フリーランスエンジニアという働き方が一般的になるにつれて、残念ながら、その立場を利用しようとする悪質なエージェントの存在も無視できない問題となっています。
この記事では、悪質エージェントの実態と対策、そして適切なエージェントの選び方について解説します。
1. 注意すべき悪質エージェントの特徴
悪質エージェントはあの手この手で求職者から不当な利益を得ようとします。
彼らには以下のような共通点が見られます。
1.1 無断で応募する
エンジニアに無断で、勝手に案件にエントリーして履歴書・職務経歴書をクライアント企業に送るパターンです。
信じられないかもしれませんが、このパターンは多いです。
私と知人を含めて既に3人がこの被害に遭っています。
当たり前ですが、履歴書などの個人情報を無断で提供している点で個人情報保護違反。
グレーどころか法律ガン無視の真っ黒違法行為です。
大手人材会社でもこれをやる人間はいます。実際にいました。
「なぜこんなことをするのか?」
それは、求人している企業が「最初に応募したエージェント経由を優先するため」です。
求人企業からすれば、最初のエージェント経由の応募を無視していたらエージェント企業との信頼関係を失ってしまいますので、そりゃまあ優先するわけです。
つまるところ「早い者勝ち」「早く応募させたエージェントが勝つ」という仕組みになっています。
そのため、案件がクローズする前にとりあえず勝手に応募して、運良く書類選考で通ったら
「A社から◯日に面談の依頼が来ていいかがでしょうか!?」
「おめでとうございます。あなたは書類選考に通りまして、◯日に面談の依頼が来ていますので、面談しませんか?」
と聞いてきます。
そしてエンジニアが「え?まぁ依頼なら一度面接するか」となったり、「断るのも悪いなぁ」という心理になって、ついつい面談してしまう、という流れを彼らは狙っています。
- 対策: 3章で詳しく述べます。
1.2 マージン率の非公開
- 例: 「マージン率は企業秘密なので教えられません」
- 解説: マージン率を隠蔽することで、不当に高い手数料を徴収しようとしている可能性があります。
- 対策: マージン率の開示を拒否するエージェントは切っていいです。まぁ企業にもポリシーがあると思うので、すべてが悪徳エージェントとは言いませんが、かなり疑わしいです。
1.3 勝手な源泉徴収
所得税法上、プログラミング作業は、源泉徴収の対象外となります。Webデザイン作業は、源泉徴収対象になります。
このあたりややこしいのですが、普通のプログラミングやシステム開発、データ分析、運用などの業務は、よほどの理由がない限りは源泉徴収の対象外です。(個別に案件については税務署に聞くのが一番です)
これを悪用して、源泉徴収の対象外にもかかわらず源泉徴収が必要だとぬかして中抜きするエージェントがいます。
非常に度し難いですが、騙されないように税務署や税理士といつでも相談できる体制を整えるのがよいです。
- 対策: 源泉徴収の有無を事前に確認し、不明瞭な点は税務署か税理士に相談しましょう。
1.4 質問に対する回答の拒否やはぐらかし
- 例: 「契約書は?」「あ、弊社が代理で手続きしますのでご心配なく」「(いや見せろよ...)」
- 解説: 都合の悪い質問には答えず、とにかく契約を急がせようとするエージェントもいます。
- 対策: どんな些細な質問にもきちんと答えてくれないエージェントは信用すべきではありません。
1.5 特定のエージェントへの絞り込み要求
- 例: 「弊社のエージェントサービスだけを使ってください」「他の応募はいったん断ってください」
- 解説: 他のエージェントと比較されることを恐れ、フリーランスエンジニアを囲い込もうとしている可能性があります。
- 対策: 複数のエージェントを比較検討することは当然の権利ですので無視してOKです。即座に切りましょう。
1.6 その他の不審な言動や態度
- 高圧的な態度
- 過剰な営業電話やメール
- 契約内容の不透明さ
少しでも「おかしい」と感じたら、その直感を信じることが大切です。
2. エージェントサービスの評判サイトの落とし穴
「フリーランス エージェント おすすめ」
「エンジニア エージェント 比較」
このようなキーワードで検索すると、多くのランキングサイトが表示されます。
これらのサイトの多くは、エージェント自身や広告代理店によってSEO対策がなされており、内容は良くて玉石混交、悪いと悪質エージェントまみれです。
結局のところ、これらのサイトは特定のエージェントに誘導することが目的であることを理解しておきましょう。
信頼できるエージェントを見つけるためには、徹底的に情報収集するか、実際に会話して判断することが重要です。
3. 悪質エージェントへの対策
3.1 勝手に応募、の対策
- エージェントが許可なく企業に応募した場合、応募先の企業に直接連絡し、応募を無効にしてもらうように依頼しましょう。
- 案件の提案から応募までのフローを事前に徹底的に確認し、疑問点を残さず、納得いくまで質問しましょう。
- 「案件の提案から応募までのフローを詳しく教えて下さい」、「私が応募しますと言わない限り、勝手に応募されることはないですよね?」と確認します。
悪質エージェントに巻き込まれないためには、事前の対策が重要です。
3.2 もしも勝手に応募されてしまったら
- 悪質性が疑われるエージェントは、人材協会に通報しましょう。
- https://www.jesra.or.jp/content/1000038/
- 悪質性が認められた場合、人材紹介業の免許がはく奪されます。
- 勝手に応募は個人情報保護法を完全にブッチしていますので、個人情報保護に関する窓口に相談するのも良いかもしれませんが、勝手に応募されることで明確な損害が出ているわけではなく、また証拠を押さえるのも労力がいりますので、相談して問題が解決するかどうかはわかりません。
3.3 証拠を残す
- 悪徳エージェントは、言葉巧みに契約を迫ってくる可能性があります。
- 違和感を感じた場合は、その後はメールなど、記録が残る形でやり取りするようにしましょう。
4. 適切なエージェントの選び方
- あなたのスキルや希望を理解し、親身になって相談に乗ってくれるエージェントを選びましょう。
- 契約内容や手数料について、明確に説明してくれるかどうかも重要です。
- あなたのキャリアアップをサポートしてくれるエージェントであれば、安心して業務に集中できます。
おわりに
フリーランスエンジニアとして成功するためには、悪質エージェントを見抜き、適切なパートナーと出会うことが重要です。
焦らず、じっくりと時間をかけて、信頼できるエージェントを見つけ、良好な関係を築いていきましょう。