これはデザイン科学を読んだ時の備忘録として書いたものです。
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要点
- 有史以来素朴な人工物においては使う人と作る人は同じ人だったが、複雑化大規模化に伴って作る人が独立し役割も年々細分化されていった
- デザインの代表的分類に工業デザイン(INDUSTRIAL DESIGN)と工学設計(ENGINEERING DESIGN)が存在する
- 工業デザインは芸術に視座を置き使用者や使用環境と人工物との関係性に注目したもの
- 工学設計は自然科学や工学に視座を置き、昨日や人工物の性能に注目したもの
- 2つのデザイン分野が生まれたのは背景に産業革命がある
- ものづくりが機械化していった結果美しさが欠ける人工物が溢れた
- アーツ・アンド・クラフツ運動により中世の手工芸が再評価され人工物に芸術的観点からの意匠が施される様になっていった
- 工学設計は戦乱時代に誕生したシステム工学(SYSTEM DESIGN)によって大きく進展する
- 1969年に広範囲的な研究を用いて行うシステマティックなデザイン手法である「デザイン科学(design science)」提唱される
- デザイン方法に関する会議の講演者リッテルによりトップダウン的手法を用いて問題解決ができるかどうかを定義できる「おとなしい問題(tame ploblem)」と定義ができない「意地悪な問題(wicked ploblem)」という
- 意地悪な問題に対してはトップダウンではなくデザイナーがファシリテーターの立場を取りステークホルダーが自らデザインを行う手法を推奨しそれを「第2世代」区分し 旧来のトップダウン的手法を「第一世代」とした
- デザイナーの直感、思いつきなどを包括した方法は「第3世代」した
- 「世代」という表現は全世代を否定するのではなく 各世代が混ざり合って現在のデザイン活動があり、問題に応じて多様なアプローチをするため
- デザイン科学に関しての定義は年々議論されてきた
- 2000年代には「デザイン行為における法則性の解明及びデザイン行為にもちいられる知識の体系化を目指す学問」としてデザイン学の中核をなすとしている
- 同時にデザイン科学の枠組み(framework for design science)を定義している
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デザイン知識(design knowledge)
- デザインにおける色彩や形態に関する科学知識などの客観的知識とデザイナー個人の経験知もしくはそれに基づいたデザインに関するノウハウに関する主観的知識からなる
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デザイン行為(designing)
- デザイン実務
- プロダクトデザイン、建築デザインなどのデザインの実践
- デザイン方法
- 目的の効果的効率的な達成手法を扱う
- デザイン方法論
- デザイン方法の特徴分析、選択指針の構築など複数のデザイン方法を扱う
- デザイン理論
- デザイン行為を説明する法則やデザインモデルを説明する理論を扱う
- デザイン実務
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- デザイン科学の必要性
- 協業しながらのデザインは未だに困難を極める
- 物質的な豊かさにより消費者の価値観が物の充足から心の充足へと変化している
- そのため高機能、多機能ではなく、新しい価値観や新しい体験が求められている
- 以上の解決のためにデザインシンポジウムなどで議論されているが工学とデザインという異なる専門分野で発展した工学設計と工業デザイン統合は進んでいない
- 2つの統合のために新しい基盤を探している
- 近年人工知能の発展によりデザインのあり方においての議論が活発化している
- デザインにおける発送は類比と類推と言われている。そのため多くのデータが扱えるAIがデザイナーの代わりに多様な発想を効率的にかつすばやく行えるのではないかと言われている
- 分析と評価においては人間の研ぎ澄まされた感性や伝統的な美意識、または人間の経験によるデザインの意味付けはAIでは難しいので人間に分があるのではないかと言われている
- 本書ではデザイン科学の先端的試みである「多空間モデル」とそれを用いたデザイン方法論である「Mメゾット」について説明していく