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新卒エンジニアとして一年間働いて思ったこと

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Last updated at Posted at 2026-04-04

2025年4月、都心の雑踏に飲み込まれながら始まった僕のエンジニア人生も、気づけば一年という大きな区切りを迎えた。学生という「守られる立場」から、社会の基盤を支える「インフラを守る立場」としての戦場へ。この12ヶ月間は、画面の向こう側のパケットを追う時間と、自分自身の輪郭を捉え直す時間の連続だったように思う。

1. 「ゼロ」を「イチ」にするまでの静かな格闘
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インフラエンジニアの仕事は、どこまでもストイックで、どこまでも静かだ。
僕の主戦場は運用保守ではなく、設計・構築という「上流工程」にある。派手なUIがユーザーの目を惹きつける裏側で、僕たちは「止まらないのが当たり前」という過酷な前提を、ゼロから組み上げていく。当初は、華々しい最新技術やクラウドの魔法のような機能への憧れもあった。しかし、実務を通じて突きつけられたのは、ネットワークの挙動や設定の整合性を一つひとつ紐解いていく、泥臭くも精緻な論理の世界だった。

構築フェーズにおける「検証」は、まさに自分との戦いだ。
本番環境を想定した構成で、予期せぬエラーにぶち当たる。原因を突き止めるためにログを漁り、仮説を立て、一文字の設定変更に命運を懸ける。気づけば時計の針が23時を回っていることもあった。しかし、その苦労の末にシステムが意図通りに動き出した瞬間、震えるような達成感がある。
「見えない場所で、誰かの日常を支える強固な土台を築いている」という感覚。これこそが、僕がこの一年で手に入れた、何物にも代えがたいエンジニアとしての矜持である。

2. 理想と現実、そして「裏側」を読み解く力
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一年目の仕事は、華やかな設計や構築ばかりではなかった。むしろ、その多くはExcelと向き合い、緻密な設計書を作成することや、お客様との会議で一言一句を美しいフォーマットの議事録へと昇華させることに費やされた。

当初は「これがエンジニアの仕事なのか」と戸惑うこともあった。しかし、途中から既存案件へのアサインが重なり、その認識は一変した。与えられた役割を果たすためには、まず山のような既存ドキュメントを読み込まなければならない。この案件の目的は何か、なぜこの構成になったのか。過去のエンジニアたちが残した「痕跡」を辿る作業は、さながら歴史的な古文書を解読する探偵のようでもあった。

実際の作業フェーズに入れば、さらに泥臭い「検証」が待っている。
お客様先の環境を再現するための検証環境を組み上げ、スクリプトを作成しては実行し、挙動を一つひとつ確認する。単体テストや結合テストでは、GUI画面を何度もスクリーンショットし、エビデンスとして整理・リネームしていく。一見すると単純作業に思えるこの工程こそが、システムの信頼性を担保する最後の砦だ。

この一年で触れてきた技術スタックは多岐にわたる。
エンドポイントセキュリティの導入や、IT資産管理システムの刷新。ネットワーク監視ツールの設定から、仮想化基盤の運用、さらにはクラウドストレージの展開まで。ディレクトリサービスやDNS、社内のファイルサーバー管理(ファイルスクリーンやクォータ設定)といった、組織の屋台骨となる部分にも深く関わった。拠点を繋ぐルーターやファイアウォールの設定変更など、物理と論理が交差する案件に携わる中で、一見バラバラに見えていた技術たちが、自分の中で一つの「インフラ」として繋がり始めた感覚がある。

3. 二年目への展望:技術の先にある「価値」を見据えて
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これまでは、目の前のタスクを完遂することに必死だった。しかし二年目は、視座をもう一段高く持ちたいと考えている。具体的には、設計の裏にある「意図」だけでなく、その背景にある「コストと選定理由」を貪欲に吸収していきたい。導入されるハードウェアやソフトウェアのリストを眺め、「なぜこの製品なのか」「なぜこの個数なのか」というお金の視点を取り入れること。それは、お客様のビジネスそのものを理解することに他ならない。

正直なところ、実務におけるクラウドの経験値はまだ皆無に等しい。しかし、実務で触れられないからといって立ち止まるつもりはない。個人開発での試行錯誤、外部コミュニティへの参加、そしてハンズオンを通じた泥臭い学習など、個人レベルでも「できること」は無限に広がっている。現場の外でもアクティブに手を動かし続けることで、実戦に裏打ちされた知見を自ら掴み取りにいきたい。

目指すのは、単なる「ベストプラクティス」の押し売りではない。お客様の予算や固有の事情に徹底的に寄り添い、最適解としての「ベタープラクティス」を提案・構築できるAWSエンジニアだ。コスト最適化までを見据えたトータルなソリューションを提供できるよう、この一年で、技術とビジネスの交差点に立つための最初の一歩を刻んでいく

二年目に入る。未熟な部分は数え上げればキリがない。けれど、一年前に感じていた「漠然とした不安」は、今は「具体的な課題」へと姿を変えている。次はどんな設計図を描き、どんな堅牢なシステムを構築できるだろうか。東京の中心の喧騒は相変わらずだが、それを見下ろす僕の視界は、一年前より少しだけクリアになっている。

4. これからエンジニアになる方へ
この一年で感じた、明日から使える(かもしれない)教訓をいくつか残しておきます。

・「なぜ?」を放置しない: Excelの1セル、スクリプトの1行に込められた意図を理解する癖が、後で自分を助けてくれる。

・ドキュメントはラブレター: 未来の自分、あるいは数年後にその案件を担当する誰かが困らないよう、丁寧な「痕跡」を残すこと。

・「理解」に贅沢に時間を使う: 効率やスピードを求められる世界だが、新人のうちは一つの事象を徹底的に深掘りしていい。その「溜め」の時間が、後にどんな現場でも通用する「技術の勘」へと変わる。

・「基礎筋力」を落とさない: 資格取得や学習は、実務という重圧に耐えるためのトレーニング。裏切らない

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