前回のあらすじ
前編 では、標準機能である「NetSuite電子取引データ保存」のみを使用して、電子帳簿保存法(電帳法)に対応できることをご紹介いたしました。
続編の第一弾である本稿では、NetSuiteの強みである柔軟性を活用して、電子取引データ(ETD: Electronic Transation Data)の登録を自動化する方法を、見積作成のシナリオを使用して、ご紹介いたします。
今回のデモ内容
見積をNetSuiteで作成し、「保存」ボタンを押す。
- 自動生成された見積書PDFが、電子取引データ(ETD)用のファイルキャビネットに保存される
- 電子取引データ(ETD)レコードが自動作成される(取引日・金額・取引先も自動入力)
- 見積トランザクションと、PDFファイルを含む電子取引データ(ETD)が、自動的にリンクされる
デモのシナリオ
- 見積を作成し「保存」ボタンをクリック
- PDFファイルの手動アップロードや手入力は不要
サンプルスクリプト
- ue_auto_attach_etd.js: 見積の保存時(afterSubmit)にPDFを自動生成し、ETDレコード作成処理を呼び出す
- helper_etd.js: ETDレコード作成およびファイルリンクを行うヘルパー
デモのスクリーンショット
【Step 1】見積を新規作成(保存前)
【Step 2】見積を保存
・保存した直後、自動でETDレコードが作成され「Electronic Transaction Data」サブタブに追加されました。
・見積書PDFファイルも、ETD用のファイルキャビネットに自動的に保存されました。
・ETDレコードを開くと、ドキュメント名、取引日、金額、取引先がすべて自動で入力済みなことが確認できました。
スクリプトの解説
- PDFファイルの、ETD用のファイルキャビネットへの生成(ue_auto_attach_etd.js): NetSuite標準関数 render.transaction() を利用してPDFを生成します。
- ETDレコード作成(helper_etd.js): ETDカスタムレコードを作成し、トランザクション情報(取引日・金額・取引先)を自動で登録します。
- PDFファイルとETDレコードをリンク(record.attach()関数): 生成したPDFファイルとETDレコードをリンクして、法令で求められる検索性を確保します。
※あくまで参考のためのサンプルであり、動作保証はありません。
次回以降でご紹介する自動化案
- メール受信で自動登録: 仕入先請求書メールを受信後、添付されたPDFをETDとして自動登録(OCR機能は3rdパーティーソリューションを使用する可能性大)
- Drag&Drop自動連携: ETD用のフォルダにドラッグ&ドロップしたPDFを自動でETD登録
- 未添付アラート: ETDファイルやレコードを作成漏れのトランザクションを、週次で検知し担当者に通知
NetSuiteの柔軟性
話題の生成AIから、地味だけどクリティカルな法令対応まで、NetSuiteはアイディアを直ぐに形にできてしまう、稀有なERPと言えます。ユーザー企業様に眠っているアイディアの宝庫を、ザクザク発掘できてしまうかもしれません。そのお宝さがしの「地図のカケラ」にでもなりましたら、幸いです。
【前編】NetSuiteの電子帳簿保存法対応 - 標準機能でカバーできること
© 2025 Takusuke Fujii
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