なぜ「氷河期」と呼ばれるのか?
人余りと人手不足
近年、日本では「ITエンジニア氷河期」とも呼ばれる現象が起きています。従来は売り手市場とされてきたITエンジニア職ですが、AIや最新クラウド技術などの急速な進化により、新卒・経験者を問わず企業が求めるスキルレベルが大幅に上がっています。その一方で、若年層の理工系離れや少子高齢化の影響で業界に入ってくる若手は減少し、ベテラン世代も古いシステムの維持に追われて新しい技術への対応が遅れがちです。さらに日本企業のITリソースの多くがレガシーシステムの維持に割かれているため、最先端技術の実務経験を積む機会が限られているのも現状です。
このような状況から、ITエンジニア市場では「人余り」と「人手不足」が同時に存在するという矛盾が起きています。AIやグローバルに対応できるハイスキル領域では深刻な人材不足が続く一方、従来型のスキルしか持たないエンジニアは採用のハードルが高くなり、就職や転職での選別が厳しくなっています。結果として、スキル変革ができない人材にとっては“就職氷河期”のような厳しい状況が広がっています。ただし、IT市場全体は依然として成長を続けており、最新スキルを持つ人材には売り手市場の側面も残されているのが実態です。
このように、日本のITエンジニア市場は、スキルと環境の変化に適応できるかどうかで明暗が分かれる時代に突入しています。
AIネイティブ化で進む二極化
AI人材の需要が加速する時代
近年、AIを自在に使いこなせる「AIネイティブ」なエンジニアの需要が急速に高まっています。国内の大手IT企業でもAI人材の比率を拡大する動きが進み、AIを活用できることが採用や昇進の必須条件になりつつあります。生成AIや大規模言語モデル(LLM)の普及で、アイデア出しからコーディング、提案資料の作成までAIツールによる業務効率化が期待される中、AIスキルを持たない従来型エンジニアとの“二極化”が一層顕著になっています。
さらに、AIネイティブであるだけでなく、英語力や多国籍チームへの適応力も必須になりつつあります。AIエンジニアの国内不足は2025年に約5万人にのぼるとされ、AI分野の求人倍率は急騰しています。一方で、グローバル採用の拡大により、日本語だけ・古い技術のみのエンジニアは採用選考から外れやすく、アップスキルできない人材は「ITエンジニア氷河期」ともいえる厳しい状況に直面しています。AIとグローバル対応力を備えた人材への需要は依然高いものの、市場全体は大きな転換期にあります。
AI人材の需要が加速する時代、日本のエンジニアには基礎的なAIリテラシーと実践スキルを強化するだけでなく、業界ドメインの専門知識やマネジメント力との掛け合わせ、さらに英語力や多文化チーム対応力などグローバル対応力の向上が不可欠です。変化の激しいAI分野で成長を続けるには、新技術へのキャッチアップや学び直しを習慣化し、自己変革に柔軟であることが重要です。これからの時代に求められるのは、AIスキル単体ではなく、自分ならではの強みとAIを組み合わせて価値を最大化できるエンジニア像です。
グローバル化と英語力の必須化
DX推進や多国籍プロジェクトの増加
日本国内のITエンジニア市場では、少子化による人材不足を補う形で海外からのエンジニア採用が進み、グローバル人材との競争が日常化しています。企業は英語力や多様なカルチャーへの適応力を重要視しており、外国籍エンジニアが英語や母国語でリモート開発できる一方、日本語しか使えず国際感覚に乏しい人材は相対的に市場価値が下がっています。このため、グローバル採用が当たり前になる中で、日本のエンジニアにも異文化コミュニケーション能力や英語力が必須のスキルとして求められています。
さらに、DX推進や多国籍プロジェクトの増加により、求人動向も「英語力」「国際的な視野」を条件とするものが増えています。特に外資系や国際志向のスタートアップでは英語が社内共通言語となるケースが多く、語学力が技術力と同じレベルでキャリアの選択肢を広げるカギです。多様な視点を持つグローバル人材は企業の競争力やイノベーションを加速させる存在とされ、若手エンジニアにとっても国際的な職場経験が次世代リーダーに成長するための大切なステップとなっています。今やグローバル対応力を高めることは、日本のITエンジニアにとって避けて通れない成長戦略です。
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