1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

GPU付きPCの納品を待つ間に、CPUでできることを全部やってみた ― 歩行進化・LLMマージ・性格ダイヤルの記録

1
Last updated at Posted at 2026-07-04

GPU付きPCの納品を待つ間に、CPUでできることを全部やってみた

多数の二足歩行を同時進化させている様子

RTX 5090 付きの PC を注文したのですが、ケース入荷待ちで納品がまだです。重い学習は GPU が来てから、と決めているので、いまはノート PC の CPU でできる小ネタをつまみ食いしています。この記事の本編は、その待ち時間にやった 3 つ ── 歩行ロボの進化LLM のマージ性格ダイヤル ── の記録です。加えて第 4 点として、最近の project update もまとめます。ここで触れる onocollollcore は、今回この場で再実行した新結果ではなく、既取得ログや反映済み検証結果を整理した updateです。

ひとつだけ先に言っておくと、全部が「うまくいった話」ではありません。 むしろ 2 つは「正直つらい話(null)」です。でも個人的には、負けの内訳がちゃんと見えたほうが次に効くと思っているので、負けも含めて書きます(この方針を honest disclosure と呼んでいます)。気楽に読んでください。

立場の開示: 筆者は自宅の CPU 環境で省メモリな小型 LLM を組む個人開発(FullSense)を進めています。実験はすべて CPU・小型モデル・単一 seed の範囲です。数値には一次情報(arXiv ID)を添えます。


0. 4 点でいうと(と、この記事の歩き方)

  • 歩行ロボの進化: 「どの親を選ぶか」を変えたら、多様性は減るのに質は上がる、という条件付きの相乗を見つけました(ただし代償あり)。
  • LLM のマージ: 上のロボ進化エンジンをそのまま流用して LLM のマージを探索。最初は「勝った!」と思ったのに、ベースラインを公平にした瞬間に優位が消えました(偽陽性)。
  • 性格ダイヤル: 重みではなく「活性(内部信号)」をいじる手法は、可逆・再訓練なしであっさり効きました。感情や口調をダイヤルで回せます。
  • 最近の project update(第 4 点): この待ち時間の寄り道から、FullSense の土台は 身体側 = gaitlab / 神経側 = spikelab / 世界モデル側 = onocollo の 3 本へ分岐し始めました。加えて LLM 本体側の llcore でも、「一度 GO に見えた枝を CPU で丁寧に潰して、次の本命へ戻す」という honest な進展がありました。この記事では、この recent update も 本編 3 本に対する第 4 点として補足します。

4 点をひとことで束ねるなら、**「良さそうな結果を、正直に測り直すと何が残るか」**です。最初の 3 点はその検証本体で、4 点目の project update は同じ作法が最近どの枝へ伸びたかの補足です。全体像はこう:

専門の方は §4(偽陽性の解剖)と §7(舞台裏)だけでも要点が取れます。はじめての方は §1 から順に。なお §3-6〜3-7.5 に、実在ロボット(Unitree Go2)に土俵で相撲を取らせ、さらに同じ土台で産業用アームに pick-and-place(掴む・運ぶ・整列・積み重ね・色仕分け)までさせるおまけを付けました。息抜きにどうぞ(そして §3-7 / §3-7.5 が実は本命の伏線です)。


1. 背景 ― なぜ「省メモリ」と「融合」で悩んでいるのか

本題の前に、なぜこんなことをやっているのかを一段落だけ。

私は FullSense という個人開発で、「自宅の PC で動く、省メモリな小型 LLM」を組もうとしています。クラウドの巨大モデルに投げれば済む話も多いのですが、個人情報・企業機密・センサーデータを外に出さずに、手元で完結させたいという動機があります(いわゆる on-prem / ローカル志向)。

そうなると、限られたメモリで「なるべく賢く」する工夫が要ります。その一つの候補が モデル融合(model merging / fusion) でした。「日本語が得意なモデル」と「コードが得意なモデル」を 1 つにまとめられれば、2 個ぶんのメモリを使わずに両方の能力が持てるかもしれない ── これが §4 の出発点です。

そして、融合で「どう混ぜるか」を探索する道具として、たまたま別で作っていた ロボットの歩き方を進化させるエンジン が使えそうだと気づいた。これが §3 です。全部、GPU が来るまでの CPU でできる範囲の弾込め、という位置づけです。


2. 実験環境 ― 何の上で動かしているか

「CPU でどこまでやるの?」という話なので、環境は割と本質です。正直に晒します。

区分 いま(CPU 期) 到着待ちの GPU 機
計算 ノート PC の CPU(数コア) Core Ultra 7 + RTX 5090 (32GB GDDR7)
メモリ 一般的なノート 128GB DDR5
OS Windows 11 Windows 11 Pro
用途 調査・設計・小さな PoC 大規模並列シミュレーション・本格的な蒸留

ソフトのスタックはこんな感じです:

  • Python 3.11。数値まわりは基本 numpy + PyTorch(CPU ビルド、2.12)
  • LLM は Hugging Face transformers。モデルは全部ローカルのキャッシュからオフラインで読みます(外に取りに行かない)。
  • ロボットの物理は MuJoCo、制御スタックは ROS 2
  • 使ったモデルは SmolLM2-135M(素の言語モデル)と -Instruct(指示追従版)、それと自作の "コード担当"(後述)。すべて 1.35 億パラメータの小型です。

この「小型・CPU・オフライン」という制約が、後半の**エンジニアリングの舞台裏(§7)**にそのまま効いてきます。まずは中身から。


3. 歩行ロボの進化 ― 「親の選び方」で質が上がる話

まず MuJoCo の中で、四足・二足ロボットの歩き方を進化させています。ROS 2 の制御スタックにも載る形で作っていて、ここは「GPU が来たら数千環境の大規模並列にする」ための地ならし。世代を追うと、こんなふうに歩けるようになっていきます:

humanoid の歩容が世代とともに進化する様子(gen0→100)

3-1. 用語:MAP-Elites と lexicase

  • MAP-Elites(品質多様性、Quality-Diversity): 「速く歩く個体」だけでなく「跳ねる」「すり足」など多様な歩き方を、行動の特徴で区切った格子(archive)に保存し続ける進化手法(arXiv:1504.04909)。
  • lexicase 選択: 親を選ぶとき、複数の評価軸をランダムな順で 1 つずつ適用して勝ち残らせる方式。「平均点」ではなく「どれか 1 軸で尖っている個体」を拾いやすい。

進化エンジンの骨格はこうです。ここの genome を「歩き方」から「マージレシピ」に差し替えるのが §4 の伏線です:

3-2. 実験:親の選び方を変えると何が起きたか

「良い個体を普通に選ぶ(uniform)」と「lexicase で選ぶ」を、受理方式(単一 elite / 多目的 MOME)と組み合わせた 2×2 の要因実験(各 10 seed)。結果がこちらです:

lexicase×MOME 2×2 要因実験の 6 パネル。coverage は lexicase で下がり、best fitness は上がる

左上と中央上のパネルが要点です。

  • 質(best fitness、中央上)は lexicase(赤)が uniform(青)より上。 前進距離のフロンティアが押し上がる(右下パネルの forward_distance が +1.7)。
  • でも多様性(coverage、左上)は lexicase(赤)がむしろ下。 一部の勝ちパターンに寄る。
  • つまり 条件付きの相乗。「良いとこ取り」ではなく「あちらを立てればこちらが立たず」でした。

正直に言うと、最初は「多様性も質も両方上がった!」と思っていました。ところが多様性の指標を clean に測り直したら、多様性はむしろ下がっていた。ここで自己修正が入っています(この「測り直し」が本記事の通奏低音です)。最終的には、coverage を守る仕組みを足した hybrid でトレードオフを緩めるところまで持っていきました。

3-3. 同じエンジンは、歩く以外もこなす

面白いのは、この進化エンジン(と MAP-Elites の骨格)を一切書き換えずに、いろんな身体・媒体に一般化できたことです。たとえば媒体を水にすると、泳ぎを覚えます(2D の魚。簡単なレベルですが、ちゃんと前に進みます):

2Dの魚が泳ぎを進化させる様子

身体そのものを別種から接ぎ木する「形態融合」もできます(下は四足のキメラ)。これは後で出てくる LLM の frankenmerge(層ブロックを抜いて積む融合)と発想が同じで、実はこの記事の出発点でした:

四足ロボットの形態を融合したキメラが歩く様子

余談(デバッグの副産物): ROS 制御スタックに載せる過程で、シミュレータ + 制御プラグインのバグを踏み抜きました。strlen(NULL) 相当のクラッシュを追っていくと、名前のないアクチュエータを参照した時に NULL 参照で落ちる、という上流の不具合でした。原因を独立に切り分けて特定できたので、悪くないおまけです。

3-4. 坂と階段 ― 「登る」のは道半ば(正直な現状)

平地を歩くのはできても、坂や階段はまだ道半ばです。まず10 度の坂。少しは登りますが、まだ 1m ちょっと(斜面用に探索した歩容で、平地ほど滑らかではありません):

10度の坂をよちよち登る walker2d

階段になると、もっと厳しい。下の GIF は、階段を用意した環境で動かしてみたところ ── 見てのとおり、手前でこけています。地形を上る歩容は探索空間がぐっと広く、まともに学習させるには CPU では荷が重い。環境(MJCF の坂・階段・接触設定)を作るところまでが CPU 期の仕事で、本格的な学習は GPU 待ちです。準備段階なので、こけている姿も正直に載せておきます:

階段環境を作ったが、まだ登れずに手前でこけている walker2d

3-5. 新しい身体を「その場で」作ってみた ― 尺取り虫と多脚

せっかくなので、この記事を書きながら新しい身体プランを 2 つ、CPU で作ってみました。エンジン(MAP-Elites + CPG コントローラ)は一切いじらず、身体定義(MJCF)を書いて、前進する動きを軽く探索するだけです。まずは尺取り虫。水平な多節チェーンで、関節の位相差で進行波を作って這います(側面と、視点を変えた斜め上から):

尺取り虫が這って前進する(側面)

同じ尺取り虫を斜め上から(視点変更)

次に多脚(センチピード)。水平な胴体に 6 本の脚を付けて、脚が順番に動く波(metachronal wave)で前進させます。カメラをゆっくり回り込ませて立体的に:

6本脚の多脚が波状に脚を動かして前進する(カメラ回り込み)

どちらも、ランダムに数百通りの動き方を試して「いちばん前に進んだやつ」を選んだだけの、簡単なレベルです(尺取り虫で約 5m、多脚で約 4.5m 前進)。それでも、同じ骨格のまま身体だけ差し替えれば、這うやつも多脚も動くというのは気持ちいい。身体プランを増やすのは CPU でも今できるので、次は昆虫っぽい脚の関節を増やしたり、尺取り虫の節を増やしたりして遊ぶ予定です。

3-6. おまけ ― トイの次は「本物」。実在ロボットに相撲を取らせる

2D のトイ身体で遊べたので、ついでに本物のロボットを動かしてみました。使ったのは MuJoCo Menagerie(Google DeepMind 提供、Apache-2.0)という、実在ロボの高品質な 3D モデル集です。四足歩行ロボの Unitree Go2(実売されている犬型ロボ)などが、メッシュ付き=見た目リアルで入っています。

なぜシミュレータかというと、実機は高価で、ぶつけ合えば壊れるからです。土俵で押し合う「ロボット相撲」なんて、実機で気軽にやったら財布が持ちません。でもシミュなら只。これは FullSense の「ローカルで完結」という主張とも地続きです ── 手元の CPU だけで、本物のロボが戦う場を作れる。

まず「歩かせる」でつまずきました(正直な話)。 Go2 は他の多くのロボと違って トルク制御(torque / motor actuator) でした。目標角度を渡せば勝手にその姿勢を保つ「位置サーボ(position)」ではなく、各関節に直接トルク(ひねる力)を指令する方式です。なので立たせるだけでも自前で PD 制御(目標角との差と速度からトルクを計算する古典制御)を書く必要がありました。

実在ロボ Unitree Go2 が土俵の上を前進歩行する(カメラ追従)

さらに前に歩かせるのが曲者で、対角の脚(右前+左後 / 左前+右後)を半周期ずらす「トロット」に、膝(calf)を腿(thigh)より 90°先行させると足先が楕円を描いて前へ蹴り、前進します。ところが、この位相差の符号を間違えると、静かに後ろへ歩くのです。実際、最初に組んだ相撲では両者がそろって後退して、しばらく「なぜ離れていくんだ…」と悩みました。符号ひとつで前進が後退になる ── 開ループ歩容あるあるでした。

そして相撲。 円い土俵(俵と仕切り線つきで、ちゃんと dohyo に見えます)に Go2 を 2 体、向かい合わせに置いて押し合わせます。勝敗は 場外(ringout)・転倒(fall)・時間切れは判定で決めます。

Go2 同士のロボット相撲。左(強め)が右を土俵際まで押し込み、俵の外へ落として勝つ

ここでも正直な物理が顔を出します。軽い四足ロボ同士の押し合いは摩擦が上限で、押された側は土俵際で腰が残り、なかなか外へ出ません(本物の相撲の「うっちゃり」直前みたいな粘りが出ます)。なのでまったく同じ強さの 2 体だと引き分けになります。押す強さに差をつけると、強い方が相手を俵の外へ落として勝つ ── 上の GIF は、左の個体を強めに設定した一番です。

最後に、格闘ゲームの骨格まで。 せっかく操作できる土俵ができたので、自機をキーボードで操作して AI と対戦するロボット格闘ゲームの骨組みも作りました(前後 = W/S、旋回 = A/D、しゃがみ = Space)。下は、台本化した操作で自機が AI を押し出す動作確認の様子です:

ロボット格闘ゲームの動作確認。自機(手前)が AI 機を土俵際へ押し込む

正直に言うと、強い相撲 AI・対戦 AI は GPU が来てからです。いまの CPU 期でできたのは「土俵・当たり判定・勝敗・簡易操作」という遊べる場と骨組みまで。それでも、注文した GPU PC が届く前に、手元のノート CPU だけで本物のロボが土俵で相撲を取るところまで来られたのは、我ながら楽しい寄り道でした。

つまずきメモ:(1)Menagerie の足は既定で接線摩擦オフ(condim=1)。土俵側を摩擦ありにすると、接触の摩擦係数は「両者の大きい方」が採られるので足に効くようになる。(2)PD のトルクは毎物理ステップ計算しないと発散する(制御周期でサボると振動する)。(3)前述の位相符号。全部、動かして初めて分かった罠でした。

3-7. そして本命へ ― 同じ土台で「産業用アーム」も動く

ここまでは四足の話でしたが、同じ枠組み(Menagerie のロボを読み込んで動かす仕組み)は、そのまま産業用アームにも効きます。実は、個人的にいちばんやりたいのはコレ ── 生産ラインのロボットアームを、いずれ AI で動かすことです。相撲は「動かして魅せる」ための入口で、本命はこっち、というのが正直なところ。

そこで実在の産業用アーム 4 機種 ── Franka Emika Panda / Universal Robots UR5e / KUKA iiwa 14 / Kinova Gen3 ── を横に並べて、生産ラインっぽく作業動作させてみました:

実在の産業用アーム4機種(Franka/UR5e/KUKA iiwa/Kinova)を並べて作業動作させる生産ライン

四足(浮遊ベース)と違って、アームは固定ベース(床に固定)で、関節はすべて位置制御(position servo)。なので制御はむしろ素直で、目標角を渡せば内蔵サーボが追従してくれます。いまの動きは開ループの「作業モーション」(関節を波打たせているだけ)ですが、大事なのは、四足も産業用アームも同じエンジン(同じ RobotIndex)の上に載っていること。つまり、後段でこの「目標角を出す部分」を AI(動作の学習・タスク計画・把持)に差し替えれば、そのまま知能化できる設計です。ここが CPU 期に作っておきたかった土台でした。

つまずきメモ:アームのサーボは非常に硬い(ゲイン 4500 など)ので、ふつうの Euler 積分だと一瞬で発散し、MuJoCo が毎ステップ勝手にリセット → シミュ時間が進まず「1 フレームだけの GIF」になりました。integrator=implicitfast に変えたら一発で安定。硬いアクチュエータには implicit 系、というのは知識では知っていても、実際に踏むまで気づけない罠でした。

この「実機のアームを、手元の CPU だけで読み込んで動かせる場」は、FullSense の「工場や現場のロボットも、外部に頼らずローカルで」という狙い(llmesh の MQTT/OPC-UA 産業 IoT とも地続き)に、ちゃんと繋がる一歩だと思っています。……で、この記事を書いている間に、その一歩が思ったより進みました。次節へどうぞ。

3-7.5. そして、把持(はじ)まで来た ― GPU を待つ間に「掴んで、運んで、積んで、仕分ける」

さっき「把持の賢い制御は GPU 着荷後」と書きかけたのですが、待っている間に、手元の CPU だけで、アームが箱を掴んで運べるところまで来てしまいました。この記事のテーマそのまま(GPU を待つ間に、やれることを前倒しでやる)なので、一段進めた話をします。

用語を 2 つだけ。

  • IK(Inverse Kinematics / 逆運動学):「手先をこの位置・この向きに置きたい」というゴールから逆算して、各関節を何度回せばいいかを解く計算。人間が「コップを取ろう」と思ったとき、肩・肘・手首の角度を無意識に決めているのと同じことを、数式でやります。
  • pick-and-place(ピック・アンド・プレイス):物を**掴んで(pick)・運んで・置く(place)**という、製造ラインの最も基本の一手。

大事な区別を一つ先に。私がやったのは 幾何(きか)ベースの IK 制御であって、学習(AI)ベースの制御ではありません。「どの角度に手先を持っていくか」は数式で解いています。学習で賢く掴むほうは、いまも GPU 待ち。つまり「掴む動作の土管(パイプライン)」は CPU で通したが、「掴み方を賢くする脳」はこれから、という段階です(ここは誇張しないでおきます)。

掴む ― gripper を下に向けて、上から掴む

手順はシンプルで、上空へ移動 → 真上から降下 → 指を閉じて掴む → 持ち上げる → 運ぶ → 降ろす → 指を開いて放す、という「経由点(waypoint)」を順にたどるだけ。ポイントは、掴む瞬間に gripper(指)を真下に向けること。これには手先の「位置」だけでなく「向き(姿勢)」まで合わせる 6-DOF(6 自由度 / six Degrees of Freedom)IK が要ります。

Franka が箱を掴んで別の場所へ運ぶ pick-and-place

正直な内訳(honest disclosure):

  • 把持そのものは「ゲート付き運動学把持(GraspRig)」という抽象を使っています。掴む条件は物理で判定(指が閉じていて、箱が指の間にある)しますが、掴んだ後の保持は運動学(箱を手先に剛体で追従させる)。接触摩擦の微妙な調整に依存しないので、デモが安定します。
  • 本物の力学把持(指の摩擦だけで持ち上げる)も、このシミュで実際に成立しました(箱を最大 17cm 持ち上げ)。ただし掴む位置・タイミングにすごく敏感で脆いので、堅牢なデモには運動学把持のほうを採用しました。「できたが、まだ信用ならない」段階です。
  • グリッパを持つのは、今回の 4 機種では Franka だけ(UR5e/iiwa/Kinova は素のアーム)。

複数箱 ― 1 本のアームで、順に片づける

箱が 1 個できたら、次は複数。1 本のアームで、箱ごとに「掴む→置く」の一連を切り替えながら、順番に運びます

Franka が 2 個の箱をそれぞれの目的地へ順に運ぶ

さらに、置くときに箱を狙った向きに回して置くこともできます(部品を向き揃えて並べる、生産ラインでよくある要求)。下は 3 個を 45° 回して整列配置 ── 正方形の箱でも 45° なら「ダイヤ向き」になるので、揃えた向きが見て取れます(90° だと正方形は自分自身に重なって見た目が変わらないので、あえて 45° にしています):

3 個の箱を 45 度回して「ダイヤ向き」に揃えて整列配置

積む ― パレタイジング、そして「めり込んで弾け飛ぶ」罠

最後に、箱を縦に積む(パレタイジング / palletizing)。これが一番ハマりました。

素直に「置く高さを下の箱の上面にセットして、そこで指を開く」とやると、箱が四方に弾け飛びます(実測で 4〜10cm 散乱)。原因は、さっきの運動学把持。箱を手先に「剛体で貼り付けて」動かしているので、下の箱に少しでもめり込むと、物理エンジンが強い「めり込み解消」の反発力を出し、下の箱を吹っ飛ばす。貼り付けた箱は逃げないので、逃げ場のない反発が下段を襲う、という構図です。

直し方は拍子抜けするほど単純でした。上段は目標の高さより 12mm だけ上で指を開き、あとは自然落下に任せる。めり込みが起きないので反発も起きない。

3 個の箱を縦に積む(パレタイジング)

正直メモ:最初、この積み重ねの「成功判定」を 横方向のズレと持ち上げ高さだけで見ていました。が、これだと崩れて横の床に転がった箱も「成功」と誤判定します(同じ場所を狙うので横ズレは小さく、持ち上げは運搬中に達成済みなので)。敵対的レビュー(AI エージェント 53 体で自分のコードを突く)に指摘され、各段の最終的な「高さ」が期待どおりかを判定に足しました。結果、3 段とも最終高さ 2.5 / 7.4 / 12.4cm(狙い 2.5 / 7.5 / 12.5cm)で、ちゃんと積み上がっています。**「良い結果が出たら、まず判定の甘さを疑う」**は、この連載で何度も踏んでいる教訓そのものでした。

これも**「そっと落として載せている」段階**で、崩れない安定な積み方(重心・接触の最適化)はこれからです。

仕分ける ― 色で分けて、狙った場所へ

もう一つ、生産ラインの定番を。色違いの箱を、色ごとに決まったビン(置き場)へ仕分ける(sorting / ソーティング)。バラバラに並んだ 6 個の箱を、同じ色は同じビンへまとめて運びます(3 色 × 2 個 → 3 ビン):

バラバラに並んだ6箱を、同じ色ごとに3つのビンへグルーピングして仕分ける

……ですが、ここは正直に大事な但し書きを。いまの仕分けは「どの箱が何色か」をプログラムが最初から知っている(ground-truth を渡している)状態で、幾何的に運んでいるだけです。本当の仕分けは「見て、判断する」こと ── カメラの画像から色(や形・キズ)を推論して、初めて「知能的な仕分け」になります。その知覚(perception)を挟むのが、この土台に AI を載せる最初の入り口。いまはその「運ぶ側」だけを、幾何で先に用意した、という段階です。

ついでに ― 「届かない」を握りつぶさない

もう一つ、地味だけど大事にしている挙動を。手先が届かない点を指示されたとき、アームはどうするか。無理に腕を伸ばして"それっぽく"見せる(そして失敗を隠す)こともできますが、ここでは 届かない点は追わずに skip し、「失敗した」と記録して次へ進むようにしています。下の GIF で、緑=到達できた点、赤=届かないので諦めた点です:

アームが届かないターゲット(赤)を無理に追わず skip し、届く点(緑)だけ到達する

これは FullSense 全体の設計思想 ── 「責任の所在をアーキテクチャのレベルに埋め込む」「失敗を握りつぶさない(fail-closed)」 ── の、ロボット制御での最小の表れです。生産ラインで「届かない部品を掴んだフリ」をされたら事故のもと。できないことは、できないと言う。この土台の上に AI を載せても、この規律は下(仕組み)に残しておきたい、という設計です。

で、これは何の一歩なのか

派手さはありませんが、これは §3-7 で言った 「本命=生産ラインのロボを AI で動かす」への、地に足のついた前進です。いまは全部幾何(数式)で解いているこの「掴む・運ぶ・置く・積む・仕分ける」の土管を、GPU が来たら学習した方策やタスク計画(そして仕分けなら知覚)に差し替える ── 同じエンジン(RobotIndex/MatchEngine)の上なので、脳だけ入れ替えられる設計です。相撲(§3-6)が「動かして魅せる入口」だとすれば、こっちが「本当にやりたいこと」の骨組み。GPU を待つ間に、骨組みはだいぶ組めました。

3-8. 使える機体、勢ぞろい ― 全機種紹介

ここまでに登場した(あるいは同じ土台で動かせる)実機ロボを、一堂に並べてみました。奥が四足、手前が産業用アームです:

対応する実機ロボの全機種ロスター。四足5種(Go2/Go1/A1/ANYmal C/Spot)と産業用アーム4種(Franka/UR5e/KUKA iiwa/Kinova)が並ぶ

すべて MuJoCo Menagerie(実機メーカー監修の高品質モデル)から。同じ 1 つのエンジンで、犬型もアームも読み込めます:

機体 種別 メーカー 関節 ひとこと 現状
Unitree Go2 四足 Unitree(中国) 12(トルク) 犬型・いちばん映える 歩く・相撲 ◎
Unitree Go1 四足 Unitree(中国) 12(位置) Go2 の前世代 歩く ◎
Unitree A1 四足 Unitree(中国) 12(位置) 軽量な犬型 歩く ◎
ANYbotics ANYmal C 四足 ANYbotics(スイス) 12(位置) 産業点検用の大型犬型 歩行 △(背が高く開ループ gait では不安定・転倒しやすい)
Boston Dynamics Spot 四足 Boston Dynamics(米国) 12(位置) 有名な黄色い犬型・重量級 歩く ○(約 4m 前進・直立維持を実測)
Franka Emika Panda アーム Franka(ドイツ) 7+グリッパ 定番の協働ロボット pick-and-place ◎(掴む/運ぶ/積む)
Universal Robots UR5e アーム UR(デンマーク) 6 産業用 6 軸の定番 到達 ◎(把持は Franka のみ)
KUKA iiwa 14 アーム KUKA(ドイツ) 7 力覚付き 7 軸 到達 ◎(把持は Franka のみ)
Kinova Gen3 アーム Kinova(カナダ) 7 軽量 7 軸 到達 ○(~2.3cm・把持は Franka のみ)

四足は「歩く」ための前進歩容を機体ごとに(足先の動きから符号を自動較正して)合わせ込み、アームは位置制御で作業動作。同じ土台に多様な実機が載ること自体が、生産ライン AI への足場です。

なお正直に測ってみると、同じ開ループ歩容でも機体によって出来がだいぶ違います。Go2 は堅実、Go1/A1 は速いが横に流れがち、Spot は意外と安定して約 4m 前進、そして背が高い ANYmal C は既定パラメータだと数秒で転びます(立上げをゆっくりにすると転ばないが、前進はごく遅く・パラメータに敏感)。これは「手で調整した開ループの正弦波」の限界がそのまま出たもので、背の高い機体ほど、閉ループ(センサーで姿勢を見て補正する)や学習した制御が要るという、素直な結論です。ここも GPU 後の宿題に足しておきます。

3-9. 遊んでみたい人へ ― 動かし方(インストール・操作)

コードを OSS 公開しました 👉 GitHub: https://github.com/furuse-kazufumi/gaitlab-arena / PyPI: gaitlab(Apache-2.0)。実機のロボット本体は不要・GPU も不要、全部 CPU で動きます。

以下は「まっさらな状態から clone して実際に動くこと」を確認した手順です。動作確認環境: Python 3.11.3(対応 3.10〜3.12)/ mujoco 3.10 / Windows 11

# 1) コードを取得して依存ごとインストール(mujoco>=3.10 / numpy / imageio / pillow)
git clone https://github.com/furuse-kazufumi/gaitlab-arena
cd gaitlab-arena
pip install -e .

# 2) 実在ロボの 3D モデル集(MuJoCo Menagerie, Apache-2.0)を隣に置く
#    (cwd / ホーム / リポジトリの隣 を自動探索。別の場所なら MENAGERIE_DIR で指定)
git clone https://github.com/google-deepmind/mujoco_menagerie

動かす(Windows は描画に MUJOCO_GL=glfw を付ける):

# ロボット相撲(Go2 vs Go2)を GIF 化
MUJOCO_GL=glfw python scripts/sumo_match.py --a go2 --b go2 --out sumo.gif

# 産業用アームの生産ライン(4 機種)を GIF 化
MUJOCO_GL=glfw python scripts/production_line.py --arms franka ur5e iiwa14 kinova --out line.gif

# 全機種ロスター(集合写真)
MUJOCO_GL=glfw python scripts/robot_roster.py --out roster.gif

# 使える機体の一覧 / 描画なし(速い・結果だけ)
python scripts/sumo_match.py --list
python scripts/sumo_match.py --a go2 --b go2 --headless

操作方法(ロボット格闘ゲーム):自機をキーボードで操作して AI と対戦します(要ディスプレイ)。

python scripts/robot_fight.py --player go2 --ai go2
  • W / S = 前進 / 後退 ・ A / D = 左旋回 / 右旋回 ・ Space = しゃがみ ・ X = 停止 ・ R = リセット
  • ディスプレイなしで動作確認だけしたいときは --demo(台本操作で GIF 化):
    MUJOCO_GL=glfw python scripts/robot_fight.py --demo --out fight.gif

ライブラリとしても使えます(pip install gaitlabfrom gaitlab.arena import build_arena, MatchEngine ...)。「実機は高価で危険 → シミュなら只」なので、手元の PC だけで本物のロボが相撲を取り、産業用アームが並ぶのを、ぜひ触ってみてください。


4. LLM って混ぜられるの? ― 理論はシンプル、実験は正直つらい

さて本命の融合です。§1 で書いた「省メモリのために 2 モデルを 1 つにしたい」という動機。

4-1. まず理論(意外とスッキリしている)

融合は「どの基質(substrate)で混ぜるか」で成立条件が真っ二つに割れます:

  • 同じ土台(base)から派生した兄弟モデル同士なら、重みの足し算・平均でマージできます(Model Soups / Task Arithmetic arXiv:2212.04089 / TIES 2306.01708 / DARE 2311.03099)。
  • でも**「全く別」のモデル**(構造もトークナイザも違う)は、重みでは原理的に混ざりません。各モデルの重みは別々の座標系で意味を持っていて、マス目を重ねて平均しても意味をなさないからです(Git Re-Basin arXiv:2209.04836)。
  • 「全く別」を 1 つにできるのは、重みではなく振る舞いを真似させる蒸留だけ。

ちゃんと確かめるために、負のコントロールも取りました。全く別の base のモデル(Qwen 系)と混ぜようとすると、そもそも重みの形が一致せず(219 個のテンソルで shape 不一致)マージできません。理論どおり、座標系が違うと足し算にならない、という実証です。

理屈はここまで。問題は次。「同じ土台の兄弟なら混ざる」なら、混ぜ方を賢く探索すれば得するのでは? ── そう思って、§3 のロボ進化エンジンを一字も変えずに流用しました。歩き方の代わりに「マージのレシピ」を進化させる。名付けて QD-of-merges:

§3 の図と骨格が同じなのがミソです。評価関数を「歩いた距離」から「マージ後モデルの perplexity(次の単語をどれだけ当てられるか、低いほど良い)」に差し替えただけ。マージの中身は、SLERP(球面補間)・task vector(差分の足し算)・TIES(符号の多数決)・DARE(ランダムに間引いて薄める)といった定番の数式を、実際の重みテンソルに適用しています。

4-2. 実験:「勝った!」と思ったら偽陽性だった

同じ土台の兄弟(素の言語モデル ↔ 指示追従モデル)を、層ごとに違う強さで混ぜる配分を進化探索しました。素の文章は素のモデル、指示応答は指示版が得意というトレードオフがあるので、両立するマージを探す設定です。対抗馬は「全層を同じ係数 λ で混ぜる」素朴なマージ。下の図が結果です:

単一エキスパートのマージ結果。均一sweep(橙)の底が層別QD(赤星)より良い位置にある

最初、対抗馬を 7 点のグリッドで測ったときは:

  • 進化探索(層別)の最良: バランス指標 0.797
  • 素朴なマージ(7 点)の最良: 0.727

「進化が勝った! 層ごとに配分する自由度が効いた!」── 本気でそう思いました。しかも進化が見つけた配分は「前段の層は素のまま、後段の層に指示能力を入れる」という、いかにも意味ありげな非一様配分でした。

でも一拍おいて、対抗馬の 7 点、粗すぎない? と疑いました。上の図の橙の曲線(均一マージ)は、λ を上げると素の文章 perplexity が一度悪化してから急に良くなる、鋭い谷を持っています。7 点だと谷の底を跨いで見落とす。そこで 51 点に細かくして測り直すと:

  • 素朴なマージ(51 点)の最良: 0.838

進化探索(0.797)は、細かくした素朴なマージ(0.838)に負けました。 最初の「勝ち」は、比較相手が粗かっただけの偽陽性だったのです(図でも、橙の曲線の底=金の丸が、赤星より左下=良い位置にいます)。単一の差分を層別に混ぜる問題は、結局ほぼ 1 次元で、たった一つの均一な λ をちゃんと調整すれば足りた。

4-3. 「ちゃんとした」手法でも、素朴な足し算に負けた

「単一の差分が 1 次元だからでは。2 つのエキスパートを混ぜれば話が変わる」── そこで2 人目のエキスパートを自作しました。素の base を Python コードで軽く微調整して "コード担当" を作成(コードの perplexity が 10.2 → 5.2 に半減、ちゃんと専門化しました)。ダウンロードで済まさず自作したのは、再現性と制御のためです(どんな差分か自分で把握できる)。

指示担当 × コード担当を、衝突を賢く解消するという TIES で混ぜます。結果は、またしても正直つらいものでした:

多エキスパートのマージ結果。naive linear(黒×)が左下の最良点、TIES/QD(青・赤星)はそれに届かない

マージ手法 バランス指標
素朴な足し算(task arithmetic) 0.746 ← 勝者
TIES 均一 0.000
TIES 格子探索の最良 0.000(全滅)
QD で調整した TIES 0.662

図の黒い×(素朴な足し算)が左下=両立の最良点で、TIES や進化探索(青の点群・赤星)はそこに届いていません。

TIES は「意見が食い違う所は多数決で片方を採る」手法です。でも今回の 2 人は相補的でした。指示能力とコード能力は両方あってこそなので、多数決で片方を捨てる TIES が、かえって邪魔をした(実際、TIES で混ぜるとコードの perplexity が単体より悪化しました)。TIES は本当に衝突を解消したい時にしか効かない、という当たり前だけど大事な確認です。

というわけで、LLM のマージは 2 連続で honest null。凝った探索は、この設定(小さいモデル・相補的なエキスパート)では割に合いませんでした。手法が良く見える最大の理由は、しばしば「比較相手が弱いこと」です。

4-4. ところで、いま手元で動く小型 LLM って?(LLM 版・全機種紹介)

ロボットの全機種紹介(§3-8)をやったので、ついでに いま手元(ローカル)で動かせる代表的な小型 LLM も並べておきます。今回のマージ実験で使った SmolLM2 もこの仲間です。マージは §4-1 のとおり 「同じ土台(base)の兄弟」でしか成立しないので、base と instruct が揃うファミリー(SmolLM2 / Qwen3 など)がマージ実験向きです。

モデル 提供 パラメータ 最大コンテキスト* ライセンス ひとこと
SmolLM2 Hugging Face 135M / 360M / 1.7B 8K Apache-2.0 最小級。実験・プロトタイプ向き(本記事の実験で使用)
SmolLM3 Hugging Face 3B 64K(拡張で 128K) Apache-2.0 3B で健闘・多言語・推論つき
Qwen3 Alibaba 0.6B〜32B(小型は 0.6/1.7/4B) 32K(拡張で 128K〜) Apache-2.0 サイズ展開が豊富・商用可・全体的に強い
Llama 3.2 Meta 1B / 3B 128K Llama Community(要同意) Meta の小型・多言語
Gemma 3 Google 1B / 4B / 12B / 27B 32K(1B)/128K(4B〜) Gemma(要同意) 4B 以上はマルチモーダル・多言語
Phi-4-mini Microsoft 3.8B 128K MIT 小型ながら推論が強い
Mistral 7B Mistral AI 7B 32K Apache-2.0 フランス発の定番・商用可
TinyLlama コミュニティ 1.1B 2K Apache-2.0 超軽量・学習/実験の定番

* コンテキスト長は公称の目安です。正確な最新値は各モデルの Hugging Face モデルカードを参照してください。ライセンスは商用可否・再配布条件が異なり、特に Llama / Gemma は利用規約への同意が必要です(この「ライセンスの綺麗さ」も、ローカルで製品に使うなら地味に効いてきます)。

ざっくり言うと、1〜4B くらいなら、いまどきのノート PC でも量子化(Q4 など)で動く時代になっています。この小ささでコードや多言語までこなすのは、数年前の常識だと少し信じがたい進歩です。私(FullSense)の省メモリ路線も、この「小さくても賢い」波の上に乗っています。


5. でも「場所」を変えたら、あっさり効いた ― 性格ダイヤル

重みを混ぜる話が全部 null だったので、別の場所を触りました。重みではなく、推論中の**活性(activation、内部の信号)**です(ActAdd arXiv:2308.10248 / RepE 2310.01405)。

やり方はシンプルで、図にするとこうです:

これが、あっさり効きました。α を振ると、感情の出やすさ(ポジ語と ネガ語の出やすさの差)がきれいに単調に動きます。しかもフックを外すと、値が厳密に元へ戻る(差ゼロ=完全に可逆。重みは一切変えていません):

persona ダイヤルの α スイープ。感情・形式度が α に沿って単調に動く

さらに、これは複数の軸を合成できます。「感情」と「口調(形式的 ↔ くだけた)」を別々のダイヤルとして作り、同時に回すと:

設定 感情の出やすさ 形式度
ぜんぶ 0 +2.8 −3.0
感情 + +5.3 −3.0(ほぼ不変)
形式度 + +2.8(ほぼ不変) +5.1
ポジ + 形式的(合成) +4.4 +6.1
ポジ + くだけた(合成) +3.1 −7.4

各ダイヤルは主に自分の軸だけを動かし(cross-talk が小さい)、混ぜても加算的に効きます。 生成にも register が出ます(ポジ+くだけた → "going to be so awesome. I love it" / 形式的 → "Mr." 調)。まさに「性格ダイヤル」。

正直な限界もあって、今回のモデルは 1.35 億パラメータと小さいので、ダイヤルを回しすぎると文が壊れます(過剰操舵)。それでも、可逆で再訓練いらずというのは扱いやすい。ゆくゆくは自作の対話ツールに載せて、その場で性格を回せるようにしたいと思っています。


6. なぜ「重みは負けたのに活性は勝った」のか

一段だけ考察を。重み空間のマージ(§4)は 2 連敗、活性空間の操舵(§5)は快勝。この差はどこから来たか。

  • 重みマージは、2 つのモデルの学習成果を恒久的に 1 セットの重みへ畳み込む作業です。畳んだら分離できないし、相補的な更新が衝突すれば、どちらかを諦めるしかない。しかも「同じ土台の兄弟」という強い前提が要る。
  • 活性ステアリングは、モデルはそのままに、推論のたびに一時的に方向を足すだけ。畳み込まないので可逆で、base にも依存しない。「性格を変える」程度の軽い介入には、こちらの基質のほうが素直に効く。

要するに、やりたいことの"重さ"に基質を合わせる話でした。能力そのものを恒久合成したいなら蒸留(学習)、既存の振る舞いを可逆に調整したいなら活性操舵、という住み分けです。省メモリの観点でも、活性操舵は追加の重みを持たないぶん相性が良い。


7. エンジニアリングの舞台裏 ― CPU で殴るための現実

「CPU でやった」と一言で書きましたが、実際は地味な戦いでした。スキルの話でもあるので、恥ずかしい失敗込みで残します。

  • 静かにモデルを壊すバグ: マージ実装で、tensor.to(float32) が(元が float32 のとき)コピーを作らずに元テンソルを参照していて、別モデルを読み込んだ瞬間に土台の重みが上書き破壊されていました。症状は「係数 0(=素のモデルのはず)なのに指示版の値が出る」。.clone() を入れて解決。"何もしていないはずの設定"が変な値を返したら、まず参照の共有を疑う、という教訓。
  • 進捗が見えない罠: バックグラウンド実行の出力を grep パイプに通していたら、パイプが出力を丸ごとバッファリングして、ログが空に見えました。「プロセスが死んだ」と誤診して何度か無駄に殺しました。真因はただのバッファ。
  • 1 評価 17 秒 → 8 秒: マージ評価が重く、当初 1 回 17 秒。プロファイルすると、巨大な埋め込み行列への処理と、内部で float64 に昇格していたのが主犯でした。float64 をやめ、毎回巨大な辞書を作らず**モデルのパラメータへ直接書き込む(in-place)**ように変えて、約半分に短縮。
  • 落ちる環境と 10 分の壁: この環境ではバックグラウンドの長時間ジョブが落ちやすく、前景ジョブには実質 10 分の上限がありました。so、実験の予算(評価回数)を上限に収まるよう刻むという、泥臭い調整をしています。
  • 再現性の規律: それでも結果を信じられるように、乱数 seed は固定(同じ入力なら 2 回とも同じ数字)、マージ数式は numpy 実装と PyTorch 実装で数値一致をテスト、"コード担当"も自作パイプラインで作り直せるようにしました。テストは 26 件が緑です。

派手さはありませんが、「CPU で殴る」は、速さの工夫と正直な検証の両輪だと改めて思いました。


8.【追記】GPU を待ちながら、今度は「脳のシナプス」を CPU で動かした ― spikelab

GPU 機の納品がまだ続いているので、待ち時間にもう一つ弾を込めました。今度は 脳のニューロンとシナプスそのものを CPU でシミュレーションする土台 です。名前は、身体側のサンドボックス gaitlab(§3 のロボットたち)に対する「神経側」という意味で spikelab としました。

なぜ今これなのか。省メモリな小型 LLM を追ううちに、「そもそも脳は、なぜあんなに少ないエネルギーで学習できるのか」が気になってきたからです。脳のニューロンは Transformer のような連続値ではなく、「発火する / しない」の 0/1 のパルス(スパイク) で情報をやり取りします。これを模したのが スパイキングニューラルネット(SNN / Spiking Neural Network) で、イベント駆動で省電力なことから「次の AI ハードの本命」とも言われます。GPU が来る前でも、土台なら CPU で十分作れます。

立場の開示: これは研究成果ではなく「土台(foundation)」です。すべて CPU・小規模・単一 seed。以下の図はすべて実際の spikelab の出力で、モックではありません。

8-1. まず「ニューロン 1 個」 ― 溜めて、撃って、休む

いちばん基本の LIF(Leaky Integrate-and-Fire, 漏れあり積分発火) ニューロンです。入力が来ると膜電位が上がり(積分)、放っておくと少しずつ漏れて下がり(Leaky)、閾値を超えた瞬間に発火(スパイク)してリセット、しばらく不応期で休む。動きはこの 4 つだけ。

LIF ニューロンの膜電位: 溜めて撃ってリセット

上がってはストンと落ちる、あの「ノコギリ波」。点線が閾値です。生き物の神経細胞の教科書に必ず出てくるあの波形が、数十行のコードで CPU の上に現れます。

8-2. たくさん繋ぐと「発火の波」が見える

40 個の入力ニューロンにバラバラのノイズ電流を与え、シナプス(重み + 伝達遅延)で 30 個の出力ニューロンに繋ぐと、こうなります。

発火ラスタ: 入力層がノイズで発火し出力層を駆動

神経科学で必ず出てくる ラスタプロット(横=時間、縦=ニューロン番号、点=1 発火)。青が入力層、緑が出力層です。シナプスには伝達遅延があるので、出力層は入力層より少し遅れて光り始めます ── 「信号が伝わっている」のが目で見えます。

8-3. シナプスは「学ぶ」 ― STDP(いつ撃ったかで結びつきが変わる)

ここからが本題のシナプス可塑性です。「一緒に発火する細胞は結びつく」(ヘブ則)の時間版STDP(Spike-Timing-Dependent Plasticity)。前のニューロンが「先に」発火し、後のニューロンが「後で」発火したら(=因果の順)、その結合を強める(増強 / LTP)。逆順なら弱める(抑圧 / LTD)

STDP 学習窓: 前→後で増強・後→前で抑圧の非対称窓

緑(前→後)で重みが増え、赤(後→前)で減り、時間差が開くほど効果が薄れる ── この非対称な曲線は、生物の実験(Bi & Poo, 1998)で実際に観測された形とそっくりです。この窓が出た瞬間に「土台は正しく動いている」と確信できました。

8-4. 「その場の」可塑性 ― 疲れと元気(短期可塑性)

STDP が数十分オーダーの「記憶」だとすると、シナプスにはもっと速い、数十〜数百ミリ秒の効率変化もあります。連続で使うと疲れて弱る(depression) シナプスと、逆に温まって強まる(facilitation) シナプス。Tsodyks–Markram モデルで実装しました。

短期可塑性: 同じシナプスでも depressing と facilitating で逆に動く

まったく同じ発火列を流しても、赤(depressing)は使うほど下がり、緑(facilitating)は使うほど上がる。脳は「同じ配線」に、この速い可塑性で文脈依存の意味を持たせています。

8-5. スパイクは微分できない ― でも学習させる裏技(サロゲート勾配)

SNN 最大の壁は、スパイク(階段関数)が微分できないことです。勾配がゼロなので、そのままでは誤差逆伝播(バックプロパゲーション)で学習できません。そこで使うのが サロゲート勾配(surrogate gradient)

サロゲート勾配: 前向きは階段・後ろ向きだけなめらか

アイデアは大胆で、前向きは階段のまま(実際に発火させる)、後ろ向き(勾配)だけ「なめらかな坂」に差し替える。この一手で SNN が勾配学習できるようになります。実際に「2 種類の入力パターンを撃ち分ける」玩具課題を CPU で学習させると、損失はちゃんと下がりました。

サロゲート勾配 SNN の学習曲線: CPU で損失が下がる

しかも通時逆伝播(BPTT)は自分で手実装したので、「なめらかモード」では 数値微分と解析勾配がピタリ一致することをテストで確認済みです(=連鎖律にバグがない証拠。異常に良い結果を疑う、いつもの honest disclosure の作法です)。

8-6. なぜわざわざ CPU で、そして GPU が来たら

全部 numpy のベクトル演算で書き、配列に触る場所を 1 箇所(xp)に集約してあります。だから GPU が来たら use_backend("cupy") の 1 行で、同じコードがそのまま GPU で走る設計です。

正直に言えば、ここで作ったのは「動く最小構成」で、まだ小さな玩具課題しか解いていません。派手な精度も、まだありません。でも ── ニューロン・シナプス・可塑性・学習という「脳の学習の四点セット」が、CPU 上で全部つながって動くところまでは来ました(テストは 32 本、全部緑)。

身体側の gaitlab と神経側の spikelab が揃ったので、いつか 「進化で身体を作り、スパイクの脳で動かす」 を同じ家の中でやってみたい ── というのが、この待ち時間のひそかな伏線です。GPU が来たら、まずこの脳を大きくします。


9. 最近の project update ── onocollo / llcore

本編 3 本とは別に、最近の枝でも同じ honest disclosure の作法が効いていました。ここでは onocollollcore第 4 点の project update としてまとめます。どちらも「今回この場で再実行した新実験」ではなく、既取得ログや別 worktree の正本を、本 repo 側の反映物と照合して整理した updateです。

9-1. ロケット着陸 toy ── nominal では小勝ち、wind held-out では PID が堅い

最近の onocollo では、宇宙ゴミ捕捉だけでなく ロケット垂直着陸 toy も同じ MuJoCo 土台に載せました。比較の土俵は regime で分かれます。nominal 条件の baseline は tuned PD で、そこへ学習残差を足すと 小さな上積み は出ます。いっぽう persistent wind を入れた hard 条件では、state を持つ tuned PID を baseline に置くと、学習側は訓練で伸びても held-out では PID より堅くならない。ここでも「学習を足したら自動的に勝つ」は成り立ちませんでした。

個人的に重要だったのは、ロケットでも宇宙ゴミでも結論が同じだったことです。まず強い baseline を置き、次に held-out 条件で勝ちを取り消せるかを見る。 CPU 期にやっているのは派手な学習ではなく、この評価器づくりと falsification の地ならしです。

このロケット着陸の 読者が辿れる固定参照としては、FullSense 側の onocollo 草稿 §7.6 と、同じ repo の 進捗正本 docs/next_plan.md に要約があります。実装・生ログ・数値の canonical source 自体は repo 外で管理しているため、この場では 公開読者が到達できる repo-fixed reference を置いたうえで、第 4 点の update として要約しています。

9-2. 「勝ち」を撤回した話も、CPU 期の重要な成果だった ― llcore の honest null

もう一つ、最近の CPU 期で大きかったのは、「いけたかもしれない」を自分で取り消したことです。

別枝の llcore では、凍結した定数状態 LLM から test-time の反復 read で長文脈 recall を取り戻せないか、という小さな PoC を回していました。最初の数字だけ見ると、たしかに少し良さそうでした。ところが、比較の仕方を clean にし直すと話が変わりました。

  • 最初は gain が +0.018〜0.026 くらいあり、「これは GO かも」と見えた。
  • でも MQAR の value 重複を外した binding-clean な評価へ直すと、gain は +0.005 まで縮み、一意 value のケースではむしろ負けた。
  • さらに機構を分解すると、やっていたことは「新しい sparse cleanup」ではなく、degree-2 spectral read でほぼ説明できた。

この数字の根拠は、読者が辿れる固定参照としての 検証メモ研究索引 に要約されています。実験ログと最終 verdict の canonical source 自体は repo 外だが、この場では 公開読者が辿れる repo-fixed reference を先に置いています。

要するに、結果が消えたのです。結論は正直に NOT GO。GPU で大きく回す前に止めました。

個人的には、これは失敗というより CPU 期にしかできない価値ある仕事 だったと思っています。GPU が来てから大きく回していたら、間違った勝ち筋に時間を突っ込んでいたかもしれないからです。軽い環境で「勝ちに見えるものを疑い、内訳を割り、先に潰す」。この作法自体が、この記事全体のテーマそのものでもあります。

しかも、この null は完全な空振りではありませんでした。llcore 側では次の主戦場がよりはっきりして、いまは 「read 側の小細工」ではなく、定数状態の制約下で本当に層別探索が効くのかを holdout で測る方向、つまり NAS-allele + proxy_v2 holdout の路線へ戻っています。派手ではないですが、次の一手が強くなった null でした。


10. おわりに ― GPU が来たら本気を出す

まとめると、GPU 待ちの CPU 期間にやった主な 4 点は:

  • 歩行進化: 親の選び方で質は上がるが多様性は減る、という条件付き相乗(自己修正込み)。同じエンジンが泳ぎや形態融合にも一般化。
  • LLM マージ: 進化エンジンの流用は動いたが、賢い探索は素朴なベースラインに 2 連敗(偽陽性の発見つき)。
  • 性格ダイヤル: 重みではなく活性を触ると、可逆・再訓練なしで人格を回せた。
  • 最近の project update(第 4 点): llcore では一度は GO に見えた read-side PoC も、評価を clean にしたら NOT GO だった。GPU で拡大する前に、勝ち筋でないと分かったonocollo 側では、Menagerie の四足(Go2 等)や**同じ土台の産業用アーム(Franka/UR5e/KUKA/Kinova)**で、生産ラインの開ループ作業から pick-and-place・複数箱の整列・積み重ね(パレタイジング)・色仕分けまでを動かした(§3-6/§3-7/§3-7.5)。さらに最近は ロケット垂直着陸 toy も足し、そこでも nominal では PD の上に少し乗るが、wind を入れた held-out では PID baseline が堅いという、同じ honest disclosure の教訓が出ました。四足もアームも着陸体も同じエンジンの上 = 後段で AI 制御に差し替えられる。本当にやりたいのは、生産ラインのロボを AI で動かすこと

第 4 点をもう少しだけ具体化すると、onocollo のロケット着陸 toy では nominal では learned residual が少し勝つのに、wind を入れた held-out では PID の方が堅いという分かれ方をしました。これは「学習は常に手設計を越える」という物語より、regime を分けて測らないと見かけの勝ちに騙されるという教訓の方が本質だった、という意味です。

派手な成果はありませんが、「どこで負けたか」の地図はだいぶ埋まりました。個人的には、これがいちばんの収穫だと思っています。異常に良い結果が出たら、勝った気になる前にまず比較相手を疑う ── これは GPU があってもなくても効く教訓でした。

もう一つ、最近の project 全体で見ると、待ち時間の work は単なる暇つぶしではありませんでした。§3 の gaitlab は身体と物理、§8 の spikelab はニューロンとシナプス、§9 の onocollo / llcore は世界モデルと制御 toy、そして「LLM 本体側で、何を捨てて何を残すか」の判断を進めています。つまり FullSense は今、身体 / 神経 / 世界モデル / LLM 本体を別々に小さく通し、あとで GPU 上で束ねる段階に入っています。

この意味で、この記事の honest な結論は「CPU では大したことはできない」ではなく、CPU 期にも project の背骨はかなり前に進められるです。重い学習は GPU 後でも、環境・評価器・身体・把持パイプライン・可塑性の最小実装・世界モデルの器は先に作れる。もっとも、ここで言う把持パイプラインは 幾何 IK と既存ログ整理で先に通した toy スケールの土台であり、onocollo 側の disclosure と同様、今回この場での再実行ではなく、実摩擦把持を含む既取得結果を慎重に整理している段階です。最近の Qiita 草稿群も、この「器を先に通す」路線で続いています。

やりたいこと(GPU が届いたら / 環境づくりは今のうちに)

いま頭にある「やってみたいこと」も、宣言だけしておきます(半分は自分への TODO):

  • もっといろんな身体: §3-5 で尺取り虫と多脚の簡単なやつは作れたので、次は脚の関節を増やした昆虫型や、節をもっと増やした長い這うやつへ。身体定義(MJCF)を書くのは CPU でも今できます。
  • 坂・階段・不整地の踏破: §3-4 のとおり環境は作りました。上る歩容の本格的な学習は GPU 後
  • 手の動きから物のつかみ方を学ぶ: Web カメラで手をトラッキング → その動きを教師に、ROS 上でロボットアームの把持を学習させる。私自身の双腕ロボット校正の経験とも繋がる話で、CPU 期はデータ取り・ワークスペース整備まで。
  • 表情のミラーリング: Web カメラで人間の表情を読み、ROS 上のロボットの顔に動きを再現する、というのも面白そう。これも入力(顔ランドマーク)の取り込みは CPU で準備できます。
  • ロボット相撲を「遊べる」形に(→ 公開しました): §3-9 のとおり GitHub / PyPI gaitlab で OSS 公開済み。clone すれば手元で遊べます。次は機体選択 UI・2 人対戦・ゆくゆくはブラウザ版。強い対戦 AI は GPU 後ですが、遊ぶだけなら CPU で今できるので。
  • 本命 ― 生産ラインのアームを AI で: §3-7.5 のとおり「目標姿勢への到達 → pick-and-place → 複数箱の整列 → 積み重ね」までは幾何 IK で到達済み。残るは、この土管を学習した方策 / タスク計画に差し替える部分(GPU 後)。たとえば「カメラで箱の色を見て仕分ける」ように知覚を挟むのが、AI 化の入口になります。実機は高価で危険 → まずはシミュで。これが FullSense のフィジカル AI の本丸です。

要するに、**「重い学習は GPU、環境と足場づくり・身体づくりは CPU」**という役割分担で、待ち時間を埋めている感じです。

GPU が届いたら、歩行進化を数千環境の並列(GPU シミュレータ)にしたり、まともな蒸留を回したりする予定です。その話はまた別途。ここまで、待ち時間の小ネタにお付き合いいただきありがとうございました。

使った主な手法(一次情報): MAP-Elites (arXiv:1504.04909) / lexicase 選択 / Task Arithmetic (2212.04089) / TIES (2306.01708) / DARE (2311.03099) / Git Re-Basin (2209.04836) / ActAdd (2308.10248) / RepE (2310.01405)。実験は全て CPU・小型モデル(1.35 億パラメータ)・単一 seed の範囲の話で、大きいモデルでは別の結末があり得ます。図・アニメ・グラフは自作の実験結果です。

1
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?