※本内容は、NetSuite 日本語コミュニティにて2025年3月10日に公開した資料 NetSuite 2025.1 リリース内容のご紹介_20250310 (Japan Localization追加).pdf」をもとにしています。その解説動画も NetSuite日本語コミュニティのリリース2025.1主要なアップデート にてぜひご確認下さい。なお、Qiitaの記事にて、コミュニティのアカウントをお持ちの無い方でも動画を視聴頂けますが、ぜひコミュニティのアカウントを作成下さい。
※3月11日追記: 日本固有機能 (SuiteApp)に関する解説動画を、本記事に追加致しました。
はじめに
NetSuiteでは、日本国内のビジネスに対応するために「日本向けローカライゼーション(Japan Localization)」という追加機能(SuiteApp)を提供しています。2025年3月18日に、サンドボックスおよびプレビュー環境へ、4月8日に本番環境へ、日本向けローカライゼーションSuiteAppバージョン25.00.0がリリースされる予定でして、いくつか新しい機能や変更点が加わります。
本記事では、「締め請求書の削除」に関わる機能強化をご紹介します。
A. 今回のリリースのポイント
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売掛金調整トランザクションを「戻入」で対応できるように
締め請求書の削除時、それに紐付いている売掛金調整トランザクションを「削除」するのではなく、「戻入処理(反対仕訳の自動作成)」で取り消せるようになりました。今後は転記済仕訳(売掛金調整トランザクション)の物理削除を避け、反対仕訳による戻入処理(取消処理)をすることで、電子帳簿保存法の「優良な電子帳簿」の要件にも対応します。 -
管理画面に新たなチェックボックス「売掛金調整の戻入」を追加
OneWorld環境では「子会社レコード」、OneWorldでない環境では「会社情報ページ」の日本向けローカライゼーション・サブタブにチェックボックスが追加されています。これを有効にすると、締め請求書を削除する際に自動で戻入処理が実行されます。 -
「削除理由」の入力に対応
お客様の選択によっては締め請求書の削除ボタンを押すと、理由を選択・入力する画面が表示されます。理由をきちんと記録することで、後々の監査にも役立ちます。
B. 具体的な新機能の操作の流れ
2.1 締め請求書削除時の戻入処理
- 締め請求書を削除
編集画面で「削除」ボタンを押します。 - 削除理由を入力(有効にしている場合)
「削除理由を使用」設定がオンの場合は、削除理由画面が表示されます。 - 自動で反対仕訳(戻入)を作成
削除と同時に、売掛金調整の反対トランザクションが自動で作成されます。元の売掛金調整を物理的に消すのではなく、“打ち消す形”で取り消しするので、仕訳の履歴がしっかり残ります。 - 締め請求書は完全に削除
戻入処理と同時に、もとの締め請求書自体のレコードは削除されます。
2.2 「売掛金調整の戻入」の使用可否の設定
• 管理者ロールのみ設定可
チェックボックスのオン/オフは、アカウントに対して管理権限を持つ担当者のみ操作できます。
• デフォルトはオフ
何も変更しなければ従来通り、売掛金調整トランザクションは削除されます。本新機能を使いたい場合は、チェックを入れて下さい。
C. この機能を使用するメリット
• 監査証跡の確保
売掛金調整の仕訳そのものを削除せず、対になる仕訳を発生させることで履歴(監査証跡)を保ちやすくなります。この機能を有効にした場合、締め請求書の削除後、従来の「売掛金調整トランザクション」を開くと、そこに反対仕訳として自動生成されたトランザクションが紐付けられています。監査証跡として明細が残る形になります。
D. ご注意頂きたいポイント
- チェックボックスの設定
この機能を使用頂く場合は、「売掛金調整の戻入」を有効にする必要があります。 - 保存検索の活用(任意)
「税金コード別売上」レポートに、売掛金調整カスタムトランザクションで計上される仮受消費税や消費税額を表示させる必要がある場合は、保存検索を使用して、調整金額を検索・集計します。
「税金コード別売上」レポートに、上記保存検索で集計した税額を反映するためには、適切なタイミング(月次・年次など)での仕訳帳の作成が必要です。
この作業により、消費税申告書に必要となる消費税率ごとの売上金額と消費税額が「税金コード別売上」レポートで表示できるようになります。
以上が、「日本向けローカライゼーションSuiteAppバージョン25.00.0」の新機能である、「売掛金調整トランザクションの戻入対応」の概要です。ご活用いただけますと幸いです。