はじめに
仕事をしていると、分からないことや判断に迷うことは必ず出てきます。
そのときに、すぐ質問すること自体は悪いことではありません。
むしろ、分からないまま進めてしまう方が危険な場面もあります。
ただ、何も整理せずに
これってどうすればいいですか?
ここが分かりません。
エラーが出ました。
と聞いてしまうと、相手も状況を把握するところから始める必要があります。
質問する前に少しだけ整理しておくと、相手が答えやすくなり、結果的に自分の仕事も早く進みます。
この記事では、「とりあえず聞く」前に、自分で整理しておくとよいことをまとめます。
対象は以下のような方です。
・質問するときに何を伝えればよいか迷う方
・先輩や上司に確認する機会が多い方
・質問しても、追加で聞き返されることが多い方
・仕事の進め方や相談の仕方を改善したい方
1. 質問すること自体は悪くない
まず前提として、質問すること自体は悪いことではありません。
分からないことを放置したまま進めると、手戻りが大きくなったり、誤った対応をしてしまったりします。
特に仕事では、
・仕様が曖昧
・影響範囲が広い
・自分だけでは判断できない
・確認しないとリスクがある
・相手の意図を取り違える可能性がある
といった場面があります。
このような場合は、早めに確認した方が安全です。
ただし、問題は「質問すること」ではなく、質問する前に何も整理されていないことです。
質問は、相手に丸投げするためのものではなく、仕事を前に進めるためのコミュニケーションです。
2. まず「何に困っているのか」を言語化する
質問する前に、まず自分が何に困っているのかを整理します。
例えば、同じ「分かりません」でも、困っている内容はさまざまです。
・仕様が分からない
・操作方法が分からない
・エラーの原因が分からない
・どの実装方針がよいか迷っている
・自分で判断してよい範囲が分からない
・確認すべき相手が分からない
ここが曖昧なまま質問すると、相手も何を答えればよいか分かりません。
よくない聞き方の例です。
この件、どうすればいいですか?
これだと、相手は状況・目的・判断ポイントをすべて確認する必要があります。
少し整理すると、こうなります。
この件について、A案とB案のどちらで進めるべきか迷っています。
仕様上はA案で問題なさそうですが、既存運用への影響があるか判断できていません。
特に、既存データへの影響有無を確認したいです。
このように、「何に困っているのか」が分かると、相手も答えやすくなります。
3. 自分で確認したことを書く
質問するときは、自分で確認したことも一緒に伝えるとよいです。
例えば、エラーについて質問する場合です。
エラーが出ました。原因分かりますか?
だけだと、相手はゼロから調査する必要があります。
少し整理すると、こうなります。
以下のエラーが出ています。
エラー内容:
〇〇〇〇
確認したこと:
・対象レコードの値は確認済み
・権限設定も確認済み
・同じ操作を別ユーザで試したところ、同じエラーになりました
現時点では、入力規則かフローが原因ではないかと考えています。
見落としている観点があれば教えていただきたいです。
このように、自分で確認したことが書かれていると、相手は同じ確認を繰り返さずに済みます。
また、どこまで調べたかが分かるので、次に見るべき観点を提示しやすくなります。
質問前に整理したい内容は、以下です。
・何を確認したか
・どこまで分かったか
・どこから分からないか
・何を試したか
・試した結果どうなったか
「調べました」だけではなく、何をどう調べたのかまで書くと伝わりやすくなります。
4. 自分の仮説を添える
質問するときは、自分なりの仮説を添えると、やり取りがかなり進めやすくなります。
仮説といっても、完璧である必要はありません。
おそらく〇〇が原因ではないかと思っています。
自分としてはA案で進めるのがよいと考えています。
ただ、△△の影響が判断できていません。
この程度でも十分です。
仮説があると、相手はそれに対して、
その考え方で合っている
そこは違う
その観点に加えて、ここも見た方がよい
A案よりB案の方がよい
と返しやすくなります。
一方で、仮説がない質問は、相手に考える負荷が大きくなります。
どうすればいいですか?
よりも、
自分としてはA案で進めようと考えています。
理由は、既存処理への影響が少なく、修正範囲も限定できるためです。
ただし、〇〇のケースで問題がないか判断できていないため、ご意見いただきたいです。
の方が、具体的なレビューや助言をもらいやすくなります。
質問は「答えをもらう場」でもありますが、同時に「自分の考え方を確認してもらう場」でもあります。
5. 相手に何をしてほしいのかを明確にする
質問するときは、相手に何をしてほしいのかを明確にするとよいです。
例えば、以下はすべて違う依頼です。
・原因を一緒に見てほしい
・方針が合っているか確認してほしい
・どちらの案がよいか判断してほしい
・仕様として正しいか確認してほしい
・対応不要でよいか確認してほしい
・影響範囲に漏れがないか見てほしい
ここが曖昧だと、相手は「何を返せば完了なのか」が分かりづらくなります。
例えば、以下のような聞き方です。
この対応について確認お願いします。
これだと、相手は何を確認すればよいか迷います。
少し具体化すると、こうなります。
この対応方針で進めて問題ないか確認いただきたいです。
特に、既存データへの影響と、運用上問題になりそうなケースがないかを見ていただきたいです。
または、
A案とB案で迷っています。
自分としてはA案がよいと考えていますが、運用影響の観点で問題がないか判断いただきたいです。
このように、相手に求めるアクションを明確にすると、回答の質も上がります。
6. 期限や優先度を添える
質問や相談には、期限や優先度も添えた方がよいです。
相手も複数の仕事を抱えているため、急ぎなのか、今日中でよいのか、今週中でよいのかが分からないと優先順位を付けづらくなります。
例えば、以下のように添えるだけでも十分です。
本日中に方針を決めたいです。
明日の午前中までに確認できれば問題ありません。
リリース判断に関わるため、可能であれば本日15時までに確認いただきたいです。
急ぎではないので、お手すきの際に確認いただければ大丈夫です。
特に、相手に判断を依頼する場合は、期限を明示した方が親切です。
ただし、何でも「急ぎです」とするのは避けた方がよいです。
・本当に今すぐ必要なのか
・今日中でよいのか
・明日でも間に合うのか
・リリースや顧客対応に影響するのか
を整理したうえで、優先度を伝えることが大切です。
期限を添えることは、相手を急かすためではなく、仕事全体の優先順位を合わせるためです。
7. 質問文の型を持っておく
毎回ゼロから文章を考えるのは大変なので、質問文の型を持っておくと便利です。
例えば、以下のような型です。
【確認したいこと】
〇〇について、A案/B案のどちらで進めるべきか確認したいです。
【背景】
今回、△△の対応を行っています。
【自分の理解】
仕様上は、□□の場合に〇〇する認識です。
【確認したこと】
・〇〇は確認済み
・△△では同じ事象が再現
・□□の場合は問題なし
【自分の仮説】
現時点では、A案で進めるのがよいと考えています。
理由は、既存処理への影響が少ないためです。
【見ていただきたいこと】
A案で進めて問題ないか、特に運用影響の観点で確認いただきたいです。
【期限】
本日中に方針を決めたいため、可能であれば〇時までにご確認いただけますと助かります。
毎回ここまで丁寧に書く必要はありません。
ただ、複雑な相談や判断が必要な質問では、このように整理しておくとやり取りがかなりスムーズになります。
簡単な質問であれば、以下くらいでも十分です。
〇〇について確認です。
自分の理解では△△だと思っていますが、この認識で合っていますでしょうか?
□□のケースだけ判断できていないため、確認させてください。
大事なのは、長文にすることではなく、相手が判断しやすい情報をそろえることです。
8. 「聞く前に整理する」は、質問を減らすためではない
ここまで書くと、
質問する前に全部自分で調べないといけない
質問するのは迷惑なのではないか
と感じるかもしれません。
しかし、目的は質問を減らすことではありません。
目的は、質問の質を上げることです。
分からないことを一人で抱え込む必要はありません。
ただ、相手に聞く前に少し整理しておくことで、以下のようなメリットがあります。
・相手が状況を理解しやすい
・回答が具体的になりやすい
・認識齟齬が減る
・手戻りが減る
・自分の理解も深まる
・次に同じような場面で判断しやすくなる
質問は、仕事を止めるものではなく、前に進めるためのものです。
だからこそ、「とりあえず聞く」ではなく、「整理して聞く」ことが大事だと思います。
まとめ
仕事では、分からないことを質問する場面は必ずあります。
そのときに大事なのは、質問しないことではありません。
大事なのは、相手に丸投げするのではなく、自分で整理したうえで相談することです。
質問する前に、以下を整理しておくと、やり取りがスムーズになります。
・何に困っているのか
・何を確認したのか
・どこまで分かっているのか
・どこから分からないのか
・自分の仮説は何か
・相手に何をしてほしいのか
・いつまでに回答が必要なのか
「分かりません」と伝えること自体は悪くありません。
ただ、その前に少しだけ自分の頭で整理しておくと、相手にとっても、自分にとっても、仕事が進めやすくなります。
質問力は、単なるコミュニケーションスキルではなく、仕事を前に進める力の一つだと思います。