2025年は、生成AIの活用がより身近に感じる年になりました。2024年に企画をした本が、今年の3月に発売しました。生成AIが数字を解釈する精度が上がっていきデータ分析が可能になることを書き、OpenAIのような生成AIモデルを利用することによって、データアナリストの業務が代替されていく兆しを語る内容を本にしました。
企画時点から1年以上、出版から半年以上が経過したので、その後の出来事を整理しながら、来年の動向を予想したいと思います。
2025年の業界の動き
企画時点の感覚は実際に正しかったようで、Google社のLookerで会話によるデータ分析が2025年4月に発表されました。
メルカリ社は内製化を進めており、SocratesというデータアナリティクスAIエージェントを2025年6月に発表しました。
また、国内の商用BIツールにも同様の潮流が来ており、CodatumではCodatum AIというAIアシスト機能が組み込まれています。
他には、データカタログを提供しているパタンナー社では、メタデータの収集・意味づけ・改善サイクルがAIによって自律化していくと予測しています。
このように、生成AIによってデータ分析を取り巻く状況は大きく進展しました。他社においても、同様な取り組みを進めており、データ分析をAIに置き換えていく開発が進んでいるという噂を耳にします。
自分自身も実践と検証を進めており、CursorやClaude Desktopのような既存ツールでデータ分析をしてみたり、ADKというGoogle製のAIエージェントフレームワークで人間が担当していた業務を代替可能になってきていると感じています。https://www.youtube.com/watch?v=PY2a3PD1v4w しかしながら、完全に手放しになるレベルには達しておらず、生成AIにとって扱いやすいデータ基盤が必須という状況です。
メルカリ社が先行してAIエージェントを公開できた理由は、データ基盤が既に整備されており、その基盤の上でエージェントを動かすことで開発ができたという記事を出しています。
2026年の予想
各社でデータ分析のAIエージェント開発を進めた結果として、データ基盤の重要性が今以上に叫ばれると予想しています。データエンジニアという言葉を自分が始めた聞いたのは2016年ごろでした。大規模なデータを処理するためにBigQueryが導入されました。今は、 Big Data is Dead https://motherduck.com/blog/big-data-is-dead/ と言われるようになり、大規模データの加工は敷居が低くなりました。また、データエンジニアリングのためのdbtが2021年に登場し、データ基盤の開発に必要なツールは揃いました。
次は、セキュリティを意識する必要性が上がります。センシティブなデータに生成AIがアクセスしないように配慮する必要があります。また、担当者によってアクセスできるデータを変える必要があります。AIエージェントにとってのアクセシビリティとセキュリティの両立が欠かせません。これはデータガバナンスと呼ばれる領域です。
また、メタデータも重要です。データの背景や意味をAIに教える必要があります。データの探索と加工を高精度にするための情報になります。
よって、2026年のキーワードは、「データ基盤」「データガバナンス」「メタデータ」あたりがデータ業界でキーワードになると予想しています。これらによって、データを活用する生成AIにとって、安全性と性能の両立が目指せます。