問題
表はある会社の前年度と当年度の財務諸表上の数値を表したものである。両年度とも売上高は4,000万円であった。前年度に比べ当年度に向上した財務指標はどれか。
財務諸表上の数値(単位:万円)
項目 前年度 当年度 流動資産 1,100 900 固定資産 500 800 流動負債 700 800 固定負債 500 300 純資産 400 600
- ア:固定比率
- イ:自己資本比率
- ウ:総資本回転率
- エ:流動比率
結論
正解は 「イ」 です。
理由:
4つの指標の中で、前年度と比較して唯一数値が良くなっている(向上している)のが「自己資本比率」のため。
計算の事前準備として、表には書かれていない会社全体の元手である「総資本」を求めておきます。
- 総資本 = 負債(流動負債+固定負債) + 純資産
- 【前年度の総資本】700 + 500 + 400 = 1,600万円
- 【当年度の総資本】800 + 300 + 600 = 1,700万円
解説
❌ 選択肢「ア」がNGな理由:
数値が上がってしまっているため(悪化)
- 固定比率 = 固定資産 ÷ 純資産
- 【前年度】500 ÷ 400 = 125%
- 【当年度】800 ÷ 600 ≒ 133%
固定比率は「長期的に使う財産(固定資産)を、返済不要なお金(純資産)でどれだけカバーできているか」を示します。
この指標は「低いほど安全(100%以下が理想)」なのですが、当年度は数値が上がってしまっているので、財務状況としては「悪化」しています。
✅ 選択肢「イ」が正解な理由:
数値が上がっているため(向上)
- 自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資本
- 【前年度】400 ÷ 1,600 = 25%
- 【当年度】600 ÷ 1,700 ≒ 35%
自己資本比率は「会社全体の資本のうち、返済不要なお金が占める割合」を示します。
この指標は「高いほど倒産しにくい(安全)」と評価されます。前年度の25%から35%へとアップしているので、見事に「向上」しています。
❌ 選択肢「ウ」がNGな理由:
数値が下がってしまっているため(悪化)
- 総資本回転率 = 売上高 ÷ 総資本
- 【前年度】4,000 ÷ 1,600 = 2.5回
- 【当年度】4,000 ÷ 1,700 ≒ 約2.35回
総資本回転率は「持っている資本を回して、どれだけ効率よく売上を作れたか」を示します。
この指標は「高い(回転数が多い)ほど効率が良い」のですが、当年度は数値が下がっているので、資本を活かしきれておらず「悪化」しています。
❌ 選択肢「エ」がNGな理由:
数値が下がってしまっているため(悪化)
- 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債
- 【前年度】1,100 ÷ 700 ≒ 157%
- 【当年度】900 ÷ 800 ≒ 112.5%
流動比率は「すぐに支払わなきゃいけない借金(流動負債)に対して、すぐに現金化できる資産(流動資産)をどれくらい持っているか」を示します。
この指標は「高いほど資金繰りが楽(200%以上が理想)」なのですが、当年度は数値が下がってしまっているので、短期的な支払い能力は「悪化」しています。
まとめ
財務指標の計算問題は、公式を丸暗記しようとすると忘れたときにパニックになると思うので、
「固定資産を自己資本でまかなえているかな?(固定比率)」
「すぐ払う借金に対して、すぐ使えるお金はあるかな?(流動比率)」
といったような形で、「誰が、何のお金を使って、どうしたいのか」という現実の会社経営に置き換えて考えると、公式を忘れてもその場で解くことができそうです。
