背景|翻訳されていないと,ツールの検索ができない
QGISの「プロセシングツールボックス」では,空間データを処理したり解析したりするためのツールがひとまとまりになっており,求めるツールを検索して探すことができます。
今回,「属性の空間結合(集計つき)」というツールを利用するために”空間結合”と検索したところ...求めるツールにヒットしませんでした(「属性の空間結合」とは異なります)。
英語で検索してみると...それらしいものがヒットしました。
QGISは英語で開発されています。
私は,2024/04/10現在で最新のバージョンを使用しているため,最新版がリリースされてから日が浅く,日本語への翻訳が追いついていなかったため,ツール名を検索してもヒットしなかったようです。
翻訳者になりましょう
QGISは,40以上の言語で利用することができ,Transifexでは,80ほどの言語に対応する準備がされているそう。対応している言語の多さ,そしてGUI全体=1万以上の文章が翻訳されているということには驚きです。翻訳してくれている人がいるからこそ,便利に,不自由なくQGISを使うことができていることを改めて実感しました。
"翻訳者になりましょう"
QGISのホームページにも記載されていますが,翻訳作業を手伝ってくれる人を募集しているそうです。
何かOSSに貢献したい!
...ということで,私も”翻訳者”デビューすることにしました!
本題|Transifexの翻訳プロジェクトに参加する
Transifexとは
Transifex は,企業が提供するアプリ,ソフトウェア,デジタルコンテンツのローカライズを有償でサポートしているほか,QGISのようなオープンソースプロジェクトのローカライズを無償でサポートしています。
Transifex自体,2007年にオープンソースプロジェクトとして立ち上がったそうです。粋な取り組みですね!
QGIS(QGIS Desktop,QGIS Documentation(QGISドキュメント),QGIS Website)の翻訳はすべてTransifexで管理されています。
今回は,QGIS Desktopを例にプロジェクトへの参加〜翻訳の手順を説明します。
1. Transifexのアカウントを作成する
Transifex にアクセスして,以下の手順でアカウントを作成します。
メールアドレスとパスワードでアカウントを作成したい場合は,ビジネス用のメールアドレスで登録する必要がある点には注意が必要です。
手順:LOG IN -> サインアップ
2. プロジェクトへの参加を要求する
ここ にアクセスして,参加する翻訳プロジェクトを選択します(今回はQGIS Desktop)。
続いて,JOIN THIS PROJECTをクリックします。
続いて,先程作成したアカウントでサインインし,翻訳に参加したい言語を選択します。
プロジェクトに参加するには,管理者の承認を待つ必要があります。筆者の場合,数分でリクエストが承認されました。
しばらく待ってもリクエストが承認されない場合は,メーリングリスト に登録して書き込むのが良いそうです。
いざ,翻訳!!
無事にリクエストが承認されたら,ようやく翻訳に参加することができます。
筆者が使用しているQGIS 3.36 の翻訳状況を確認してみると,97%以上が翻訳されているようです(未翻訳の3%を引いたのはラッキーでした)。
翻訳したいプロセシング名(join attribute by location)を検索すると,たしかに未翻訳の状態のようです。
ここに翻訳文を入力 の部分に適切な翻訳文を入力して, 翻訳を保存 します。すると,左端のチェックボックスの色が変わり変更が保存されます。曖昧な翻訳や十分に単語が翻訳できていないと判断されると,翻訳の保存や翻訳の提案ができないことがありました。
多くの人の手で,QGISを支えていきたいですね!
ps.QGIS Desktopの更新が待ち遠しいです...!
QGIS Desktopに反映されました!
2024/05/01現在,「属性の空間結合(集計つき)」が日本語検索できるようになっていました。Transifexの方で翻訳してからどれくらいの期間で翻訳が反映されるのかはわかりませんが,おおよそ数週間で変更が反映されるようです。
翻訳が反映されると嬉しいものですね!
*記事の内容に誤りがあった場合は,コメント頂けますと幸いです。