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テスト・QAのキャリアについて、HRMの観点から考える

ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2020 25日目の記事です。

何度かの転職を経て、キャリアについて個人として考えることと、組織として考えることについて、まとめてみましたので、ご一読いただければ幸いです。

□ はじめに

いままで、自分自身のやり方を投稿・発表してきましたが・・・
あくまでも、キャリア形成するエンジニア自身の投稿ばかりでした。

近年、知己を得た有識者の方や、書籍・Webサイトを参考に、組織・環境的な部分を含めた、HRMという考え方を交えて、テスト・QAのキャリアについてお話できればと思います。

■ キャリアについて

昨年の記事 or WikiPedia をご参照ください。
https://qiita.com/gen519/items/13d2404f37205c80c439

■ HRM について

HRMとは Human Resource Managementの略称です。
構成する英単語がそれぞれ『Human=人間』、『Resource=資源』、『Management=管理』という意味を持っていることから、日本語では一般的に『人的資源管理』と訳されています。

人材を貴重な経営資源の1つ(人財)として扱い、組織全体で戦略的かつ計画的に育み、最大限に活用する人事管理手法です。HRMを正しく活用することによって、個々の従業員は理想とする自己の実現を、組織は長期ビジョンや経営戦略の実現を果たすことができます。

HRMはそれまでの人事管理手法と異なり、企業戦略や事業戦略との一貫性を強く求められます。そのため、人事担当者だけではなく企業経営者やトップマネジメント層も興味を示し、積極的に関与する必要があります。

■ HRMの基本的概念

HRMには「ミシガン・モデル」と「ハーバード・モデル」という2つの基本的概念が存在しますが・・・
今回は、「ミシガン・モデル」を軸に、坪谷邦生氏が発案された 「人材マネジメントの体系」 が、HRMの全体像をイメージするには、とても良い資料だと思います。

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  • 参照サイト:  [壺中天 - 人材マネジメントの壺 - 人材マネジメントをひとつの図で「体系的」に捉える]       https://ko-chu-ten.com/2017/04/27/445/

□ 改めて、キャリアについて、個人的な考え(よくある勘違い)

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個人的な考えですが・・・
キャリアについて、厚生労働省『キャリア形成を支援する労働市場政策研究会』報告書に記載されている、下記の内容がとてもマッチすると思います。

「キャリア」とは、
 一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性を持った概念として捉えられる。

「キャリア形成」とは、
このような「キャリア」の概念を前提として、個人が職業能力を作り上げていくこと、すなわち、「関連した職務経験の連鎖を通して職業能力を形成していくこと」と捉えることが適当と考えられる。

つまり、キャリアとは、短期的な仕事のことではなく、職業能力は形成(高める)することを目的とした、構成要素の一つだと思います。
「家事」「育児」「介護」等、状況によっては仕事とは定義されていないことも、貴重な「経験」であり、将来的には、その経験が次のキャリアに繋がる場合もあると考えています。

個人的なことですが・・・
家族・知人から受けるさまざまなリクエストに答えることも、自分自身の経験として積み重なり、今の仕事に役立っており、私自身のキュアリアを形作る、重要な要素だと考えています!!

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■ キャリアを取り巻く環境(その一例)

坪谷邦生氏の 「人材マネジメントの体系」 (HRMの全体像)を、キャリアを取り巻く環境にマッピングすると下記のようになるかと思います。

  • キャリア形成の概念・基盤(インフラ) :
    • 各種教育制度、資格制度、規格(ISO/IEEE/JIS等)、各業界・職種でのスキル標準・ナレッジなど
  • キャリア育成プラットフォーム・サービス :
    • 各種学校、社内外の教育サービス、OJT など
  • 個人のキャリア :
    • 技術・技能・職種・役割・経験 など
  • キャリアの評価 :
    • キャリア・業務の評価、職種・スキルの市場価値など
    • 評価プロセスの結果として、報酬と
  • キャリア(等級) :
    • 仕事、職種、役割(ロール)、経験(期間・種類)など
  • キャリアチェンジ(アップ) :
    • 採用(就職)、社内・フループ内の異動・配置・出向、代謝(退社・転職)など

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■ キャリア形成を支えるツール

□ 各種スキルのバランス : カッツモデル

カッツ・モデルとは、ロバート・カッツ教授が 1955年に発表した、『スキル・アプローチによる優秀な管理者への道(Skills of an Effective Administrator)』という論文の中で、マネージャー層に必要な3つの能力として、各スキルとバランスを管理者ごとに図式化した「カッツ・モデル」です。

  • コンセプチュアルスキル
  • ヒューマンスキル
  • テクニカルスキル

下記のカッツ・モデルをベースに、各組織でロールと紐付けた バランス&レベル を定義することをおすすめいたします。

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◇ スキル詳細

  • コンセプチュアルスキル

    • 課題発見スキル
    • 困難課題対応スキル
    • 情報収集スキル
    • 問題解決スキル
    • 対処法評価スキル
  • ヒューマンスキル

    • コミュニケーション能力
    • リーダーシップ(統率力、調整力)
    • コーチングスキル
    • ファシリテーションスキル
    • ネゴシエーションスキル(交渉力)
    • プレゼンテーションスキル(提案力)
  • テクニカルスキル

    • 商品知識
    • 製造技術
    • 加工技術
    • 高度な専門知識
    • パソコンスキル(ITスキル)
    • プログラミング技術
    • ★テスト技術
    • ★品質管理技術
    • ★品質保証技術
  • 参考サイト : [BizHint コンセプチュアルスキル]から、抜粋 https://bizhint.jp/keyword/69994


□ キャリアパスの一例

各種標準・規格・組織において、キャリアパス・ロールを定義しておくことで、スムーズなキャリア形成できると考えられます。

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+ 参考サイト : 「ISTQB」トップページから抜粋 (https://www.istqb.org/)

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+ 参考サイト : 「IVEC」 「IVEC(認定試験)」から抜粋(https://www.ivia.or.jp/item43)

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+ 参考サイト : 「ビズリーチ」  「JaSST 2019 Tokyo レポート」から抜粋(http://www.jasst.jp/symposium/jasst19tokyo/report.html#session)  


◇ 目標設定・達成方法

目標設定は、評価者と評価対象者で、キャリア・ロールに対応した、スキル・経験をどのように培うかを、一緒に考える必要があります。
採用・退社の場合は、募集要項・採用基準等が目標になるかと思います。

当たり前のことですが、評価者と評価対象者で認識を合わせて、共にキャリアを形成することが重要です。

  • 目標設定
    • OKR
    • MBO
    • KGI・KPI・KDI
  • 達成フレームワーク
    • 目標設定
    • 中間面談・目標再設定
    • 1on1

■ まとめ

キャリア形成のためには、自分自身(評価対象者)を取り巻く、評価者だけではなく、一緒に業務をする仲間、市場価値・組織内の価値、スキルアップ・育成を支える人達などなど、多くの方々がキャリア形成に関わっています。

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自分一人で、キャリア形成はできません!
さまざまなニーズと Will があって、市場(・組織内)での価値が決まります。
情報も選択肢も無数に存在しまうので、より良いキャリア形成をスムーズにサポートできる、先人の知恵を利用することをおすすめいたします!

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拙い、文章でしたが、皆様のキャリア形成の一助になれば、幸いです。

■ 参考書籍

■ 参考サイト

■ 講演資料

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