これも初心者からよく聞かれるお題なので。
AS/400とIBM i のファイルシステム構造のちがい
全体図は下記になります。
AS/400時代(IFS実装以前)のファイルシステム
AS/400時代は下記の3つのファイルシステムがあり、それぞれ独立したファイルシステムでアクセスできる手法・クライアントも特定されていました。
AS/400時代のライブラリー・ファイルシステム
当時はファイルシステム、とは呼ばず単にライブラリーと呼んでいましたが便宜上このように表記しました。
格納される(作成可能な)オブジェクトは現代のIBM i と共通です。(オブジェクトの種類や稼働するS/W等は増えましたが)RPG,COBOL,etc. Db2 for i, IBM i OSの必須オブジェクト類(ユーザープロフィール、各種の実行・運用管理系オブジェクト、セキュリティオブジェクト、ほか)です。
これらは5250端末やリモートシステムからのプログラムコールなどでアクセスが可能です。(これも現代のIBM i と同じ、ただし現代IBM i はアクセスメソッドが現在の標準に合わせて相当増えています(REST,etcなどです)
AS/400時代の文書ファイルシステム DLS
DLSはAS/400時代にライブラリー(DB2/400)のような固定長メインのRDB形式でなく可変長のストリームファイル形式のファイルを扱うためのファイルシステムでした。現在のIBM i ではIFSの/QDLSライブラリー配下に統合されアクセス可能になっていますが、AS/400時代にはWRKFLRコマンドなどDLOファイルシステムを操作する専用コマンドから操作するものでした。
AS/400時代のPCサポート 共用フォルダー
PCサポートは現在のIBM i Access、ACS等のご先祖様に位置づけられるS/W名称です。PCサポートはPCクライアントとのファイル転送、オーガナイザー機能によりCLPからPCコマンド実行など当時必要とされるクライアントとの連携機能を提供していました。PCサポートはDOS, WINDOWS, OS/2等の当時のクライアントOS毎に提供されていました。
IBM i 時代のファイルシステム(統合ファイルシステム IFS)
IBM i時代になりAS/400では3つに分離していたファイルシステムを単一のファイルシステムとして操作したい、というニーズが生まれ、ルートディレクトリー '/'(ルート)を作成し、その配下にそれぞれのファイルシステムをサブフォルダーとして統合しています。また、上図にあるように新しい属性を持つファイルシステムも追加されています。
IFS : Integrated File System には二種類の意味があります。
狭義のIFS : ライブラリーファイルシステム以外のファイルシステム
ライブラリー以外のファイルシステムを狭義の意味でIFSと呼ぶことがあります。
広義のIFS : ライブラリーシステムも含むすべてのファイルシステム
ライブラリーファイルシステムを含むIBM i が管理するすべてのファイルシステムを広義のIFSと呼びます。
上記2つ(狭義・広義)は文脈で使い分けされることが多いので、慣れないとちょっとわかり難いかもしれません。
狭義のIFSはCIFS(SMB), SAMBA, NFS などでファイル共有が可能
たとえば、IBM i 上の /home/GOMA というフォルダーを CIFSでWINDOWSクライアントのネットワークドライブにマウントしたりできます。