はじめに
Amazon Web Services(AWS)は、クラウド環境でのシステム運用をサポートする豊富な機能を提供しています。
その中でも、EC2インスタンスのバックアップや復元において重要な役割を果たすのが「AMI(Amazon Machine Image)」と「スナップショット」です。
これらは似た概念ですが、使い方や目的に違いがあります。本記事では、EC2におけるAMIとスナップショットの違いを整理し、それぞれのユースケースやコスト面も含めて解説します。
前回の記事では、AMIについて詳しく解説しましたが、今回はさらにスナップショットとの比較や、それぞれの特徴に基づく使い分けにも焦点を当てます。
知識整理
EC2について
AWSのElastic Compute Cloud(EC2)は、クラウド上で仮想サーバーを提供するサービスです。ユーザーは必要なスペックのサーバーを簡単に起動し、Webアプリケーションやデータベースを動作させることができます。
EC2の柔軟性やスケーラビリティは、クラウドコンピューティングを最大限に活用するための鍵となっています。
AMIについて
Amazon Machine Image(AMI)は、EC2インスタンスを起動するためのテンプレートです。
このテンプレートには以下のものが含まれています。
・オペレーティングシステム(OS)
・設定済みのソフトウェア
・アプリケーション
・データ(必要に応じて)
AMIを使用することで、同じ設定のEC2インスタンスを何度も迅速にデプロイできます。特に、特定の設定や状態を保持したインスタンスを複製したい場合に便利です。
スナップショットについて
スナップショットは、EBS(Elastic Block Store)ボリュームの状態をバックアップするための機能です。
スナップショットは特定のタイミングでのボリュームのコピーを作成し、データのバックアップや災害復旧の手段として利用されます。
スナップショットは差分バックアップが可能で、最初のスナップショット以降は、変更されたデータのみを保存するため、効率的にストレージを使用できます。
AMIとスナップショットの違い
目的と内容の違い
AMI
OSやアプリケーション、設定、データなどを含むインスタンス全体のテンプレート。EC2インスタンスのクローンを作成したり、新しいインスタンスを迅速に立ち上げる際に使用します。
スナップショット
EBSボリュームの特定の時点のバックアップ。ストレージのバックアップに特化しており、EBSボリュームを復元したり、別のボリュームにリストアするために使います。
ユースケースの違い
AMIのユースケース
インスタンスの複製:特定のインスタンスをそのまま複製して、テスト環境や本番環境にデプロイする。
バックアップ:全体のシステム状態を保管し、何かあったときに迅速に復元する。
インスタンスの移行:同じ設定を異なるリージョンやアカウントにコピーする。
スナップショットのユースケース
ストレージのバックアップ:EBSボリュームを部分的にバックアップし、データの保護や復元に使用する。
ボリュームの拡張・縮小:スナップショットを利用してボリュームを新しいサイズに変更する。
災害復旧:障害が発生したときに、最新のスナップショットからデータを復元する。
作成のタイミング
AMIはインスタンス全体を対象にしており、作成には時間がかかることがあります。インスタンスを停止してから作成することが推奨されます。
スナップショットはボリューム単位で作成されるため、特定のデータ領域にフォーカスしています。稼働中のインスタンスでも取得でき、差分バックアップに対応しているため効率的です。
まとめ
AMIとスナップショットは、どちらもEC2インスタンスの保護や管理に役立ちますが、目的や使い方が異なります。
AMIはインスタンス全体のバックアップや複製、スナップショットはストレージデータの保護に特化しています。
システムの状態を保持したい場合はAMIを、データのバックアップやボリューム管理にはスナップショットを使い分けると効果的です。
おまけ:コスト比較
AMIのコスト
AMI自体には追加コストが発生しませんが、AMIに紐づいたEBSスナップショットの保存コストがかかります。AMIに関連するスナップショットの量によって、コストが増加することがあります。
スナップショットのコスト
スナップショットは、保存されたデータ量に基づいて課金されます。スナップショットは差分のみ保存されるため、効率的にストレージを使用できるものの、長期間保管しているとその分コストが蓄積されます。
スナップショットは初期のフルバックアップ後、差分のみを保存するため、AMIを頻繁に作成するよりもストレージ効率が良い場合があります。ただし、利用シーンや保存ポリシーに応じてコスト管理を行うことが重要です。
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