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NSMを設定したらプロダクト改善がしやすくなった話

Last updated at Posted at 2020-12-09

Ateam Group Manager & Specialist Advent Calendar 2020の10日目はIncrements株式会社のアシスタントマネージャー、@getty104 が担当します!

はじめに

Qiita開発チームでは、プロダクトの成長指標としてNSMという指標を用いています。この記事では、NSMをなぜ用いているのか、この指標を用いるようになってからのチームの変化などについて書いていこうと思っています。

NSMとは

NSMとはNorth Star Metricの略です。 「プロダクトの本質的な価値が顧客に提供できているかを測る単一の指標」というような定義がされています。
NSMが改善している=プロダクトが成長している、というような関係になる指標をNSMとして設定します。
例えばQiitaではで以下のような指標を定義しています。

  • 月次記事作成エディタ訪問回数
    • 記事を作成するためにエディタに訪れた回数

Qiitaでは、これら2つの指標が改善している=プロダクトが成長している、というような定義を行なっています。

NSMがなぜ必要なのか、NSMのより詳しい説明は https://note.com/ozyozyo/n/n4935c95d062a などが参考になると思います。

なぜNSMを設定したのか

NSMを設定するまで、Qiitaの開発はKGIとしての売上にコミットするような方針になっていました。
しかしそもそもこのKGIをプロダクト開発という文脈でコミットし続けることに違和感を覚え始めたのがきっかけです。この違和感は以下の通りです。

プロダクト開発という手段とKGIの関係性が遠い

会社としてサービスを運営している場合、売上がKGIであることが一般的だと思います。
しかし、プロダクト開発を行うことでこの売上にコミットしていくというのは無理があると感じていました。
そもそもプロダクトとは使ってくれるユーザーへ価値を提供し、その対価として売上に貢献してくものです。その価値提供の指標としてKGIはあまりにも先の段階にあるもののように感じていて、会社に貢献している体験を得づらい状態になっていました。

開発チームのアウトプットからアウトカムへのリードタイムが長い & 感じづらい

プロダクトとしてユーザーに価値を提供するようになってから、実際の売上に繋がるまでは様々な要因も含まれていたりするため、アウトプットがよかったものなのかどうかが売上を指標にしているとわかりづらくなります。(これを可視化すること自体がNSMの役割です)
それにより、チームが行なっていることの成果が見えづらい & プロダクトが成長しているのかどうかを把握することが難しいと感じていました。

プロダクトとして何を価値として提供していけば良いかの合意形成がしづらい

プロダクトとは使ってくれるユーザーへ価値を提供し、その対価として売上に貢献してくものです。しかし、このプロダクトが提供している価値が社内でもステークホルダーによって認識がずれているような感覚がありました。
例えば極端な話をすると、メディア型のサービスなどは、ある一定数のユーザーがコンスタントに使ってくれている状態であれば、広告の枠を増やせばimpは増加し、クリック数なども単調増加すると思います。
ただ、このような選択をすれば何かまずいことが起こりそうなことは直感的に誰でもわかると思います。しかしその選択を取ることがなぜまずいのかを全員一致した理由で言語化するのが難しく感じていました。

やったこと

前項の理由から、Qiita開発チームとしてNSMという新しい指標を立てることにしました。ここで、NSMを立てていくまでに具体的にどんなことを行なったのかを書いていきたいと思います。

NSMという指標を立てることの合意を得る

まずはじめの第一歩は、NSMという概念がなぜ必要なのかをステークホルダーへ共有し、この指標を使って今後はプロダクト改善を行なっていくことの合意を得ることでした。NSMという概念はまだ日本では馴染みのないものだと思います。僕自身もこの指標を立てることが会社にとって価値のあることなのかの確証はありませんでした。
しかし前項で述べたことをNSMを導入することで解決できる可能性があることを発信し続けることで、柔軟に承認をもらうことができました。

プロダクトのビジョンと一番提供していきたい価値定義を行う

その次にプロダクトが本質的に提供している価値とはなんなのかの定義を行いました。その際に考えたことは以下の通りです。

  • プロダクトが価値を提供しているユーザーは誰か
    • どんなユーザーがプロダクトを使ってくれているのか
  • プロダクトはユーザーにどのような使われ方をしているのか
    • ユーザーのどのような課題(ジョブ)を解決しているのか
    • ユーザーが感じてくれているプロダクトの価値は何か
  • プロダクトが作っている世界はどのような世界か
    • プロダクトの大きなうねりはどのようなものか
    • プロダクトのインプットとアウトプットは何か
  • プロダクトを介してどのような世界を作っていきたいか
    • その世界ではどんな価値をユーザーに提供しているのか
    • その世界はユーザーに求められているものなのか
    • その世界で自分たちが享受出来るものは何か

以上のようなことを考え、最終的なプロダクトのビジョンとミッションの定義を行いました。

NSMとKPIの設定を行う

プロダクトとして1番に提供していく価値の定義を行なった後、その価値を表せる指標の定義を行いました。
その上で、NSMを分解したKPIの設定を行いました。NSMからKPIの設定を行う方法については https://note.com/amplitude/n/n5dae993de2ac が参考になると思います。

NSMを立ててからの変化

最後にNSMを立ててからのプロダクト改善の変化について書いていきたいと思います。

タスクの選択と集中が行いやすくなった

今までは売上貢献になりそうなタスクの優先度が必然的に上がったり、プロダクトとしての価値提供と事業のうまい対立ができていませんでした。現在はNSMがチームとしての指標となっているため、NSMの改善(=プロダクトの成長)に一番価値のある選択を行いやすくなっています。

ロードマップの設定や戦略の合意形成が行いやすくなった

以前は売上というKGIを前提としていたため、改善の選択肢が多く、ロードマップを立てるのも合意形成を行うのも難しいと感じていました。
現在はNSMという1つの指標があるため、NSMを改善していくという前提の下でロードマップの設定などを行うことができるようになり、プロダクトとしての目指す方向性の合意形成が高速に行えるようになりました。

開発チームの成果がわかりやすくなった

リリースした機能のフィードバックはNSMとして即時的に現れるため、チームとして改善をしている実感を得やすくなったと感じています。また、NSMを改善していくという前提があるため、他のチームからも現在開発チームが何を目指して開発を行なっているのかがわかりやすくなりました。

最後に

NSMという概念はまだ日本ではそこまで普及しているものではないと思います。しかし今回NSMという指標を知り、導入することで確実に実態に沿ったプロダクト改善とフィードバックを得ることができるようになったと感じています。同じような課題を持っている方の参考になれば幸いです。

参考文献

Ateam Group Manager & Specialist Advent Calendar 2020の11日目は @okoshi がお送りします!

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