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新卒で入ったブラック企業、気づくまでの半年間

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Last updated at Posted at 2026-04-16

「普通ってこんなものなのか」と思い込んでいた期間があった。

新卒で入った会社が、後から振り返ると教科書に載りそうなブラック企業だった。でも当時の俺には、それが当然に見えていた。半年間、ずっと。

なぜ気づくのに半年もかかったのか。今なら少しわかる気がする。

入社した日のこと

就職活動は苦労した。志望していた業界の大手は全滅で、ぎりぎり内定をもらったのが中規模のIT系企業だった。

入社式は4月1日。スーツ姿の同期が20人ほど集まっていた。人事部長が熱い言葉をかけてくれた。「うちは実力主義だ。頑張った分だけ返ってくる会社だ」と。

「頑張れば報われる」という言葉を信じていた。信じたかったのかもしれない。

研修は1週間で終わり、即座に現場に配属された。「早く現場を経験させる教育方針」と説明された。


最初の違和感

配属先の先輩は、いつも疲れた顔をしていた。目の下にクマがあって、机の上にはエナジードリンクが常備してある。

「残業、多いですか」と聞いたら、笑いながら言われた。

「多いよ。でもうちはフレックスだから、まあそんなもんだよ」

その月の残業時間を後から知った。100時間を超えていた。

「そういうもんか」と思っていた。業界の特性だと説明された。「最初は誰でもこうだ」とも言われた。

俺の残業時間も、1ヶ月目から80時間を超えた。


半年の記録

入社後半年間の主な出来事を書く。

1ヶ月目: 毎日終電。「慣れたら楽になる」と先輩に言われた。社内の雰囲気に必死に合わせた。

2ヶ月目: 上司に「仕事が遅い」と毎週言われた。具体的な改善方法は教えてもらえない。「自分で考えろ」と言われた。

3ヶ月目: 同期が一人辞めた。理由は「体調不良」と公表された。残った同期には「根性がない」という雰囲気が漂った。

4ヶ月目: 上司から「お前、本当に頭が悪いな」と会議の場で言われた。フォローは一切なかった。周りは誰も何も言わなかった。

5ヶ月目: 土曜出勤が常態化した。「休日出勤手当ては出ないが、代わりに平日に休んでいい」と言われた。実際には平日に休める雰囲気ではなかった。

6ヶ月目: 俺が同期の友人に「最近どう?」と聞かれた。「まあ普通だよ、忙しいけど」と答えた。友人が怪訝な顔をした。


気づいたきっかけ

その友人が言った言葉が引っかかった。

「残業100時間って、普通じゃないよ」

「でも業界的にはそういうもんらしいよ」

「いやいや、俺の会社は月20〜30時間くらいだよ。お前のとこ、おかしくない?」

その言葉を聞いても、最初はピンと来なかった。「職種が違うから」と思った。でも家に帰ってから、ふと考えた。

毎日終電で帰る生活が、本当に「普通」なのか?

「お前頭が悪い」と人前で言われることが、普通の職場環境なのか?

土曜に出勤して手当てが出ないのが、当たり前なのか?

一つひとつ考えていくと、答えは「普通じゃない」ばかりだった。

IQテスト問題


なぜ半年間気づかなかったのか

後から考えると、理由はいくつかある。

まず、比較対象がなかった。社会人経験がゼロの状態で入った職場が最初の「普通」になった。周りが全員同じ環境にいるから、「これが普通」に見えた。

次に、「慣れたら変わる」という言葉を信じていた。実際には変わらなかったが、「まだ慣れてないだけ」という認知が修正を遅らせた。

そして最も重要なのは、「否定されること」への慣れだ。上司に「頭が悪い」と言われ続けると、「俺が劣っているから悪い環境なんだ」と思うようになる。自分の認知能力への自信がなかったことが、環境の問題を自分の問題として内面化させた。


IQテストを受けたのはその後

ブラック企業を退職したのは入社9ヶ月目だった。

辞めてから2ヶ月後に、ふとIQテストを受けた。「俺って本当に頭悪かったのか」という問いを、検証したかった。

スコアは122だった。平均を大きく上回る数字だった。

「お前頭悪い」と言い続けた上司は、俺の何を見ていたのだろうと思った。

認知能力と「ブラック企業での評価」は、全然別の話だったということだ。


今、同じ状況にいる人へ

「こんなもんか」と思っているなら、一度比較対象を作ることをすすめる。

転職サイトを見る、友人に話を聞く、労働基準法を調べる。そのどれでもいい。外の空気を吸うことで、「普通」の基準がリセットされる。

そして「頭が悪い」と言われていても、それが本当かどうかは自分で確かめられる。環境が人を追い詰めているだけの場合、評価と実力は一致しない。

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