実施環境
Microsoft Edge 124.0.2478.67 (64bit)
0. 概要
AWS で最も代表的なサービスの 1 つが、「 Amazon Elastic Compute Cloud ( EC2 ) 」です。
EC2 はクラウド上に仮想サーバ(インスタンス)を構築して利用できるサービスです。
今回はこの EC2 について、インスタンスの起動まで進めてみます。
今回は Linux 環境を構築しますが、 Windows 環境もおおよそ同じ手順で構築できます。
無料枠の範囲で利用する場合は、 AWS アカウント作成からなら 12 か月は、毎月 750 時間までインスタンスを起動できます。
他にも細かい条件がありますが、詳しくは以下の AWS の Web ページを確認してください。
なお、操作手順は変わる場合があります。
最新の手順は以下の AWS 公式ドキュメントを参照してください。
※英語のページです
1. インスタンス一覧画面
まずは AWS マネジメントコンソールのホーム画面左上、検索フォームに「 EC2 」と入力します。
すると、検索結果に「 EC2 」が出てくるはずですので、それをクリックします。
左側のメニューで、「インスタンス」⇒「インスタンス」を選択します。
この画面が、今回主に使用する EC2 のインスタンス一覧画面です。
2. インスタンス起動
では早速、インスタンスを起動してみましょう。
「インスタンスを起動」をクリックします。
ここから、起動するインスタンスの設定を行っていきます。
まずはインスタンスに適当な名前を付けます。
次に、起動するインスタンスのテンプレートを選択します。
今回は「 Amazon Linux 」という OS の、「 Amazon Linux 2 AMI (HVM) - Kernel 5.10, SSD Volume Type 」を選択しました。
無料利用枠の範囲で利用する場合は、右上に「無料利用枠の対象」と記載されている AMI を選択することになります。
Amazon Linux は AWS が提供する Linux OS です。
RHEL 系統の Linux OSで、 AWS 向けに最適化されています。
今回は Amazon Linux 2 を選択しましたが、 Amazon Linux 2 は 2025 年 6 月 30 日にサポートを終了するため、今後も使い続けるなら Amazon Linux 2023 の方を利用したほうがよいです。
インスタンスタイプは、「 t2.micro 」を選択しました。
こちらも、無料利用枠の範囲で利用する場合は、右上に「無料利用枠の対象」と記載されているインスタンスタイプを選択します。
「 t2.micro 」の「 t 」はインスタンスの種類、「 2 」はインスタンスのバージョン数、「 micro 」はインスタンスのサイズを表しています。
インスタンス名の規則については以下ドキュメントに記載されています。
※英語のページです
https://docs.aws.amazon.com/ec2/latest/instancetypes/instance-type-names.html
今回使用する t 系のインスタンスは、突発的なリソース消費の高騰に対応しやすい汎用インスタンス(バーストパフォーマンスインスタンス)です。
その最大の特徴として、「 CPU 使用率が低いときは余った分を貯めておいて、 CPU 使用率が高いときに貯めていた分を使う」という点があります。
そのため、特定の時間だけ CPU 使用率が高く、それ以外の時間はあまり CPU を使用しないサーバによく適しているインスタンスです。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AWSEC2/latest/UserGuide/burstable-performance-instances.html
EC2 ではこれ以外にも、メモリが多いものや GPU を搭載したものなど、各種用途に特化した様々なインスタンスタイプが提供されています。
詳細は以下の Web ページを参照してください。
最後に、インスタンスへの接続に必要となる、公開鍵と秘密鍵の組(キーペア)を選択します。
今回は事前にキーペアを用意していないので、「新しいキーペアの作成」をクリックします。
一応キーペアなしでのインスタンス作成も可能ですが、セキュリティ的には推奨されません。
適当なキーペア名を入力します。
キーペアのタイプは、今回はデフォルトの RSA を使用します。
ファイル形式は、今回は OpenSSH で接続するので .pem を選択しました。
キーペアの設定が完了したら、「キーペアを作成」をクリックします。
RSA と ED25519 はともに暗号化の方式名です。
代表的な暗号化方式として昔から広く用いられてきた RSA ですが、最近はより安全性や効率性が高い ED25519 が推奨されるようになってきています。
pem は「 Privacy Enhanced Mail 」の略で、鍵や証明書などを複数格納できるファイルです。
コマンドラインから接続する場合はこちらの方がよいです。
ppk は「 PuTTY Private Key 」の略で、秘密鍵のファイルです。
PuTTY や WinSCP などで接続する場合はこちらを使うとよいでしょう。
一応、 PuTTYgen などのソフトウェアを用いれば pem と ppk を変換することもできます。
キーペアの作成に成功すると、以下のような .pem ファイル(秘密鍵を格納しているファイル)がダウンロードされます。
このファイルは OpenSSH での接続において公開鍵認証を行う際に使用するので、大事に保管しておいてください。
後の設定はとりあえずデフォルトのままで起動できます。
「インスタンスを起動」をクリックしてインスタンスを起動します。
正常にインスタンスが起動できたら、以下のようなメッセージが表示されます。
なお、インスタンスの起動後すぐにインスタンスが使えるようになるわけではありません。
インスタンスの初期化やステータスチェックなどが完了するのを待つ必要があります。
インスタンス一覧画面で、起動したインスタンスの「ステータスチェック」列が「チェックに合格しました」となれば OK です。
無料枠の範囲で複数サーバを起動する場合は、起動時間もそうですが、他にストレージ容量にも注意しなくてはいけません。
EC2 のストレージは Elastic Block Store ( EBS ) という AWS の別のサービスに基づくものであり、無料枠は 12 か月間、 30GB までとなっています。
特に Windows 環境のインスタンスの場合は 30 GB をフルに使うことになるため、インスタンスの起動時間は問題なくてもストレージ容量が無料枠を超過するということが起こりうるので注意が必要です。
なお、現在の EBS 利用状況は画面左側のメニューの「 Elastic Block Store 」⇒「ボリューム」から確認できます。
3. インスタンス停止
インスタンスを一時的に停止するには、インスタンス一覧画面で停止したいインスタンスを右クリックして「インスタンスを停止」を選択します。
確認メッセージが出るので、インスタンスに間違いがないことを確認して「停止」をクリックします。
停止に成功すれば、以下のような成功メッセージが表示されます。
4. インスタンス再開
一時的に停止していたインスタンスを再開するには、インスタンス一覧画面で再開したいインスタンスを右クリックして「インスタンスを開始」を選択します。
再開に成功すれば、以下のような成功メッセージが表示されます。
5. インスタンス再起動
インスタンスを再起動するには、インスタンス一覧画面で再開したいインスタンスを右クリックして「インスタンスを再起動」を選択します。
確認メッセージが出るので、インスタンスに間違いがないことを確認して「再起動」をクリックします。
再起動に成功すれば、以下のような成功メッセージが表示されます。
6. インスタンス終了
インスタンスを完全に終了するには、インスタンス一覧画面で終了したいインスタンスを右クリックして「インスタンスを終了」を選択します。
確認メッセージが出るので、インスタンスに間違いがないことを確認して「停止」をクリックします。
終了に成功すれば、以下のような成功メッセージが表示されます。