概要
物理を学んでいると同じようなことでも若干違う表現で書かれていて、何が何なのかわからなくなることがよくあったのでここにまとめていきます。プログラミングで使う変数もこのまとめを元に使います。
※ ここに記載の内容は適宜修正されます
単位
国際単位系(SI:International System of Units)
-
SI基本単位 (単位)[次元の記号]
- メートル法の後継として国際的に定めた単位系
- 略称のSIはフランス語に由来
- 時間 : 秒(s)[T]
- 長さ : メートル(m)[L]
- 質量 : キログラム(kg)[M]
- 電流 : アンペア(A)(I)
- 熱力学温度 : ケルビン(K)[Θ]
- 物理量 : モル(mol)[N]
- 光度 : カンデラ (cd)[J]
-
SI組み立て単位
- 国際単位系(SI)の基本単位を組み合わせて作ることができる単位
- 平面角 : ラジアン(rad m/m)[(無次元量) ]
- 定義は「円周上でその円の半径と同じ長さの弧を切り取る2本の半径が成す角の値」
- $ 1 {\rm rad} = \frac{180^\circ}{\pi} $
- 振動数、振動数 : ヘルツ(1/s) [ $ {\rm T}^{-1} $ ]
- 定義は「1秒間に1回の周波数・振動数」
- $ f = \frac{1}{T} $
- $ T $ は周期
- $ T = 1 $ : 1秒に1回振動する
- $ T = 2 $ : 1秒に0.5回振動する(2秒に1回振動する)
- $ T = 0.5 $ : 1秒に2回振動する
- ヘルツは一定周期で発生する現象にのみ使用する
- ランダムに発生するような現象についてはヘルツではなく毎秒を使用する
- 振動数
- 等速円運動あるいは単振動などの振動運動や波動が単位時間(ヘルツの場合は1秒)当たりに繰り返される回数
- 運動の周期の逆数
- 力学的運動など自然科学(理学)における物理現象に用いられることが多い
- 一般的には記号 $ f $ を用いることが多いが、光の振動数は $ \nu $ が用いられることが多い
- 周波数
- 電気振動(電磁波や振動電流)などの現象が、単位時間(ヘルツの場合は1秒)当たりに繰り返される回数
- 電気工学・電波工学または音響工学などで用いられる工学用語
- 根本的には振動数と同じもの
- 角速度 : ラジアン毎秒(rad/s)[ $ {\rm T}^{-1} $ ]
- 物体や質点の回転の速さを表す物理量
- ベクトル量
- 量記号は $ \boldsymbol{\omega} $
- 角振動数 (角周波数、円振動数) : ラジアン毎秒(rad/s)[ $ {\rm T}^{-1} $ ]
- 物理学(特に力学や電気工学)において、回転速度を表す
- スカラー量
- $ \omega = | \boldsymbol{\omega} |$ (角速度の大きさにあたる)
- 平面角 : ラジアン(rad m/m)[(無次元量) ]
- 国際単位系(SI)の基本単位を組み合わせて作ることができる単位
-
参考
波
正弦波
- 正弦関数として観測可能な周期的変化を示す波動のこと
- 波形が時間や、空間の位置によって変わらない波動
- 単一の周波数成分のみを持つ波動
- 自然界には存在しないが、観測対象の波動の振幅が雑音より十分大きい時、正弦波とみなす事が多い
- 各種波の関係式は正弦波を前提としているものが多い
波長
- 空間を伝わる波(波動)の持つ周期的な長さ
- 一般的な正弦波の波長、 周波数、速さの関係式
- $ \lambda = \frac{v}{f} $
- $ \lambda $ は波長
- $ v $ は正弦波の速度
- $ f $ は周波数
- $ \lambda = \frac{v}{f} $
- 光の場合の関係式
- $ \lambda = \frac{c}{\nu} $
- $ c $ は光の速度
- $ \nu $ は振動数 (周波数 $ f $と根本的に同じものだが光は振動数 $ \nu $ と表記することが多い)
- $ \lambda = \frac{c}{\nu} $
- 蛇足
- きょり[ $ {\rm L} $ ] = $はやさ[ {\rm LT^{-1}} ] $ × $じかん[ {\rm T} ]$= $ \frac{ はやさ[ {\rm LT^{-1}} ]}{\frac{1}{じかん} [ {\rm T^{-1}} ]} $
波数
※ いずれ図を入れる
- 波数 : 毎メートル(1/m : SI単位) カイザー(K : CGS単位)[ $ {\rm L}^{-1} $ ]
- 単位長さ当たりの波の個数
- 波長との関係
- 一般的な波の波数(wavenumber)を$ \kappa $ とすると
- $ \kappa = \frac{1}{\lambda} $
- 正弦波の波数(角波数)を $ k $ とすると
- $ k = \frac{2 \pi}{\lambda} $
- 1波長分の波を1個と数えたとき、波数 $ k $ は単位長さ当たりの波の個数を $ 2\pi $ 倍したものに相当する
- 一つの波には山と谷があり、それをピンと引っ張って長さを測ると$ 2\pi $
- $ 2\pi $ が何個入るか数える -> 波数
- 単位は rad/m
- 波長が2mなら波数は $ \pi $rad/m
- 1mの間に位相が$ \pi $進む
- 物理界隈では単に波数と呼ばれることが多いが、 $ k = \frac{2 \pi}{\lambda} $ は角波数(angular wavenumber)や位相定数ともよばれる
- 最初は波数と区別して呼んだほうがよいかもしれない
- 一般的な波の波数(wavenumber)を$ \kappa $ とすると
- 角振動数との関係
- $ k = \frac{\omega}{v}$ ($ v $ は正弦波の速度)
- 物理的解釈1 : $ v $ が一定であるとすると角波数は角振動数に比例する
- ある一定の距離を通過するまでの波の数を数えるとき、あまり振動しない波よりすごく振動する波の方が波の数が多い
- 物理的解釈2 : $ \omega $ が一定であるとすると角波数は速度に反比例する
- ある一定の距離を通過するまでの波の数を数えるとき、波の進む速度が速いと、遅いものより振動する回数が少ないうちにその距離を通過してしまう。
- -> 波の速度が速いと波の数が少ない
- 物理的解釈1 : $ v $ が一定であるとすると角波数は角振動数に比例する
- $ k = \frac{\omega}{v}$ ($ v $ は正弦波の速度)
プランク定数、ディラック定数
-
プランク定数
- $ h $ と表記する
- 量子論を特徴付ける物理定数
- 最も基本となるエネルギーの最小単位
- $ E = h \nu $ (a,1)
- $ E $ はエネルギー(黒体の輻射エネルギーなど)
- $ \nu $ は光の振動数
-
ディラック定数
- $ \hbar $ と表記する
- プランク定数を $ 2 \pi $ で割ったもの
- $ \hbar = \frac{h}{2 \pi}$
-
参考
光エネルギー
-
電磁波の一種である光がもつエネルギー
-
光エネルギーは、光に含まれる光子の数と光子の振動数(波長)によって決まる
- 光子のエネルギーは振動数によって決まる
- $ E = h \nu = h \frac{c}{\lambda} (a,1) $
- $ h $ はプランク定数
- $ \nu $ は振動数
- $ c $ は光速
- $ \lambda $ は波長
-
参考
虚数単位
「 $ i $ 」を使います。高校数学でも $ i $ が使われており馴染みやすいと思いますが、工学系では電流で $ i $ を使うため、「 $ j $ 」が使われる事が多いです。理学系の人が工学系の参考書をはじめて見たときにちょっとびっくりします。
行列(演算子)
\boldsymbol{H} \psi = E \psi
$ \boldsymbol{H} $ は行列(演算子)、 $ E $ は定数。 $ \psi $ は関数。
理学系の教科書では演算子はボールドイタリック体で記述されることが多いのでこの形式で書きます。
$
\color{red}{
\Rule2mm2mm0mm
\Rule6mm4mm0mm
\mathbb{M}
\Rule6mm2mm0mm
}
\color{lightyellow}{\hspace-18mm{\lower6mm{
\Rule2mm4mm0mm
\Rule4mm0mm4mm
\Rule8mm6mm4mm
\Rule2mm4mm4mm
\Rule2mm4mm2mm
\Rule2mm2mm0mm
}}}
\color{gray}{\hspace-22mm{\lower4mm{
\Rule2mm2mm2mm
\Rule2mm4mm4mm
\Rule4mm4mm2mm
\Space4mm0mm0mm
\Rule2mm4mm0mm
\Rule2mm0mm4mm
\lower2mm{\Rule4mm0mm2mm}
}}}
\lower8mm{\verb| < Here we go!|}
$
その他リンク
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1kgの定義、原器から「原子の数」へ
- 2018年から1kgの定義が変わります
-
シュレディンガー音頭
- 物理を志す者必修の踊り