はじめに
OpenAI DevDay 2025 が 10/7(日本時間)に開催されました。
様々な発表がある中で、AIエージェント向けのツール統合プラットフォーム「Agent Kit」が発表されました。
Agent Kit は主に4つのツールで構成されており、その中でも AI エージェントのプロセスをノーコード / ローコードで開発できる「Agent Builder」が面白そうだったので、実際に試してみようと思います。
注意点
本記事は、Agent Builder の紹介として公開されている YouTube 動画の内容を、より日本語に即した形で実践したものです。
また、記事の途中で登場する Widget の生成プロンプトは、下記の記事を参考にしております。
参考記事
目次
- 事前準備
- API Token のクレジット購入
- 組織の認証を行う
- ワークフローの作成
- ワークフロー画面へ遷移
- ユーザー入力を解析して分岐させる
- フライトエージェントの追加
- 滞在プランエージェントの追加
- 実行とUIのカスタマイズ
- おまけ(その他のノード)
- Note ノード
- Guardrails ノード
- MCP ノード
- まとめ
事前準備
ワークフローを作成する前に、いくつかの準備が必要になります。
API Token のクレジット購入
まず、OpenAI Platform に任意のアカウントでログインをします。
「そのまま Agent Builder でワークフロー作成!」といきたいところですが、支払い用のクレジットカードの情報を登録が必要です。
また、ワークフロー内でモデルが使用する API トークンのクレジット購入が必要になります。
課金は、従量課金制となりますので、各モデルの API トークンごとの料金を確認しておくことをおすすめします。
クレジットは購入した範囲内で消費されますが、自動チャージ機能をオンにすると、組織に許可された範囲で自動的に課金が進むため、オフにしておくことをおすすめします。
正常に課金ができると下記のような画面になると思います。
また、消費した API トークン数などの情報は、下記のページで確認できます。
組織の認証を行う
詳しくは後述するのですが、ワークフローをすぐ Agent Builder 内でプレビュー実行する機能があるのですが、実行には組織の認証が必要です。
認証はプレビュー実行時に完了させることも可能です。
以下のページの「Verifications」セクションの指示に沿って、認証してください。
認証されると下記のような UI になります。
ワークフローの作成
それでは、実際にワークフローを作成していきます。
冒頭でもお伝えしたように、以下の Agent Builder のイントロとして公開されている Youtube 動画の内容を参考に日本語で試していきます。
元の情報を確認したい場合は、以下の YouTube 動画をご覧ください。
ワークフロー画面へ遷移
以下のリンクからワークフローの一覧ページに移動し、「Create」から新規ワークフローを作成してください。
そうすると、下記のような画面が表示されると思います。
ユーザー入力の解析と分岐
一番左にある「Startノード」は、ユーザーからの入力値を受け取る入り口になります。
今回は入力値を受け取る役割として使用しますが、変数設定も可能です。
その隣にある「MyAgent」がエージェントノードです。
このノードでは、ユーザー入力を「滞在プラン」に関するものか「フライト」に関するものかを判別するエージェントを設定します。
- Name
- 分類エージェント
- Instructions
- あなたは、メッセージが滞在プランに関するものかフライトに関するものかを判断するのに役立つ旅行アシスタントです。
- Model
- gpt-5-nano
今回の用途では、ユーザー入力で複雑かつ膨大な量が与えられる想定ではないため、gpt-5 シリーズの中で最もコストが安価な「gpt-5-nano」を使用します。
判断結果に応じて分岐させるため、Output format を JSON 形式にします。
次に、「Add Schema」をクリックし、「フライト情報」と「滞在プラン」の2つのオプションを追加します。
- Name
- response_schema
- Propertites Name
- classification
- Propertites type
- ENUM
- Property
- flight_info, stay_plan
続いて、「if/else ノード」を追加します。
これは、先ほどの分類エージェントの出力に応じてワークフローを分岐させるノードです。
条件入力時に表示される画像赤枠部分をクリックすると、分類エージェントの JSON 出力にアクセスするためのドット記法が自動入力されます。
「flight_info」だった場合の条件分岐を追加します。
- condition
- input.output_parsed.classification == "flight_info"
これにより、ユーザーの入力が分類エージェントによって「フライト情報」か「滞在プラン」のどちらであるかを判断し、それに応じた条件分岐が設定されます(フライト情報でなければ、滞在プランへ分岐)。
ここからは、それぞれの分岐に応じて、ユーザーへ結果を出力するためのエージェントを追加していきます。
フライトエージェント の追加
「if/else ノード」から「Agent」を追加します。
これをフライトエージェントとし、ユーザーの入力に応じてフライト情報を出力するように設定します。
- Name
- フライトエージェント
- Instructions
- あなたは旅行アシスタントです。常に特定のフライト情報をおすすめします。空港コードを使用してください。
また、最新のフライト情報を入手できるように Web 検索のアクセスを許可するようにします。
「Tools」から「WebSearch」を選択します。
今回は、国内旅行に特化した内容としたいので、「User's location」を「Japan」に選択をします。
完了すると、下記のような UI になります。
今回の場合、ユーザー入力を受け取って Web 検索を行うため、高性能な gpt-5 を使用します。
滞在プランエージェントの追加
「if/else ノード」から「Agent」を追加します。
これを滞在プランエージェントとし、ユーザーの入力に応じて滞在プランを出力するように設定します。
- Name
- 滞在プランエージェント
- Instructions
- あなたは旅行アシスタントです。簡潔な滞在プランを作成してください。
これで準備は完了です。
実行と Widget の反映
右上の「Preview」ボタンから、実際にワークフローを実行してみます。
まず、「千葉県で 1 日何をすればいいでしょうか?」と尋ねてみます。
すると、滞在プランエージェントへ分岐され、千葉県での 1 日の滞在プランを提案してくれます。
次に、「10 月 14 日に羽田から札幌に行きたい。」と送ってみます。
すると、フライトエージェントへ分岐され、おすすめの便をピックアップしてくれました。
もし、出力されるフライト情報をテキストではなく UI で出力したい場合、「ChatKit」の「Widget」を使用することで実現できます。
以下の ChatKitStadio リンクから「Widget Builder」を開いて、UI の情報をプロンプトで入力をして作成します。
プロンプトは好みに応じて設定してください。
ここでは以下の記事のプロンプトを参考にさせていただきました。
以下の情報を含んだフライト情報を表示する widget を作成してください。
- 航空便名
- 出発地
- 出発時刻
- 到着地
- 到着時刻
出力された Widget が良かったので、このままフライトエージェントに渡して、出力時に使用してもらうようにします。
まず、該当の Widget 画面の右上のダウンロードボタンでダウンロードします。
その後、Agent Builder へ戻ってフライトエージェントの Outoput Format を Widget に変更をします。
そのまま「Add Widget」から「Upload」で、先ほどの Widget ファイルを渡します。
これで、先ほどと同様にプレビューモードで「10 月 14 日に羽田から札幌に行きたい。」と送ってみます。
すると、出力がテキストから先ほど作成した Widget に変更されました。
これで Agent Builder のワークフロー作成は完了です。
右上の「Publish」ボタンを押して名前を入力し、再度「Publish」ボタンを押すことで、本番環境でも利用できるようになります。
ここで作成したワークフローは、本番環境の自身のアプリケーションに適応(ワークフロー ID を指定/ SDK としてコードを埋め込む)することができます。
これで Agent Builder の基本的な説明は終わりです。
おまけ(その他のノード)
今回紹介したノード以外にも様々なノードが存在します。
Note ノード
ワークフローに関する説明やコメントを残すことができます。(ワークフロー内では何の処理も行わない)
Guardrails ノード
個人情報や不正利用など、望ましくない入力に対する監視を行うノードです。
入力値に応じて「合格 / 不合格」判定をすることができ、不合格となった場合ワークフローを終了させることができます。(安全な使用に関する注意を添えて前のステップに戻すことも可能)
- Personally identifiable information
- 個人を特定できる情報をブロックする
- Moderation
- 有害なコンテンツ(暴言など)を入力値として受け取らないようにする
- Jailbreak
- エージェント本来の役割を無視するような指示を防いで、意図しない危険な情報を提供しないようにする
- Hallucination
- OpenAI PlatForm 上の Vectior_stores を参照して、意図しない不正確な情報を与えないようにする
- Continue on error
- Guardrails でエラーが発生した時も継続するかどうか
MCP ノード
サードパーティ製のツールを利用するノードです。
Gmail や Zaper など別アプリケーション内のデータを読み取ったり検索する必要があるワークフローで活用できます。
MCP との接続方法に関する情報は、下記のページで確認できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
まだ触れることのできていないノードやワークフローの機能、そしてワークフロー作成後のアプリケーションへの反映など、今後もさらに活用していきたい点が多々あります。
本記事が、Agent Builder の使用イメージの一助となれば幸いです。