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最近、Alibabaが「Open Code Review」というAIコードレビューのOSSを公開しました。
社内で2年以上運用され、2万人を超える開発者が日常的に使い、100万件超の不具合を検出してきたという、なかなか実績のあるツールです。
このOpen Code Reviewは、OpenAI / Anthropic互換のAPIを設定できるようになっています。
つまり、Anthropic互換のエンドポイントさえ用意できれば、Claudeでなくても好きなモデルでコードレビューを回せるということです。
そこで今回は、日本国内で完結してAIモデルを動かせる「ai& Inference」をバックエンドに据えて、Open Code Reviewを実際に動かしてみました。
モデルには「DeepSeek V4 Pro」を使っています。
ai& Inferenceとは
ai& Inferenceは、「all ideas, connected.」を掲げる、日本国内で完結して動く単一APIのAI推論サービスです。
低コスト・低レイテンシで、オープンウェイトのモデルを多数ホストしています。
OpenAI SDK / Anthropic SDKの両方に互換があるAPIインターフェースを提供しているため、ベースURLを差し替えるだけ、つまりコード1行で既存のコードがそのまま動きます。
今回のように「Anthropic互換のエンドポイントが欲しい」というケースにはぴったりです。
特徴をまとめると以下の通りです。
- OpenAI SDK / Anthropic SDKの両方に互換がある
- 課金はトークン単位の従量課金で、プリペイドのクレジット残高から都度引き落とされる
- リクエストはすべて日本国内で処理される
「安く、日本国内でAIモデルを動かせる」というのが、ざっくりとした立ち位置だと思ってもらえればよいかなと思います。
Open Code Reviewとは
Open Code Reviewは、Alibaba製のAIコードレビューのOSS(無料)です。
CLI名は ocr で、Gitのdiffを読み、変更ファイルをツール利用可能なエージェント経由でLLMに渡し、行レベルで正確な構造化レビューコメントを生成してくれます。
面白いのはアーキテクチャで、「決定的(deterministic)なパイプライン + LLMエージェント」のハイブリッドになっています。
ファイル選択や行位置の特定といった「ズレてはいけない部分」はハードな制約で正確に処理し、コードの良し悪しの判断はLLMに任せる、という役割分担です。
これによって「指摘の位置がズレる」「存在しない行を指摘する」といった、LLM任せのレビューにありがちな問題を避けています。
また、NPE、スレッドセーフティ、XSS、SQLインジェクションといった、作り込まれたルールセットを内蔵しています。
そして冒頭でも触れた通り、OpenAI / Anthropic互換のAPIを設定できます。
Claude Code互換の環境変数(ANTHROPIC_BASE_URL, ANTHROPIC_AUTH_TOKEN, ANTHROPIC_MODEL)にも対応しているので、ここにai&のエンドポイントを差し込んでやれば、DeepSeekでレビューを動かせる、という算段です。
ai& Inferenceを使ってOpen Code Reviewを動かしてみる
それでは実際に動かしていきます。
流れとしては「ai&でAPIキーを発行する」→「Open Code Reviewを入れて設定する」→「レビューを実行する」という3ステップです。
ai&のセットアップ(会員登録・APIキー発行)
まずはai&側でAPIキーを発行します。ステップは以下の通りです。
1. console.aiand.com にサインインする(Google / GitHub / マジックリンクのいずれか)
https://console.aiand.com/login より会員登録・ログインが可能です。
2. APIキーを発行する。
https://console.aiand.com/api-keys からキーが発行できます。
3. 課金ページでクレジットをチャージする。
右上のCreditsをクリックすることで、課金が可能でした。
2026年6月16日現在はQiitaの記事投稿キャンペーン中のため、以下ページの通り50USD分のクーポンを受け取ることができます。
Open Code Reviewのセットアップ(インストール)
次にOpen Code Reviewを入れます。
いくつか方法がありますが、npmでのインストールが推奨されています。
npm install -g @alibaba-group/open-code-review
GitHubのリリースからバイナリを落とす方法もあります。
macOS(Apple Silicon)の場合は以下のような形です。
curl -Lo ocr https://github.com/alibaba/open-code-review/releases/latest/download/opencodereview-darwin-arm64
chmod +x ocr && sudo mv ocr /usr/local/bin/ocr
ソースからビルドしたい場合は以下です。
git clone https://github.com/alibaba/open-code-review.git
cd open-code-review
make build
Open Code Reviewのconfig(ai& + DeepSeek V4 Pro)
ここが今回のキモです。
Open Code Reviewが使うLLMとして、ai&のAnthropic互換エンドポイントを設定します。
設定ファイルは ~/.opencodereview/config.json に置かれます。
ocr config set で1つずつ設定していきます。
ocr config set llm.url https://api.aiand.com/v1/messages
ocr config set llm.auth_token sk-your-aiand-api-key
ocr config set llm.model deepseek-ai/deepseek-v4-pro
ocr config set llm.use_anthropic true
各設定キーの意味は以下の通りです。
-
llm.url: 呼び出すエンドポイント。ai&のAnthropic互換エンドポイントであるhttps://api.aiand.com/v1/messagesを指定する -
llm.auth_token: 先ほど発行したai&のAPIキー(sk-で始まる) -
llm.model: 使うモデル名。今回はdeepseek-ai/deepseek-v4-proを指定する -
llm.use_anthropic: Anthropic互換で叩くかどうかの真偽値。ai&のAnthropic互換エンドポイントを使うのでtrueにする
モデル名についてひとつ補足です。
ai&のモデルカタログは動的で、利用可能なモデルは組織やタイミングによって変わります。
現在利用可能なモデルは
から確認できました。
対話的にセットアップしたい場合は、以下のコマンドでプロバイダーとモデルを選んでいくこともできます。
ocr config provider
ocr config model
なお、設定は環境変数でも渡せます(こちらが最も優先度が高いです)。
CIなどに組み込むときはこちらが便利かなと思います。
export OCR_LLM_URL=https://api.aiand.com/v1/messages
export OCR_LLM_TOKEN=sk-your-aiand-api-key
export OCR_LLM_MODEL=deepseek-ai/deepseek-v4-pro
export OCR_USE_ANTHROPIC=true
Claude Code互換の環境変数で設定することもできます。
こちらを使う場合、ANTHROPIC_BASE_URL にはベースURL(https://api.aiand.com)だけを渡す点に注意してください。
export ANTHROPIC_BASE_URL=https://api.aiand.com
export ANTHROPIC_AUTH_TOKEN=sk-your-aiand-api-key
export ANTHROPIC_MODEL=deepseek-ai/deepseek-v4-pro
実際に動くか検証
設定ができたら、まずは接続テストをしてみます。
ocr llm test
ここで疎通が確認できたら、あとはレビューを実行するだけです。
作業ツリーの変更をレビューするなら ocr review、ブランチ間の差分をレビューするなら --from / --to を付けます。
ocr review --from main --to feature/payment
そのほかにもさまざまコマンドオプションがあるため、詳しくはドキュメントを参照ください。
レビューにかかったコスト
参考程度ですが、今回以下のような変更のPRに対してレビューを実行してみました。
+200
-947
Lines changed: 200 additions & 947 deletions
Conversation1 (1)
Commits1 (1)
Checks5 (5)
Files changed16
実行によって消費されたクレジットは
- Input Token: 279,559
- Output Token: 9,655
- Cost: 0.31USD (49.6円)
という感じでした。
まとめ
ai& Inferenceをバックエンドにして、Open Code Reviewを動かすことができました。
あらためて整理すると、
- Open Code ReviewはAnthropic互換のエンドポイントがあれば動く
- ai&はAnthropic互換のエンドポイントを日本国内で、しかも安く提供している
- なので、両者をつなぐとDeepSeek V4 Proによるコードレビューが国内完結で回せる
という流れでした。
「Claude以外のモデルでコードレビューを回したい」「データを国内で完結させたい」といったときに、なかなか良い組み合わせなんじゃないかなと思います。
ai&はDeepSeek以外にもGemma、Qwen、GLM、Kimiなど色々なモデルを安価に使えるため、モデルを変えてレビューの傾向を比べてみるのも面白そうです。
