はじめに
以前、AIと一緒にWebツール「Mask&Unmask」を作成し、公開まで進めることができました。
そこで次に試したのが、ゲーム開発です。
今回確認したかったのは、単に「AIでゲームが作れるか」ではありません。
- ゲーム開発ではどんな設計書が必要なのか
- 何を事前に決める必要があるのか
- Webツール開発で感じたAIの実装・レビュー速度は、ゲームでも通用するのか
- 実際に遊べるところまで作ったとき、どんな問題が出るのか
これらを確かめるために、KANBAN PANIC を開発しました。

炎上したプロジェクトを立て直していく、カンバン形式のゲームです。
開発してみると、実装や設計レビューの速さはゲームでも変わりませんでした。
一方で、最初に完成したものを遊んでみると、
ゲームとして成立しているのに、あまり面白くない
という問題が出ました。
この記事では、KANBAN PANICの開発を通して分かったことをまとめます。
なぜWebツールの次にゲームを作ったのか
Webツール開発では、AIを使うことで実装や設計レビューをかなり速く進められることを経験していました。
そこで次に、
このやり方はゲーム開発でも通用するのか
を試してみることにしました。
今回は完成させることだけでなく、ゲームではどんな設計資料が必要なのか、どこまで事前に決めるべきなのか、どの順番で開発を進めるとよいのかも検証対象にしました。
KANBAN PANICについて
KANBAN PANICは、炎上したプロジェクトを立て直していくゲームです。
プレイヤーはプロジェクトを進めながら、タスクをカンバン上で管理します。

案件ごとに条件が異なり、発生するタスクや状況を見ながら進めていきます。
開発現場で起こりそうな「炎上」を、ゲームとして遊べる形にしたものです。
開発期間
開発期間は約1か月半でした。
作業ペースは、おおよそ以下です。
- 1日2時間
- 週5日程度
途中で別のアプリ開発を進めていた期間もありました。
普段の仕事が終わり、子どもたちを寝かしつけた後の空いている時間で開発しています。
Webツールで感じたAIの強みはゲームでも通用した
AIによる実装やレビューの速さは、KANBAN PANICで初めて感じたものではありません。
以前のMask&Unmask開発でも、
- 実装の速さ
- 複数資料を横断したレビュー
- 設計上の齟齬や抜けの発見
には強みを感じていました。
KANBAN PANICでも、この点は変わりませんでした。
実装では、人の手なら何日もかかりそうな作業が短時間で終わることがありました。
レビューでも、複数の設計資料を確認させることで、
- 設計同士の齟齬
- 記載漏れ
- 仕様の抜け
を短時間で見つけることができました。
人が多数の資料を横断して確認するには時間がかかります。
Webツール開発で感じていたAIの強みが、ゲーム開発でも活かせることを確認できました。
ゲームとして成立していても、面白いとは限らなかった
一方で、実際に完成したゲームを遊んでみると別の問題が出ました。
初期の状態では、プレイするたびにほぼ同じ展開になっていました。
ゲームとしては成立していて、仕様どおりにも動いています。
ただ、毎回似た流れになるため、繰り返し遊ぶには単調でした。
そこで、次の要素を追加しました。
- 発生するタスクをランダム化
- 1on1によるパワーアップ
- プレイする案件や条件を追加
- プレイ回数を記録
- 特定条件でクリアした履歴を記録
これらは最初の設計には入っていませんでした。
実際に遊んで初めて、
ゲームとして動くだけでは足りない
と分かりました。
KANBAN PANICのように、見た目に大きな動きが少ないゲームでは、
- プレイごとの変化
- 繰り返し遊ぶ理由
- 条件を変えて再挑戦する要素
を設計段階から考える必要があると学びました。
実装や設計レビューはAIによって速く進められても、「実際に遊んで面白いか」は、完成したものを触って初めて分かる部分がありました。
AIで「まず作って試す」が現実的になった
KANBAN PANICを作る前は、
こんなのを作ったら面白いかもしれない
と思っても、人の手だけで開発する場合はかなりの時間が必要になるため、普段の仕事が終わった後の空いた時間にを利用して形にするのは難しいと感じていました。
AIと一緒に開発すると、その時間を大きく減らせます。
その結果、自分の中で大きく変わったのは、
作る前に悩み続けるのではなく、まず作ってから良し悪しを判断できる
ようになったことです。
以前は、「本当に作る価値があるか」を作る前にかなり考える必要がありました。
今は、まず形にして、実際に触ってから続けるかどうかを判断できます。
自分にとっては、この変化がAI駆動開発で一番大きいと感じています。
今回の開発で分かったこと
KANBAN PANICの開発を通して、主に次のことを確認できました。
- Webツールで感じていたAIの実装速度は、ゲーム開発でも有効だった
- 複数の設計資料を横断したレビューも有効だった
- 仕様どおりに動くことと、ゲームとして面白いことは別だった
- リプレイ性は設計段階から考えたほうがよかった
- AIを使うことで「まず作って試す」という進め方が現実的になった
今回作ったKANBAN PANICはこちらです。
AIと一緒にゲームを作る実験は、PromptLab Gamesとして続けていきます。
今後も、AIを使った開発で何ができるのかを、実際に作りながら検証していきます。