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DifyとN8nを両方触って分かった「選び方の正解」── AIアプリ構築とワークフロー自動化の使い分け

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環境情報

  • 動作確認環境
    • Dify: v0.11.x(セルフホスト + SaaS版両方で検証)
    • n8n: v1.70.x(Docker セルフホスト)
    • OS: macOS Sonoma / Ubuntu 22.04 (EC2)
    • LLM Provider: OpenAI GPT-4o / Anthropic Claude 3.5 Sonnet
  • 検証期間: 約2週間(研修 + 個人検証)

はじめに

ノーコード・ローコードのワークフロー自動化ツールは選択肢が増えており、Zapier、Make、n8n、Dify、LangFlowなど、どれを採用すべきか迷う場面が増えています。

最近、研修でDifyを本格的に触る機会があったので、普段使っているn8nと比較してみました。ぱっと見ではどちらも「ビジュアルでワークフローを組むツール」に見えますが、実際に手を動かすと設計思想が全く違うことに気付きます。

結論から言うと、「どちらが優れているか」ではなく「何を自動化したいか」で選ぶべきという、当たり前だけど見落としがちな答えに行き着きました。

両者の設計思想

Difyは「AIアプリケーション構築ツール」

Difyは LLMOps platform を名乗っていて、LLMを使ったアプリケーション(チャットボット、RAGアプリ、エージェント等)の構築に全振りしています。

Difyが標準提供している機能:

  • プロンプト管理(バージョニング、A/Bテスト)
  • RAG構築(ドキュメントアップロード→ベクトル化→検索が数クリック)
  • 会話フロー設計(Chatflow)
  • エージェント構築(Tool呼び出し、ReAct)
  • 対話ログの収集・分析
  • モデル切替(OpenAI / Claude / Gemini / ローカルLLM)

「LLMを中心に据えたアプリをGUIで作る」 ことに最適化されているため、プロンプトの試行錯誤や、ユーザーとの対話履歴の管理は非常に楽です。

n8nは「汎用ワークフロー自動化ツール」

一方でn8nは「Zapier / Make のセルフホスト版+開発者向け」という位置付けです。

n8nの強み:

  • 1,000以上の統合ノード(Slack / Google Sheets / PostgreSQL / Webhook 等)
  • 柔軟な条件分岐・ループ・エラーハンドリング
  • コードノード(JavaScript / Python)でカスタム処理を挿入可能
  • Webhookトリガーが標準装備
  • Queue mode でスケール可能

「複数サービスをつないで業務を回す」 のが得意。LLM機能はノードの一部として存在しますが、それがメインではありません。

比較表

項目 Dify n8n
メインユースケース AIアプリ(チャットボット、RAG、エージェント) 業務フロー自動化、データパイプライン
LLM統合 ネイティブ対応、プロンプト管理付き ノードの一種、自前でプロンプト設計
RAG構築 GUIで完結(ドキュメントUP→即検索可) 手動実装(Embedding API + Vector DB を自前接続)
外部サービス連携 限定的(主要LLM + Webhook) 1,000+ ノード
条件分岐・ループ Chatflow上では簡易 詳細な制御可能
コード実行 限定的(Custom Toolのみ) JavaScript / Python ノード標準
セルフホスト Docker Compose で容易 Docker / Kubernetes 両対応
ユーザー向けUI 組み込みチャット画面あり API公開して別途UI実装が必要
学習コスト 低(LLMアプリ特化) 中(ノードが多くて最初は迷う)
ログ・分析 会話ログ自動保存、評価機能 Execution historyは残るがLLM特化ではない

使い分けパターン

実際のプロジェクトで、どちらを選ぶべきかの判断フレームワークです。

Difyが向いているケース

✅ 社内ナレッジを学習させたチャットボットを作りたい
✅ FAQ回答、カスタマーサポートの自動化
✅ プロンプトを頻繁に調整する必要がある
✅ エンドユーザーにチャットUIを提供したい
✅ LLMのA/Bテストを簡単に回したい

n8nが向いているケース

✅ Slackにメッセージが来たらGoogle Sheetsに転記してメール通知
✅ Stripe決済完了イベントで複数のDBを更新
✅ 定期的にAPIを叩いてデータを集計・Slack通知
✅ 既存システムとのWebhook連携
✅ エラー時のリトライ・通知設計を細かく制御したい

両方使う(ハイブリッド)パターン

実務で最強なのは組み合わせです。

【例】カスタマーサポート自動化

ユーザー問合せ
  ↓ (n8n の Webhook で受信)
n8n でユーザー属性を取得(CRM連携)
  ↓
Dify にコンテキスト付きで問合せ(REST API呼び出し)
  ↓
Dify の RAG で FAQ 回答を生成
  ↓
n8n で結果を受け取り、SlackとメールでCSチームへ通知
  ↓
解決できなかった問合せはTicketシステムに自動起票

Dify は「LLMを呼ぶブロック」として使い、n8n は「全体のオーケストレーション」として使う構図です。

ハマりポイント(実体験)

Difyで詰まったところ

1. RAGの精度がイマイチなとき
デフォルトのチャンクサイズ(500文字)では日本語長文ドキュメントで精度が出ないことがあります。チャンク戦略をドキュメントの構造に合わせて調整する必要があります。

対処: Dify 管理画面 → Knowledge Base → チャンク設定
  - chunk_size: 500 → 1000〜1500 に調整
  - chunk_overlap: 50 → 200 程度
  - 区切り文字を \n\n, 。 に明示指定

2. モデル切替でコスト試算がズレる
ログ画面のコストはAPI利用料ですが、ストリーミング中断時の課金タイミングが読めません。月額コスト管理は別途OpenAI/Anthropicのダッシュボードで突き合わせる運用を推奨します。

3. セルフホスト版と SaaS版でバージョン差異
セルフホスト版は数週間遅れでマージされるため、SaaS版の最新機能記事を参考にしたら動かないことがあります。GitHubのリリースノートで差分確認を。

n8nで詰まったところ

1. バージョンアップで動かなくなるノード
メジャーアップデート時に一部ノードの仕様が変わりデータ受け渡しが壊れることがあります。

対処:
  - 本番運用ワークフローは Community Edition のLTSバージョンを使う
  - アップデート前に必ずDocker Composeをbackup
  - staging環境で1週間検証してから本番反映

2. Queue mode の設定で詰まる
大規模運用では Queue mode が必要ですが、Redis + PostgreSQL + Worker のセットアップが意外と面倒。最初は Regular mode で十分。

3. Code ノードのメモリ制限
JavaScript ノードは Node.js の制限を受けるので、巨大なJSONを渡すとOOM。必要なフィールドだけに絞って渡す。

コスト比較(概算)

セルフホストでの月額目安:

構成 Dify n8n
小規模 (VPS 2GB) 約$5-10/月 約$5-10/月
中規模 (VPS 4GB + Postgres) 約$20-30/月 約$20-30/月
大規模 (K8s + Queue mode) $100+/月 $100+/月
LLM API料金 別途(Dify経由でまとめて計上) 別途(ノードごとに計上)

どちらもインフラコストはほぼ同じ。LLM API料金は使った分だけ(OpenAIなら $10-100/月が目安)。

FAQ

Q1. LangFlow や Flowise ではダメ?
A. 似たようなツールですが、LangFlowは開発者寄り・LangChainを直接触る感覚、DifyはよりUI重視・プロンプト管理が強い。用途次第。

Q2. Zapier や Make との違いは?
A. Zapier/Make は完全SaaS(セルフホスト不可・価格高め)。n8n は同等の機能をセルフホストできるのが最大の違い。データ主権を確保したい組織に向く。

Q3. ChatGPTやClaudeのGPTs / Projectsで足りるのでは?
A. 個人利用や小規模ならGPTs等で十分。ただし「業務システムと接続」「複数ユーザーに提供」「プロンプトのバージョン管理」が必要になった瞬間、DifyやDifyでないと辛くなります。

まとめ

  • Dify = LLMアプリを作るならこれ
  • n8n = 業務フロー・API連携を組むならこれ
  • 両方組み合わせる のが実務では最強
  • セルフホスト前提ならどちらもコストは近い。必要な機能軸で選ぶ

どちらを採用するか迷ったら、「LLMがワークフローの主役かどうか」 を基準に判断すれば間違いないと思います。

皆さんはDifyとn8n、どちら派ですか? それとも別のツールを愛用していますか? コメントで教えてください。


この記事を書いた人

BENTEN Web Works — 業務自動化・システム開発のフリーランスエンジニアです。

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