はじめに
普段お世話になっているRailsですが、よくよく考えたら「今、Railsで使える機能はどれか?」「Railsでこういうことができないのか?」のように、Railsの今の姿しか見ておらず、過去のRailsがどういう風に進化してきたのかを知らないことに気づきました🤔
人と人が仲良くなる過程でも、相手の過去を知ることで理解が深まったりより仲良くなったりすることがあるかと思います。
それと同じように、Railsの過去を知ることで、Railsの理解が深まりより仲良くなれるのではないか?と思い、これまでの軌跡を調べていくことにしました!
よければお付き合いください🙌
Railsとは?
Railsとは、プログラミング言語「Ruby」で書かれたWebアプリケーションフレームワークです。Railsは、あらゆる開発者がWebアプリケーション開発で必要となる作業やリソースを事前に想定することで、Webアプリケーションをより手軽に開発できるように設計されています。
参考:Railsガイド-Railsとは何かより
記載されているように、Railsは他のフレームワークと比べて開発する際のコード量が少なく済むにもかかわらず、高機能なWebアプリケーションを構築できることが特徴です!
Railsで作られているサービス
- GitHub(世界最大のソースコード管理サービス)
- Airbnb(民泊仲介サービス)
- Shopify(世界的なECサイト作成プラットフォーム)
- Hulu(動画配信サービス)
- Cookpad(料理レシピ共有サービス)
このように、Railsは多くの有名サービスで採用されており、Webアプリケーション開発において非常に人気のあるフレームワークです✨
Railsの軌跡
〜2003年:Railsがいない当時の状況
-
Railsが誕生する以前、Webアプリケーション開発は主にPHPやPerl、Javaなどの言語で行われており、Web開発は二極化していました。
| 言語タイプ | 代表的な言語 | 特徴 |
|---|---|---|
| スクリプト言語系 | PHP、Perlなど | 手軽に始められるが、フレームワークとしての規約が少なく、ビジネスロジックとHTML表示ロジックが混在した「スパゲッティコード」になりがち |
| コンパイル言語系 | Java、C#など | 堅牢でスケーラブルであり大規模開発に向いていたが、単純なビューの表示でも数千行のXML設定ファイルが必要になるなど、開発の敷居が高かった |
2003年:Rubyの発見
このような状況にフラストレーションを感じていたのが、後にRailsを開発することになるデンマーク出身のプログラマー、David Heinemeier Hansson(DHH氏)でした。
彼は当時、37signals(現Basecamp)のJason Fried氏とともにプロジェクト管理ツールの開発を進めており、当初使用していたPHPに保守性の面などで限界を感じていました。
そんな中、DHH氏はRubyという言語に出会います。Rubyは日本のまつもとゆきひろ氏によって開発されたオブジェクト指向スクリプト言語であり、そのシンプルで直感的な文法と高い柔軟性に魅了されました😳
DHH氏はRubyを使ってプロジェクト管理ツールの開発を進めることに決め、これが後のRails開発の基盤となりました。

DHH氏:Ruby on Railsはどのように生まれ、発展してきたのかより
2004年:実戦の中でRailsの原型が誕生
DHH氏はRubyを使ってプロジェクト管理ツールの開発を進める中で、Webアプリケーション開発における共通の課題に直面しました。例えば、データベースとのやり取り、HTTPリクエストの処理、ビューのレンダリングなど、多くの反復的な作業が必要であることに気づきました。
これらの課題を解決するために、DHH氏は共通の機能を抽象化し、再利用可能なコンポーネントとしてまとめることを考えました。こうしてRailsの原型が誕生し、2004年にオープンソースプロジェクトとして公開されました🧑💻
私😳「てっきりDHH氏が最初からRailsを作ろうと考えていたものかと思ってた!」
Railsの2つの哲学
- DRY(Don't Repeat Yourself):同じコードを繰り返し書かないことを重視し、コードの重複を避けることで保守性を向上させる。
- Convention over Configuration(設定より規約):開発者が明示的に設定しなくても、フレームワークが合理的なデフォルト設定を提供することで、開発の手間を削減する。
2005年:Rails元年と「Web2.0」の衝撃
Rails 1.0のリリース
2005年12月13日、DHH氏はRails 1.0を正式にリリースしました。
Rails 1.0は、開発者にとって非常に使いやすく、生産性を大幅に向上させるフレームワークとして注目を集めました。
Rails 1.0時点の主な機能と構成
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| MVCアーキテクチャの確立 | データベースを扱うActiveRecord、リクエストを処理する ActionPack(ControllerとView)といった現在のRailsの核となる構造が正式に導入 |
スキャフォールディング (Scaffolding) |
コマンド一つでCRUD機能の雛形を自動生成する機能が含まれており、迅速なプロトタイピングを可能にした |
| データベースマイグレーション | データベーススキーマのバージョン管理を容易にするマイグレーション機能が導入され、データベースの変更をコードで管理できるようになった |
| Ajaxサポート |
Railsは当時最先端だったAjaxをネイティブにサポートし、インタラクティブなWebアプリケーションの開発を促進した |
"15分でブログを作る" デモの衝撃
- 「
How to build a blog engine in 15 minutes」として知られるDHH氏のプレゼンテーションでは、DHH氏がRailsを使ってわずか15分でブログエンジンを構築する様子が披露され、そのシンプルさと効率性に多くの開発者が驚嘆しました😲 - このプレゼンはRailsの「公式マーケティング」的な役割を果たし、フレームワークが爆発的に普及する決定的な要因となりました。
私😳:「今じゃ当たり前やけど、20年前に15分で作れるのは衝撃やろな」
Rubyの知名度向上とWeb2.0
Railsの登場は、Rubyの知名度を大きく向上させました。RailsはRubyの魅力を引き出し、多くの開発者がRubyに興味を持つきっかけとなりました。
また、2000年代中頃は「Web2.0」と呼ばれるムーブメントが起こり、ユーザー生成コンテンツ、ソーシャルメディア、インタラクティブなWebアプリケーションが注目されていました。
Railsはこのムーブメントの中で、迅速な開発と高い生産性を提供するフレームワークとして、多くのスタートアップや企業に採用されました🙆
2006年:Twitterの誕生と日本上陸
2005年の衝撃から1年、Railsは急速に普及し世界中に広がっていきました。
Twitterの誕生
- 2006年3月、
Railsで作られた「Twitter」がリリースされました。 - 短期間で開発され、急成長したTwitterは、
Railsの柔軟性とスピードを象徴する成功例となりました⭐️
日本にも届いたRails
- 2006年、日本でも待望の翻訳書『RailsによるアジャイルWebアプリケーション開発』が出版され、
Railsの概念や使い方が日本の開発者コミュニティに広まりました📚 - これにより、日本でも多くの開発者が
Railsを学び、開発現場で採用され始めました。
RESTfulアーキテクチャの採用
- 年末リリースの
Rails 1.2では、RESTfulアーキテクチャが正式に採用されました。 - 具体的には、「リソース(モノ)を中心にURLを設計する」というRESTの概念が採用され始めました。
- これによりこの後の
Rails 2.0以降で、RailsがRESTを前提とした設計思想を持つフレームワークとして確立されていきます。
続く
今回はRailsの誕生から2006年までの軌跡を振り返りました!
次回は2007年以降のRailsの軌跡についてまとめていきたいと思いますので、よければまたお付き合いください🙌
参考記事

