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SwiftでSOLID原則(2b/3)

Last updated at Posted at 2024-11-01

はじめに

前回の記事「SwiftでSOLID原則(2a/3)」 では、ソフトウェアデザインの中心である SOLID 原則 の概念を紹介シリーズにオープン/クローズドの原則(OCP)について詳しく解説しました。この記事では、リスコフの置換原則(LSP)に関して、Swiftを使った例で、紹介したいと思います。

リスコフの置換原則(LSP)

リスコフの置換原則は、サブクラスがスーパークラスの代替として利用可能であるべきとする概念です。プログラム内でスーパークラスのオブジェクトをサブクラスのオブジェクトに置き換えても、システムの正確な動作が保証される必要があります。つまり、サブクラスはスーパークラスと同じインターフェースを実装し、予期しない動作を起こさないようにする必要があります。

概念的な例:

家電製品を操作するリモコンをイメージしてみましょう。リモコンは、テレビ、DVDプレーヤー、またはステレオシステムなど、異なるデバイスに対しても同様に動作します。どのデバイスでも基本的な機能(電源のオン/オフ、音量調整など)が同じように動作するため、リモコンを異なるデバイスで使っても問題ありません。

Swiftでの実例:

Bird(鳥)クラスを考えましょう。例えば、このクラスに fly メソッドがあるとします。LSPに従うならば、スズメやペンギンのようなすべてのサブクラスもこのメソッドを実装し、Birdクラスとして一貫して動作することが求められます。飛べないペンギンの場合も、「飛ばない動作」としての実装が必要です。

// Birdの基本クラス
class Bird {
    func fly() {
        print("Flying high!")
    }
}

// 飛べる鳥
class Sparrow: Bird {
    override func fly() {
        print("Sparrow is flying!")
    }
}

// 飛べない鳥
class Penguin: Bird {
    override func fly() {
        print("Penguin can't fly!")
    }
}

// 使用例
let birds: [Bird] = [
    Sparrow(),
    Penguin()
]

for bird in birds {
    bird.fly()  // LSPによって、すべてのBirdはflyメソッドを持つが、それぞれの実装は異なる
}

**解説: ここでは、Bird クラスと、そのサブクラスである SparrowPenguin を定義しています。リスコフの置換原則に従い、Bird クラスの fly() メソッドは、どのサブクラスでも使用でき、サブクラスごとに異なる動作を持たせています。この設計により、一貫性のあるインターフェースで異なる振る舞いが実現されています。

適用性:

この原則は、継承とポリモーフィズムを使用する場面において特に重要です。適切な設計により、異なるクラス間で予測可能で一貫性のある動作を実現できます。

実装方法:

サブクラスがスーパークラスで定義された契約(プロトコルやインターフェース)を遵守するよう設計します。LSPを満たすために、スーパークラスでの動作をサブクラスで正しく継承し、動作の一貫性を確保します。

メリット:

  • コードの相互運用性が向上し、異なるクラス間での共通の動作が可能になります。
  • ポリモーフィックな設計がしやすくなり、クラス間の結合が低く保たれます。

留意点:

LSPを守るための設計には注意が必要であり、特に複雑なクラス階層を作成する際は設計の慎重さが求められます。

結論:

ここまでで、SOLID原則の三つの重要な原則である「単一責任の原則」、「オープン/クローズドの原則」と「リスコフの置換原則(LSP)」 について掘り下げて学びました。次回の記事では、インターフェース分離の原則 と 依存性逆転の原則 に注目し、Swiftでの具体的な実装例とともに、その効果とメリットを紹介します。
次の記事まで、ハッピーコーディング!

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