただけで、
自力で頑張れば Pure Emacs Lisp で Emacs 同士の HTTP 通信は問題ないでしょう。
他にも ルーターは簡単に書ける し、Emacs が持つパワフル文字列処理パワーを存分に発揮できるので、
「データを受けとって変換して返す」という基本的な Web サービスとしては充分やっていけるのではないでしょうか。

まとめ

• Emacs の環境を簡単に Heroku 上に用意できる
• (今回はお見せできなかったが)Pure Emacs Lisp で Microservices もがんばればいける

皆様も是非 Emacs on Heroku で世界にあなただけの Emacs を見せつけましょう

参考資料

• heroku-docker を使って Emacs & Cask がインストールされた Heroku 環境 (Slug) を作成する Docker イメージ作った - Thanks Driven Life
  • Docker Image を作った時の詳細についてはこちら
• nicferrier/elnode
• tkf/emacs-request

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1. 自分が見つけられなかっただけで、実は回避策あるかも ↩