はじめに
ITを始めとして、プロジェクトを進めるためには様々な問題点や検討事項が発生します。これらを課題として管理し、適切に対応することがプロジェクトを進める上で重要となります。
そこで重要になってくるのが、課題管理になります。課題管理とは、何か課題が発生したらそれを追加し、期限や担当者を決め、解決までの計画(方向性やアウトライン)を決め、それに基づき対応状況を管理していく方法です。
言葉で書くと簡単そうではありますが、実際にやろうとすると躓く部分も多く、対応漏れや遅れにつながることがあります。また、必要以上に管理に時間をかけてしまい、他の作業に影響を与えたり、過重労働につながることもあります。
そこで、今回はプロジェクトにおける課題管理の考え方を説明していきたいと思います。
この記事の対象者
- プロジェクト管理を行うマネージャやリーダーの方
- PMOとしてプロジェクト推進を担当する方
- プロジェクトメンバーとして、課題管理の方法を理解したい方
- うまく問題点の解決ができず、糸口を掴みたいすべての方
目次
- なぜ課題管理が必要なのか?
- 課題管理の対象
- 課題管理の進め方
- 課題管理表を作る
- まとめ
1.なぜ課題管理が必要なのか?
例えばとある天才的な人がいて、どのような問題も瞬時に自力で解決することができるのであれば課題管理は不要なのかもしれません。しかし、現実的に問題解決のためには他のメンバーやチームを巻き込んだり、時間をかけて調整する必要があります。それらを頭の中だけで整理することは難しいため、課題管理を行う必要性があります。
課題管理が必要な理由を整理すると、以下のようなものが挙げられます。
1.1 対応漏れを防ぐため
例えば、作業を行っている中で何か問題に気が付き「後で対応しよう」と思ったとします。しかし、多くの場合「後でやろう」は忘れてしまい、対応が漏れることがあります。そこで、思いついた課題を何らかのタスクリストやメモなどに記載しておきます。
タスクリストやメモを定期的にチェックすることで、対応漏れが起きる可能性を少なくできます。個人で行っても効果的ですが、チームで管理することでより効果を発揮します。
これが課題管理の第一歩です。
このように、必要な対応の漏れを防止する意味で、課題管理は重要なものとなります。
1.2 思い込みによる誤りを防ぐため
個人の頭の中のみで課題対応を行っていると、時間の経過とともに「どこまで対応したか」がわからなくなったり、確認した内容を忘れてしまったりといったことが発生します。
その結果、思い込みにより「まだ確認していない確認事項が抜け落ちてしまう」ことや、「誤った判断をしてしてしまう」という結果に繋がります。
課題管理として対応状況をしっかり記録しておくことで、思い込みによる誤りを少なくすることができます。
例えば、「どこまで対応したか」を随時記録しておけば、期間が空いても続きから再開することがしやすくなります。「確認した結果」を記載していれば、内容を忘れてしまっても思い出すことができます。
このように、状況を正しく記録して思い込みによる誤りをなくすためにも課題管理は重要となります。
1.3 状況を正しく把握するため
課題に対して対応のゴールや計画が不明確なまま進めると、行き当たりバッタリでの対応となり、結果時間をかけても解決しなかったり、状況が把握できず周りが適切なフォローができなかったりと言った問題が発生します。その結果、スケジュール遅延や成果物不備などでプロジェクト全体に影響が出る自体になることもあります。
そのため、課題管理において計画やゴールを定めた上で対応を行うことが重要です。
計画を定めておけば、現在の対応が遅れているのかどうかがわかりやすくなります。ゴールが明確であれば、今の作業の方向性が合っているかがわかりやすくなります。
その結果、対応の遅れがあったら体制見直しやスケジュール調整を行ったり、誤った方向性に進んでいたら是正したりといったことが行えるため、新たな問題が発生する確率を下げることができます。
このように状況を正しく把握し、必要に応じて適切なフォローを行うためにも、課題管理は重要となります。
1.4 個人の負担を軽減するため
個人の負担を軽減するためにも課題管理が重要になります。
作業中に負担の高い問題点が発生した場合、それを個人で対応を行おうとすると、残業が超過したり、他の作業に影響が発生する可能性があります。課題として管理することで、対応するメンバーを調整したり、作業量やスケジュールを調整することができます。
個人に必要以上に負担をかけないためにも、課題管理は重要な役割を担います。
1.5 未知の内容に対応するため
プロジェクトを進める上で、実績が無い未知の内容を対応することもあります。そのような場合こそ、課題管理をしっかり行うことが重要です。
何をしたら良いか想像もつかないような事であっても、それを複数の事象に分割し、課題として一つずつ解決していく事で、目標を達成できる可能性が高まります。
例えば、導入実績のない何らかのサービスを導入したい場合、「契約方法を調べる」、「利用料金を調べる」、「予算を確保する」、「利用部門と調整する」、「導入手順を確認する」など、いくつかの調整事項やタスクに分割できます。これらを洗い出して分割することができれば、後は一つずつ対応していくことで目的が達成できます。そして、その中で新しく発生する問題点や不測の事態を、新しい課題として管理していけば良いのです。
未知の内容に対応するときこそ、しっかりと課題管理をしていくことが重要です。
2.課題管理の対象
課題管理を行う目的がわかってきたところで、どのようなものを課題として管理するべきかを整理していきたいと思います。課題管理するべき対象は、組織や状況によって様々なものがあります。今回は以下の3点をもとに説明したいと思います。
2.1 問題事項
課題と表現して最もイメージしやすいのは、この問題事項になるかと思います。プロジェクトを進める上で障壁となり、解決しなければならない要因となります。
具体的には、以下のような内容が考えられます。
- 技術的に解決困難である内容
- 情報が不足していたり、手順が不明である内容
- 実績の無い未知の内容
プロジェクトを進める上で、大小様々な問題点が発生すると思います。そのすべてを課題管理するのも良いですが、実際にはコストの関連で難しいと思います。どのような問題事項を課題として管理するかと言う点は議論の余地がありますが、一つの考え方として以下のような基準があるのではないかと思います。
- 自己解決が難しい
- 当日中に解決することが難しい
- スケジュール遅延など、プロジェクトに影響を与える可能性がある
- 対応内容を記録として残しておきたい
2.2 調整事項
プロジェクトを進める上で必要となる様々な調整事項も、課題管理の対象となると考えられます。具体的に調整事項とは、以下のような内容が挙げられます。
- 各種ステークホルダーとの間での何らかの取り決めを行うべき内容
- どこかから依頼を受けた内容、こちらから依頼を出した内容
- Q&A(質問と回答)
調整事項に関しても、ちょっとしたやり取りをすべて課題管理しておくのはコストの面で大きくなってしまいます。こちらについても議論の余地はありますが、一つの考え方として以下のような基準が設けられると思います。
- 調整に数日単位の期間がかかる(途中で失念される恐れが高い)
- 後続タスクに大きく影響を与える可能性がある
- 他チームに影響が発生する
- 対応が漏れたときの影響が大きい
メールやチャットツールとの切り分けについて
調整を行う場合、メールやチャットツールを利用して行うことも多いと思います。その場合は文書として結果が残るので、あえて課題管理までしなくてもよいのではないかという意見もあります。
しかし、メールやチャットのみで管理していると以下のような問題点があります。
- 対応状況が見えない(いちいち内容を読まなければならない)
- 途中で対応が中断してしまっても検知できない
- 後で、どこに書いてあったかわからなくなる
そのため、重要な調整事項についてはメールやチャットのみではなく、課題管理を行う価値は十分にあります。
2.3 リスク
プロジェクトを勧める上でリスクとなり得る内容を管理します。リスクとは、現時点でなにか問題が発生しているわけではないものの、今後何らかの問題になり得る内容となります。
リスクの例にも様々なものがありますが、一例として以下のようなものが挙げられます。
- あるタスクの難易度の高いため問題が発生するリスクがある
- 外部企業の倒産や投資中断など、外的要因による問題が発生するリスクがある
- すぐにクレームを出す関係者など、心理的なリスクがある
- 情報漏えいなどセキュリティのリスクが有る
リスクの対応方法としては、以下の4つに分類されることが多いです。
リスクの回避
そのリスクが発生しないように対処を行うことです。リスクが発生することで致命的な問題が発生する事がわかっている場合に選択されます。
リスクの転嫁
リスクを外部に転嫁してしてしまうことです。一般的な例でいれば、保険に入るということがその例です。あるいはセキュリティ対応を専門企業に委託したりすることも該当します。
リスクの軽減
リスクが発生したときの影響を最小限に抑えることです。例えば情報漏えいの可能性を考えてサーバに個人情報を置かない、などの対処が考えられます。
リスクの許容
リスクを受け入れることです。リスクの回避、転嫁、軽減を行うことがが難しく、かつリスクが発生しても影響が少ない場合に取る方法です。
リスクはどこまで管理するのか?
問題点や調整事項と違って、リスクについては検知された時点ですべて課題管理するのが理想と考えられます。なぜなら、リスクに対してどのような対処や判断を行ったかを記録しておくことが重要だからです。
「リスクの回避」を選択したとしても、回避した理由を整理しておくことが重要です。それらは将来的にそのリスクが発生したときの重要な情報源となります。
3.課題管理の進め方
前章までで課題管理の目的と、対象とするべき内容を説明しました。次は実際に課題管理を行う流れを見て行きたいと思います。
課題管理の流れはいろいろな方法がありますが、今回は流れで説明致します。
3.1 課題の検知
まずは課題の検知が発生します。課題を検知した際のポイントをいつくか紹介致します。
課題管理表に起票する
課題を管理するためには、課題管理表を使用すると良いでしょう。課題管理表については次の章で詳しく説明しますが、課題の内容や状況、期限などを管理する資料です。Excelのような表計算ソフトで作ったり、BacklogやNotionなどのツールを使って作成することもあります。
この課題管理表に課題を記載することが、課題管理の第一歩となります。
何を記載するのか?
課題の起票の際に記載するべき情報にも議論の余地がありますが、以下のような内容が記載されていると良いかと思います。
- 課題の概要
- ゴール
- 期限
課題の概要は、課題の概要が分かる情報を簡単に記載します。課題を把握するためには必須の項目となります。
課題のゴールを示しておくことで、実際の対応を行う際にブレなく動きやすくなります。これは起票のタイミングが最も描きやすいので、可能な限り書いておいたほうが良いです。
期限も重要です。期限が無いものは後回しにされてしまうので、暫定でも良いので期限を記載すると良いでしょう。
正確に記載するより「まずは起票する」ことが重要
課題の起票は、正確なものを書ければそれに越したことはないのですが、情報が不足していたりして正確に書けないことも多いです。そのため、まずは起票することを意識すると良いです。極端な話「サーバが原因不明でダウンする」程度の記載でも良いと思います。起票さえしておけば、その後情報が整理されていく中で追記していけば良いです。
3.2 課題の状況管理
起票した課題に対して、解決するまでの状況を管理(コントロール)します。具体的には、担当者を決め、計画を立て、その計画を元に対応を行い、その中で不測の事態が発生したら計画を見直ししつつ、課題の解決を行います。
課題の管理にもいくつかポイントがありますので、ご説明します。
担当者を決める
まずは担当者を決めます。担当者を決めることで、そのタスクの責任が明確になり、対応がしっかり進められる可能性が高くなります。「気がついた人が対応しよう」は望ましくはなく、結局対応されない可能性が高くなります。
起票者を無条件に担当者にしてはいけない
課題を起票した人を無条件に担当者にするのは望ましくないです。理由は、課題を起票(報告)したら業務が増えるということになると、課題として起票するよりも自分で対応したり、場合によっては隠蔽したほうが良いという考えになり、課題の検知が漏れる恐れがあるためです。
とは言え、スキルやタスク状況など総合的に判断して起票者が対応したほうが良いと判断できれば、起票者を担当者としても良いと思います。
あるいは、課題を対応することでインセンティブが発生するなど対応者にメリットを出せるのであれば、一旦は無条件に起票者を担当者としても良いかもしれません。ただし、その場合も業務負荷にならないように注意する必要があります。
「誰かがやってくれるだろう」は危険
リーダーやマネージャの立場になった時、担当者を指名するというのは意外とエネルギーを使います。そのため、「誰かがやってくれるだろう」と考えて手が挙がるまで放置されることがありますが、それは対応漏れにつながるため望ましく有りません。
大変ではありますが、しっかりと担当者を決めることが重要です。
計画を立てる
担当者が決まったら、完了までの計画を立てます。計画は担当者に立ててもらっても良いですし、管理者側がアウトラインを引いて担当者に伝える形でも良いと思います(その場合は、担当者の同意を得ることが必須と思います)
ただし、課題の内容によっては情報が少なすぎて計画が立てられないこともあります。その場合は「計画を立てる」という計画を行います。具体的には、計画に必要な情報を収集したり、収集した情報を元に計画を立てることをタスクとして計画します。そのようにして一歩ずつ着実に進めていくことが重要です。
「どうすればできるか」が重要
よく、「●●がわからないから対応できない」ということを言う人がいます。その場合、どうすれば●●をわかるようになるのかを計画することが重要です。
できない理由を探すより、どうすればできるかを考えることが、課題対応の大きなマインドとなります。
定期的に状況確認する
定期的に課題一覧表を見直し、計画通りに対応が進んでいるかどうかをチェックします。何らかの理由で計画通りに進んでいなければ、計画を見直したり、阻害要因を是正したりといった対応を行います。
課題が大きくなったら分割する
課題の対応をすすめる中で、対応内容が多くなってくることがあります。ある程度拡大してきたらタスクを分割して行くことも重要です。
どのくらいで分割するかという点も議論の余地がありますが、以下のような基準が考えられます。
まずは、一つの課題は一つの事象とするという考えに基づく方法です。一つの課題で複数の事象が含まれていると、方向性が定まらずいつまでも完了させられなくなる可能性があります。複数の事象が含まれていると感じた場合は、別の課題として分離することが重要です。
次に、課題対応中に新しい事象が検知さらたら別の課題にすると言う考え方も重要です。課題の対応を行う中で別の事象を検知することはよくあります。その事象を同じ課題の中で対応してしまうと、当初の目的と異なる理由で課題がいつまでも完了せず、適切なコントロールができなくなります。その場合、新しく検知した事象は別課題として起票することが有効です。
3.3 課題を完了にする
課題の対応が終わったら、課題を完了させます。
どのタイミングで完了させるのか?
完了させるタイミングはある程度の注意が必要です。
例えば、何らかの検討を行う課題があったとします。その検討が終わったタイミングで課題を完了にしてしまい、肝心の検討結果の反映(資料に反映させたり、システムの実装に組み込んだり)が漏れてしまうことがあります。
そのため、具体的な反映まで完了させることを、課題完了のゴールにするのが適切です。
検討結果の反映まで時間がかかる場合、いつまでも課題をオープンにしておくのも良くないので、別途スケジュールやタルクリストなどに追記して「漏れない仕組み」を構築した上で完了にするのも一つの手です。
3.4 振り返りを行う
課題については基本的に完了となればそれで終わりなのですが、その後振り返りに利用することでも効果があります。
プロジェクト完了時の振り返り
プロジェクト完了時に課題の振り返りを行うことで、今後に活かすための施策が発見されたり、見直しをしなければならない箇所を洗い出されるなど、良い効果が出ることがあります。プロジェクトの振り返りの際に、課題一覧は有力な資料となります。
別プロジェクトの参考にする
別プロジェクトの開始時に、過去の課題一覧表が参考になることが多いです。類似プロジェクトで課題として上がっている内容は次のプロジェクトでも同じ問題に直面する可能性が高いので、事前に計画に組み込んでおくことでコストを抑えることができます。
ナレッジとして検索できるようにする
課題一覧の中身を検索できるようにすると、何かの対応時にヒントにできることが多いです。
課題管理表をチェックする仕組みが重要
課題管理表を作成していくつかの課題が記載されているものの、忙しくなって誰も見ることがなくなり、結果として対応が漏れてしまったり、課題管理表の運用が自然消滅してしまう・・・。そのようなことが頻繁に発生します。そうなると、課題の意味がなくなってきますし、意味のない管理表が多くなるとメンバーの不満も大きくなります。
そのため、課題管理表を作ったらそれをチェックする仕組みが重要です。具体的な対応は様々なものがありますが、例として以下のような手が考えられます。
- 定例ミーティングで確認する
- リマインダツールに、繰り返し予定で「課題管理表の参照」のような予定をいておく
- 期限が切れそうな課題をリマインドしてくれる機能を使う
特に、リマインドの利用は有効です。Excelでは難しいですが、プロジェクト管理ツールの中には期限が切れたものや本日対応予定のものをリマインドしてくれるものもあります。ツールに備わっていなくても、別途カレンダーやタスクツールのアプリを利用して、定期的にチェックする予定を設定しておくだけでも有効です。
また、課題管理表のチェックはリーダーが行ってもよいのですが、そうするとリーダーの負担が大きくなる恐れがあります。そのため、PMOのようなチームに管理を依頼したり、別途チェック担当者を任命してチェックしてもらうということも有効です。
気持ちややる気だけでいつまでもチェックを続けることは難しいので、チェックする仕組みを作っておくことは重要です。
4.課題管理表を作る
課題の管理を行う場合課題管理表を作ることが有効です。課題管理表とは、前章でも記載したとおり課題の内容や状況、期限などを管理する資料です。
実際に課題管理表で管理するべき項目は状況によって異なりますが、以下のようなものが挙げられます。
4.1課題のタイトル
起票する課題のタイトルを記載します。タイトルはなるべく簡潔で、事象がひと目で分かるものが望ましいです。具体的には、以下の点を意識すると良いでしょう。
- 主語をしっかりと記載する
- 事象を簡潔に記載する
- 複数の事象を記載しない(複数の事象がある場合は課題を分割する)
- 一部の人にしか伝わらない表現を行わない(例:昨日の打ち合わせの件、など)
- 長くなりすぎない(詳細については別で記載する)
4.2 課題の詳細
課題のタイトルに続いて、詳細を記載する項目が重要です。タイトルはひと目で事象がわかるものであることが望ましいですが、詳細は実際に起きていることを明確に記載すると良いでしょう。課題の詳細として何を記載するかは状況によって異なりますが、以下のような点を記載すると良いでしょう。
- 今起きていること
- 発生した経緯
- 影響範囲
- 解決しないと何が起きるのか
- あるべき姿
- 課題のゴール
4.3 課題の対応計画
課題の対応を行う上での「計画」を記載します。計画については以下のようにアウトラインで記載すると良いでしょう。また、可能な範囲で対応予定(期日)も記載すると良いです。
11/11 インターフェース素案を作成する
11/12 内部レビューを実施
11/13 ●●チームに確認依頼を出す
11/15 ●●チームの確認〆
11/17 指摘対応
11/18 設計書に反映
4.4 担当者
現在担当している担当者を記載します。
※ 担当者の記載方法は前章で記載しているため、ここでは省略します。
4.5 ステータス
課題の対応状況がひと目で分かるようなステータスを記載します。ステータスは、フリー入力ではなく選択形式とした方が良いです。フリー入力だと人によって記載が変わるためわかりにくくなることと、表記ゆれなどで集計や並び替えが行いにくくなるからです。
ステータスの選択項目はプロジェクトによって異なりますが、以下のような内容があると良いと思います。
未着手
課題を起票し、まだ着手していない状態となります。課題起票時の初期値として記載します。
対応中
課題の対応を開始した際の状態となります。このステータスのものが現在対応中なので、随時状況を確認する必要があります。
完了
課題の対応が完了した状態です。これ以上対応することがないときに記載します。完了となった課題は、非表示にしたり、ソートで後ろになるようにするなどして、見えにくくすることが重要です。
上記以外に、必須では有りませんが以下のようなステータスもあると便利です。
確認待ち
課題の対応が一通り完了し、外部ステークホルダーから確認待ちの状態です。つまり自チーム以外の誰かがボールを握っていると言う状況です。必須の項目では有りませんが、対応中と分けて管理しておくと便利です。
レビュー中
こちらは、対応自体は完了していて、チーム内でレビューを行っている状態です。対応中と一緒にしてもよいのですが、分けておくことで状況把握がしやすくなります。
保留
何らかの理由で課題の対応を一時中断している状態です。対応中や確認待ちで止めておいても良いのですが、課題の棚卸しで毎回対象となると手間なので、ステータスを分けておくと便利です。
取り消し
何らかの理由で、起票した課題を取り消した場合のステータスです。例えば、起票したものの認識が誤っていて本来課題とするべきではなかった、と言うような状況が考えられます。完了としても良いのですが、「何もしていない」事がわかるようにステータスを分けておくのも便利です。なお、「何らかの理由で対応をしない判断を行った」というのは、取り消しではなく「完了」にすると良いでしょう。これは「対応しないと言う判断を行う対応をした」と言うことになります。
4.6 期限
課題を完了する期限を記載します。期限は非常に重要な項目で、これを設定していないと対応が遅れ、場合いよってはリカバリのために本来不要な時間を取られてしまう恐れがあります。
中には「いつ対応しても良い」、「余裕があれば対応したい」という課題もあります。そういった課題は、ひとまず暫定の期限を設定しておくと良いです。
基本的に期限を設定したら遵守することが重要ですが、必要に応じて見直しも必要です。無茶な期限を共用する体制が常態化してしまうと、期限への意識が薄くなり遵守されにくくなる傾向があります。また、チーム内の不満をためないためにも、現実的な期限を設定することは重要です。
4.7 対応結果
課題の対応が完了したときに、結果や顛末を記載します。あるいは、対応中に途中経過を記載しても良いでしょう。
この項目が正しく設定されていることで、別途見直しや振り返りに利用できるというメリットがあります。結構漏れがちな項目ではありますが、可能な限りしっかり書いておくことが重要です。
4.8 その他
上記以外にも、課題管理表の項目として有力なものはあります。すべて記載するとキリがありませんが、いくつか例を記載しておきます。
- 対応コスト
- 課題の種類・分類
- 優先度
ポイント:使用するツールについて
課題管理表の作成に利用するツールは様々なものがあります。「絶対にこれでなければ行けない」というものはないですが、代用的なものをいくつか上げておきます。
- 表計算ソフト(Excel、Googleスプレッドシートなど)
- プロジェクト管理ツール(Backlog、JIRAなど)
- メモアプリ(Notion、Evernote、OneNoteなど)
- ボードツール(Trelloなど)
課題管理表の細かいポイント
課題管理表を運用する上で、効率よくするためのポイントがいくつかあります。いくつか代表的なものをご紹介致します。
- 完了したタスクは非表示にする
- 期限切れのタスクは目立つようにする
- 現在対応中のタスクも目立つようにする
- 必須項目を多くしすぎない
- 定期的に課題管理表をチェックする仕組みを作る
まとめ
課題管理を行う上でのポイントをいくつかご紹介しました。
プロジェクトを行う上で課題管理は成功の鍵を握ると言っても過言ではないと思います。また、完璧を求めすぎずまずは運用していくことも大切です。運用していく中で随時見直ししていけば良いのです。
最後に、今回説明したことのまとめを記載しておきます。
- 課題管理とは、何か課題が発生したらそれを追加し、期限や担当者を決め、解決までの計画(方向性やアウトライン)を決め、それに基づき対応状況を管理していく方法です。
- 課題管理を行うことで、対応漏れや思い込みを防ぐ、状況を正しく管理する、個人の負担を軽減するなどのメリットがあります。また、未知の内容に対応しやすくなります。
- 課題管理の対象として問題点、調整事項、リスクなどが挙げられます。それ以外にも必要に応じて対象となる項目があります。
- 課題の管理には課題管理表が有効です。課題管理表は、課題の内容や状況、期限などを管理する資料です。
最後までご覧いただきありがとうございます。