色んな振り返り
振り返りに関するセッションを聞く機会がありました。
RSGT2021#ふりかえり手法のおもちゃばこ
Youtubeにも映像が公開されましたので、ぜひご覧ください。
普段振り返りは良くやっていますが、こんなに色んなやり方があるとは初めて知りました。
ふりかえりを拡張する「ふりかえりチートシート」
今回はその中でも個人的にやってみたい、面白いなぁと思った振り返りをいくつか調べてみました。
聞いたことある!って思うような振り返り
KPT
- Keep
- Problem
- Try
良かったこと・続けるべきこと(Keep)と気になったこと、改善すべきこと(Problem)を振り返って、その中から次にやってみること(Try)を決めます。
Keepを3分~5分、Problemを3分~5分、各自振り返りをどんどん書いていきます。
書き終わったら内容を全員で共有、次のTryを協議して決めていきます。
Tryは現実的に実践できる数が限られるので、2~3個ぐらいが良いかと思います。
振り返りにおいて課題の改善は重要ですが、PやTに集中しすぎると雰囲気が暗くなってしまうので、Kもしっかり行ってポジティブに振り返りできるようにしましょう。
YWT
- Y:やったこと
- W:わかったこと
- T:次にやること
英語の略かと思いきや、YWTは日本語の略でした!(気付かなかったw)
日本能率協会コンサルティングで開発した手法らしいです。
何をやったのか具体的な経験(Y)を通じて、何が分かったのかを振り返り(W)、それから次に何をするのか(T)を決めます。
振り返りをする際には下記のような業務報告にならないように注意しましょう。
Y:試作品のテストを行った
W:動作不良を起こした
T:改善する
このような振り返りは成長に繋がりません。
日本能率協会コンサルティングではYWTのポイントを以下のように述べます。
- Y
やった事の意図を加え、工夫を記述する
やった事に対する結果を押える
→やった事の意図(狙い・目的)や自分自身の工夫について振り返る事で気付きが生まれます
- W
Yの結果ではなく、結果に対する気付きを記載する
→得られた結果(判明した事実)ではなく、 なぜそのような結果が得られたかという気付きや考察を記載します。
- T
具体的かつ出来ることを記載する
→具体的にイメージできるT、実際に実施できるTにすることで次のサイクルへ繋げます。
5つのなぜ
トヨタ自動車から作られた問題解決フレームワークです。
起こった問題に対して「なぜ?」と原因を見つけ出し、その原因に対してまた「なぜ?」と原因を見つけだすことを繰り返します。
これを5回まで繰り返して根本原因を見つけ出すことができます。
大野第一「トヨタ生産方式」の事例
**機械が動かなくなったのはなぜ?** →オーバーロードがかかり、ヒューズが切れたから**オーバーロードがかかったのはなぜ?** →オーバーロードがかかったのは、軸受部の潤滑が十分でないから
**十分に潤滑しないのはなぜ?** →十分に潤滑しないのは、潤滑ポンプが十分くみ上げていないから
**十分くみ上げられないのはなぜ?** →十分くみ上げられないのは、ポンプの軸が摩擦してガタガタになっているから
**摩擦したのはなぜ?** →摩擦したのは、ストレーナー(濾過器)が付いていないので切粉が入ったから
なぜなぜの際には以下に気を付けましょう。
- 1つの具体的な問題を記載する
- 個人ではなく組織の問題を見つける
- 原因→結果の関係になるように繋げていく
人によっては「なぜ?」を何回も聞かれるのはかなりしんどいので、そういう時は「何があった?」という聞き方に切り替えることで精神的な負担を減らすことができます。
前向きになる振り返り
Good & New
良かったこと(Good)と新しく気付いたこと(New)を共有します。
みんなで気軽に発言することで、ポジティブに振り返りを始めるに良い手法です。
基本的には24時間以内にあったことについて話しますが、1週間ぐらいまでは良いんじゃないかなと思います。
話す内容は30秒~1分ぐらいのシンプルなものにして、テンポよく一人ずつ回っていけるようにしましょう。
ポジティブ振り返りマッピング
以下の順番で振り返りを行っていきます。
- Norm Kerthの最優先指令を復唱し、全員で同意を取ります。(この言葉好きです)
どんな道をだどったにせよ、当時の知識・技術・能力・利用可能なリソース・状況の中で、みんなができる限り最高の仕事をしたはずです。それを心から信じます。
- 全員「素晴らしかったこと」を3つずつ記載します。
書き終わったら、出てきた意見を似ているもの同士でグループ化します。 - まだ試していない他の方法を3つ以上考えて記載します。
ここでは問題解決や避難をするのではなく、他の方法にはどういうものがあるかを見つけることに集中します。 - 出てきた他の方法の中で、どれが一番重要か投票して優先度を決めます。
- チームを分けて上位1位、2位の方法について議論し、次に何を試せるかを話します。
この時、個人ではなくチームとして試すことを意識して議論しましょう。 - 各チームで決めた試すことを共有して、チームとして実施していきます。
ポジティブ振り返りマッピングにおいて特に大事だと思ったのは、グループ化することです。
グループ化することでチームの共通的な意見(傾向)が分かって、チームとしての強みや課題を見つけ出すことができます。
感謝
みんなで感謝をしましょう!というシンプルな手法です。
「○○さん、△△してくれてありがとう」とお互いに感謝を伝えていきます。
伝わりやすく具体的な感謝をするようにしましょう。
最初に場作りとしても使えますし、KPTのKに感謝を行うなど、色んな使い方ができます。
チームの関係性、コミュニケーションの向上やモチベーションアップにも役立ちます。
面白そうな振り返り
Blokus
振り返りで行う陣取りゲームです。
やり方はシンプルです。
-
表を用意して各自振り返りをマスに書いていきます。
-
他の人の振り返りにコメントをしましょう。
-
コメントをしたらその人のマスが自分のものになります!
既にコメントがついてるものに更にコメントをしたら一気に全部奪うことができます。 -
時間制限が終了した時点で陣地が一番広い人の勝ちです!
時間制限は3分~5分ぐらいで良いでしょう。
このようなイメージになります。
コメントを書きながらゲームを進めるため、内容の共有が要らないのが特徴です。
とにかく楽しいですが、振り返りよりもゲームに勝つことに夢中にならないように気を付けましょう。
闇鍋
最初に「どんなテーマで話したいか?」を全員で付箋に書いていきます。
付箋を全て箱に入れて、見えないようにします。
箱から1つ付箋を引いて、出てきたテーマについて話すシンプルな手法です。
KPTみたいに決まったことに対して話すわけではないので、普段は話さないようなことについても話すことができます。
くじ引きみたいに楽しく振り返りできる手法です。
感情から振り返る
Mad, Sad, Glad
**感情(喜、怒、哀)**をベースに振り返りを行います。
起こった事実からではなく感情から思い出すことで、他の手法とは違う観点で振り返りができます。
普段は気付かないようなことに気付いたり、素直な意見が出てきたりします。
注意することは、個人の感情なので意見の違いを理解して大事にするようにしましょう。
また、いきなり感情を出すことを難しく感じる人も多いので、そのような場合は最初にGood&Newや感謝などで場作りをして話しやすい雰囲気を作りましょう。
ORID
- Objective ( 事実・振り返る事 )
- Reflective ( 反応・気持ち )
- Interpretative ( 解釈・学び・気づき・原因 )
- Decision ( 決断・次の行動・アクション )
この4つを順に問いかけていくことで、体験→内省→行動へつなぎやすいというものです。
質問や会話のテクニックとしても紹介されますが、自分自身に問いかけて答えていくことで、1人でも深く振り返りを行うことができます。
以下のように問いかけていきます。
- Objective question
「何が起こったか」を問いかけます。
→あなたの課題はなんですか?
- Reflective Questions
上で述べた事実に対して「どう感じたか」を問いかけます。
→それに関してどう思いましたか?
- Interpretative Questions
事実と感情をもとに「どういう意味があったか」を問いかけます。
→そのことから何を学びましたか?
→新しい気付きは何かありましたか?
- Decisional Questions
事実と感情、気付きをもとに「今後どうするか」を問いかけます。
→今後どうやってその課題を改善しますか?
→トライしてみたいことがありますか?
まとめ
10個ぐらい気になった手法を調べてみました。
この中で実践できた手法は5個ぐらいですが、どれも新しい感じで振り返りすることができて楽しかったです。
これらはあくまでも振り返りをやりやすくするためのフレームワークなので、1つの手法に縛られないで色んな手法を組み合わせてやってみても良いと思います。
KPTと感謝を組み合わせたり、KPTをグループ化してポジティブ振り返りマッピングのようにやってみたり、工夫すれば色んな振り返りができそうです!
オンラインで使える振り返りツール
miroがおすすめです。
紹介した手法はほとんどホワイトボードに付箋さえあればできます。
また、いくつかテンプレートも用意されていますので、そちらを使ってみるのも良いでしょう。