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ソフトウェアテスト・QAのキャリアアップについて ~ 転職芸人の考察 2019版 ~

Last updated at Posted at 2019-12-25

ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2019 25日目の記事です。

何度かの転職を経て、キャリアについて考える際のポイントを、まとめてみましたので、ご一読いただければ幸いです。

■ キャリアと聞いて・・・

みなさんは、「キャリア」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

「キャリア」「キャリアプラン」「キャリアデザイン」「キャリア形成」「キャリア・コンサルタント」等々、聞き覚えのある言葉は、いろいろ、あると思いますが・・・

多くの方は、どうして良いかわからずに、日々の業務をこなしているのではないでしょうか?
Wikipedia を参照すると下記のような記述があります。

◆ キャリア

  • 経歴
  • 専門技能を持って職に就いている者 → プロフェッショナル
  • キャリア (国家公務員) - 日本における国家公務員試験の総合職試験、上級甲種試験又はI種試験(旧外務I種を含む)等に合格し、幹部候補生として中央省庁に採用された国家公務員の俗称である

その他にも、「積み重ねた実地の経験」などもあります。

上記のように、「経験」「積み重ねた実地の経験」と考えた場合、ほとんどのみなさんに、「キャリア」という言葉は、身近なものになるのではないでしょうか?

しかし前述したとおりに、日頃あまり意識していないの現状だと思います。

今回は、キャリアについて、下記のような観点でまとめてみました!

  • 技能(スキル)&技術(テクノロジー、体系的に説明可能である)
  • 経験(職務経歴等を通して、自身の成果をまとめる)
  • ビジョン(自身で大事にしている、軸のようなもの)

□ 技能&技術

前提として、お伝えしたいのは、この資料の中で「技能」と「技術」が異なるということです。

スクリーンショット 2020-01-05 18.54.00.png

テスト実施者の方で・・・

とても良い技能(スキル)を持ち合わせているのに、技術(体系的な知識)と紐付いていないために、不具合発見効率が高いのに説明ができずに「なんで、この不具合を発見できたんですか!?」という称賛の声に、「・・・なんとなく・・・」「・・・勘・・・」と言われる、テスト実施者の方は、少なく有りません。

テスト設計者の方も同様に・・・

経験&前任者の知見等から、良いテストケースを作成できるが、「なぜ効率的なのか?」と言われると、技法を適用していても「端と端を見ています」「全パターンは無理なので、斜めに組合せています」等の回答が返ってくることも、多々見受けられます。

テストマネージャの方について・・・

もともと予定されていたことから、スコープを狭めることばかり考えて守りに入ってしまい、期間内で最大の効果をあげようとしないパターンもあります。
個人的な考え方として、前述のような方は、個人的にはテスト管理者の中でも、テストマネージャとは呼ばずに、テストコントローラーと定義しています。

ただし、実際の業務おいては・・・

ステークホルダーとの合意内容等からの手戻りを考えると、期間・工数的にスコープを狭めることが現実的なもの理解できます。

しかし、考え抜くことを諦めて・・・

より良いものを求めて思考し続けることをやめてしまうと、一見スマートで生産性が高いように見えるかもしれませんが、「なぜそうしたのか?」「他の選択肢はなかったのか?」考え抜かれていない「技能」は、汎用性&説得力がないために、「技術」がある人にとっては「稚拙」に思えることもあり、ある一定以上のキャリアを考えるのであれば、何らかの形でブレークスルーが必要だと考えます。

いずれにしても、自身の技能(スキル・能力)を技術的に説明できるようにしておくと、現状のスキルについて再確認できることと、一般的に求められていることを紐付けることができます。
上記が可能になれば、他業種での技能・技術とも紐付けができるので、次のキャリアを考えるときの可能性と選択肢が広がります!

  • 「技能」について、例として下記のようなものがあります

    • テスト実施者ならば、効率的な「テスト実施」「不具合発見」できること
    • テスト設計者ならば、効率的な「テストケース」「テストスクリプト」作成できること
    • テストマネージャならば、計画的&効率的な「テストプロジェクト」運用できること
  • 「技術」について、例として下記のようなものがあります

    • 各種テスト技法 (「テスト技法ドリル」参照)
      • 点   : 3色ボールペン(間、対称、類推、外側)
      • 線   : 境界値分析、同値分割
      • 面   : ドメイン分析、ディシジョンテーブル、原因結果グラフ、CFD法
      • 立体  : HAYST法(因子・水準、FV表)、ペアワイズ(PICT)、直交表
      • 時間  : 状態遷移テスト、Nスイッチカバレッジ
      • 多次元 :
    • 資格試験
      • ISTQB、IVEC、JCSQE、etc
    • スキル標準
      • Test.SSF、ITSS、ETSS、UISS
    • 知識体系
      • SQuBOK、SWEBOK、PMBOK、BABOK、REBOK、EABOK、etc
    • 規格(ISO/IEC/IEEE)
      • 29119(829)、25000(9126)
    • 改善手法
      • TPI Next、TMMI、SaPID、etc

□ 経験

本記事では、「キャリア」について、「経験」「積み重ねた実地の経験」と考えておりますので、多くの方にとっては、身近なものだと思います。
ソフトウェアテストに従事している方については、「キャリア」「経験」≒「職務経歴」というケースがほとんどなのではないでしょうか?
しかしながら「職務経歴」を棚卸しするのは、転職・就職活動の時に限られているのではないでしょうか?

また「職務経歴書」に書かれる内容は、どのような内容をイメージされるでしょうか?
多くの転職サービスサイトでは、下記のようなフォーマットが多く見られると思います。

期間 業務内容 役割・規模
YYYY年 MM月 〜 YYYY年 MM月 金融系 Webサイト テストマネージャ
         テスト管理、テスト計画作成、テストケース作成 20名
YYYY年 MM月 〜 YYYY年 MM月 音楽再生プレイヤー 組込み サブリーダー
         テストケース作成、テスト実施 10名

しかしながら・・・
ソフトウェアテストに従事している方々の実力は、上記内容ではなかなか伝わらないの現状です。
「職務経歴書」を作成する時のポイントは、ご自身が各業務において、「考え抜いた」「どのような工夫し」「どのような成果を上げた」かが重要です!
例えば、各役職において以下のようになります!!

  • テストマネージャ
    • 業務効率向上、リードタイム削減、組織の品質力向上
  • テストリーダー
    • テストプロジェクトの効果的な運用、テストチームの力量強化
  • テストエンジニア
    • 効率的なテスト設計・実施、不具合分析、再発防止策の検討 スクリーンショット 2020-01-05 18.48.40.png

◇ 「職務経歴書」は定期的にアップデートしましょう!

みなさんは、上記のように「考え抜いた」こと「どのような工夫」をしたのか等について、数年前のことを、すぐに説明できますか?
私自身は、最初に職務経歴書を作成したときには、とても時間がかかりました・・・

だからこそ、「職務経歴書」は定期的にアップデートすることをオススメします!
「職務経歴書」を、まとめる際に入社時・転職時から時間が立ってしまうと、どうしても記憶が薄れてしまいますので、あまり期間をあけずにアップデートすることほうが良いと思います。
例えば、多くの組織では、3ヶ月から1年のスパンで、MBO・OKR等を用いて、目標設定・評価等が行われていると思いますので、同等のタイミングで実施しては、いかがでしょうか? または、PJ単位でアプデートするのも良いかもしれません。

◇ 「職務経歴書」で見ているポイント

上記でも一部記述しましたが・・・個人的に「職務経歴書」で見ているポイントは、下記のようになります。
簡単に言えば、求めている人材として、現場で活躍している姿が想像できるかということになります。

  • 定型的な内容になっていないか?
  • 業務経験が募集要項にマッチしているか?
  • 業務毎の成果が書かれているか?

・コネタ

スクリーンショット 2020-01-18 17.52.45.png

□ ビジョン

◇ 大事なことは・・・

キャリアビジョンを考える上で、大事なことがいくつかあります・・・

  • もっとも優先すべきは「個人の幸せ!」「心身の健康!」
  • 「過去の経歴」をベースに「未来(夢≒ビジョン)をつなぐ!」
  • つないだ未来を「キャリアビジョン(プラン)」にする!

○「個人の幸せ!」&「心身の健康!」

個人的な考え方で・・・多くの方々には、周知のことかもしれませんが・・・
「個人の成長」「組織の成果」には、密接な関係があると考えています。
「個人のキャリア」「業務の目標」がマッチした方が双方にとって、より成果が得られると思います。
特にソフトウェア開発においては、「ピープルウェア」に記載されているとおりに、「個人のモチベーション」により、生産性が20倍ほどの違いが出るそうです。
そのためには、「個人のモチベーション」を高めるためには、「個人の希望」とマッチしていることが重要です。
「個人のモチベーション」「業務の目標」を達成して、「組織の成果」となり「個人の成長・キャリア」につながります。

○「過去の経歴」

「過去の経歴」を、棚卸しするには、いくつかのアプローチがあると思います。
「キャリアの棚卸し」については、「経験」で記述したとおりに自身の業務について、「成果」「効果」を軸に棚卸しすることをおすすめします。
「スキルの棚卸し」については、「Test.SSF」の「SSFに基づくテスト技術スキルフレームワーク」を使って、棚卸しをすることをおすすめします。

 スクリーンショット 2020-01-18 17.36.20.png

○「未来(夢≒ビジョン)をつなぐ!」

「未来(夢≒ビジョン)」は、先々のキャリアについて、さまざまな組織・規格等で定義されていますので、いくつか列挙します。






○「キャリアビジョン(プラン)」

  • 簡単なキャリアプランを考える
    • 自身のスキル&キャリアと親和性が高い、スキル標準・組織標準等を活用して、目指すべき、キャリア(ロール・ポジション・etc)との差分・ギャップを、どのように埋めるか具体的に計画を立ててみましょう。
  • 業務で達成できるものと業務外で達成すべきものを分ける
    • 現状・体制・組織・業務形態・etc、さまざまな要因で伸ばしたいスキルを、業務として携われない状況は、多々あると思います。
    • ただし、それを補うための学習方法は、いろいろありますので、探して・マッピングしてはいかがでしょう。(資格・規格・スキル標準・コミュニティー・etc)
  • ロードマップを作成する
    • キャリアプランを考える上で、半年後・1年後・3年後・5年後・10年後等、スケジュール感はいろいろあると思います。
    • まずは、これから1年後のどうなりたいかを軸に、3ヶ月単位でどうなりたいか、ロードマップを作成することを、オススメします。

まとめ

  • キャリアは、個人の幸せのためにある(意見には個人差がありますので、ご注意ください!)
  • スキル標準を用いて、相手を知り、己を知れり、未来を考える
  • キャリアパス&スキル標準で、未来(キャリアアップ)への階段(キャリアラダー)を考える

おまけ

「序 : キャリアチェンジの準備 ~ 棚卸し、面接準備 ~」から、抜粋
https://www.slideshare.net/kunioyamamoto519/you-are-not-alone-70223443)

スクリーンショット 2020-01-18 17.51.33.png


最後に

本記事が、キャリアについて、悩んでいる方々の一助になれば、幸いです。


■ 参考書籍

■ 参考サイト

■ 講演資料

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