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METAL先代CIKL:画像フィルターツール

Last updated at Posted at 2024-07-22

Core ImageはiOSやmacOSの開発で画像処理タスクの強力なツールとして長く賞賛されてきました。このツールの核心にあるのがCore Image Kernel Language(CIKL)であり、CIKLによって驚異的な効率でカスタム画像フィルターやエフェクトを作成することができます。本記事では、CIKLの実体を解き明かし、使用方法を紹介し、その後継であるMetalと比較しましょう。

CIKLの理解:

Appleによって紹介されたCIKLは、Core Imageのカスタムフィルター機能の基盤として機能します。CIKLにより、アプリ内で直接カスタム画像処理アルゴリズムを記述し、GPUのパワーを活用して、高速なパフォーマンスを実現することができます。構文はCに似ており、C風の言語に慣れている開発者にとっては比較的簡単に理解できます。

CIKLを素晴らしくした要因:

  1. シンプリシティ: CIKLは、GPUプログラミングの複雑さに深く入ることなく、開発者が複雑な画像フィルターを作成するための簡単な手段を提供しました。
  2. パフォーマンス: GPUの並列処理能力を活用することで、CIKLはリアルタイムのアプリケーション(ビデオ編集や拡張現実など)に必要な高速な画像処理を実現しました。
  3. 統合性: Core Imageフレームワークとのシームレスな統合により、iOSとmacOSプラットフォーム全体の開発者にアクセス可能になりました。

廃止とMetalへの移行:

その優れた機能にもかかわらず、CIKLはより包括的なGPUプログラミングフレームワークであるMetalによってAppleによって廃止されました。MetalはGPUリソースへのより低レベルのアクセスを提供し、より細かい制御と最適化が可能です。CIKLからMetalへの移行は、Appleが現代のGPUの可能性を最大限に活用するための高度なツールを開発者に提供するというコミットメントを示しています。

Metalの主な違いと利点:

  1. 低レベルの制御: Metalは開発者にGPUリソースへの直接アクセスを提供し、より細かい最適化が可能です。
  2. 統合フレームワーク: MetalはGPUとCPUプログラミングを単一のAPIで統合し、開発を合理化しオーバーヘッドを削減します。
  3. クロスプラットフォームサポート: MetalはiOSやmacOSに限らず、tvOSやwatchOSなどのプラットフォームにもサポートを拡張し、より広範な適用を促進します。

使用例:

まずは、CIKLの本質をつかむためにいくつかのコードスニペットを見てみましょう。

// カスタム画像フィルターのためのCIKLコードの例
kernel vec4 customFilter(sampler inputImage) {
    vec2 uv = samplerCoord(inputImage);
    vec4 color = sample(inputImage, uv);
    
    // カスタムフィルターロジックの適用
    // 例:色の反転
    color.rgb = 1.0 - color.rgb;
    
    return color;
}

このスニペットでは、入力画像の色を反転させる単純なCIKLカーネルを定義しています。customFilterカーネルは、サンプラーを入力として受け取り、現在のピクセル座標での色を読み取り、フィルターのロジックを適用して変更された色を返します。

同じコードをMETALで書いて、比較してみましょう。

// カスタム画像フィルターのためのMETALコードの例
#include <metal_stdlib>
using namespace metal;

kernel void customFilter(texture2d<float, access::read> inputImage [[texture(0)]],
                         texture2d<float, access::write> outputImage [[texture(1)]],
                         uint2 gid [[thread_position_in_grid]]) {
    float4 color = inputImage.read(gid);
    
    // カスタムフィルターロジックの適用
    // 例:色の反転
    color.rgb = 1.0 - color.rgb;
    
    outputImage.write(color, gid);
}

このMETALコードは、入力画像の色を反転させるためのカスタムカーネルを示しています。カーネルは入力画像と出力画像のテクスチャを受け取り、現在のスレッドのグリッド位置での色を読み取り、それを白から引いて色を反転させ、変更された色を出力画像に書き込みます。

比較:

構文:

  • CIKL: CIKLは、Cに似た構文を持ち、関数宣言やデータ型がCに見られるものと類似しています。
  • Metal: Metalは、カーネル、テクスチャ、および thread_position_in_grid などの特定のMetal構造を使用するC++ベースの言語を使用します。

データ型:

  • CIKL: CIKLでは、ベクトル(vec2vec4)が座標や色を表現するために使用されます。
  • Metal: Metalは、色には float4、グリッド位置には uint2 などのMetal固有のデータ型を使用します。

テクスチャアクセス:

  • CIKL: CIKLでは、samplerCoordsample などの関数を使用してテクスチャにアクセスします。
  • Metal: Metalは、texture2d タイプを介してテクスチャにアクセスし、読み取りや書き込みのための関数を提供します。

カーネルの呼び出し:

  • CIKL: CIKLカーネルは、画像を処理する際にCore Imageフレームワークによって自動的に呼び出されます。
  • Metal: Metalカーネルは、コンピュートパイプライン内で明示的に呼び出す必要があります。

パフォーマンスの最適化:

  • Metal: Metalは、CIKLと比較してより細かい最適化が可能な低レベルのGPUリソースへのアクセスを提供します。
  • CIKL: CIKLは、一部のGPUの詳細を抽象化してしまうため、より単純になりますが、最適化されていない可能性があります。

クロスプラットフォーム互換性:

  • CIKL: CIKLは、Appleプラットフォーム(iOS/macOS)内のCore Imageフレームワークでの使用を特に想定して設計されています。
  • Metal: Metalは、主にAppleプラットフォームで使用されていますが、WindowsやLinuxなどの他のプラットフォームでも利用可能で、より広範なクロスプラットフォームサポートを提供します。

結論:

Core Image Kernel Language(CIKL)はAppleプラットフォーム上の画像処理の先駆的なツールとして機能しましたが、Metalへの移行はGPUプログラミングの重要な進化を示しています。CIKLに別れを告げ、Metalと共にGPUアクセラレーテッドコンピューティングの可能性を開拓しましょう。ハッピーコーディング!

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