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コマンドプロンプト・プログラミング 序

Last updated at Posted at 2018-11-30

目次

実行環境

Windows7 Pro 64bit

コマンドプロンプトの仕様

  • データ型:文字列のみ
  • 変数:環境変数のみ(局所化は可能)

識別子に大文字・小文字の区別はない。

評価結果は通常、標準出力を受け取る。
直近のエラーは環境変数 ErrorLevel に設定される。
ErrorLevel0 ならば「エラー無し」を示す。

環境変数1つには 32,767 文字の容量があるそうだが、
コマンドプロンプトの入力バッファは 8,190 文字らしい。
UTF-16 が 8,190 文字である。
set xxx= 自体も含まれるので値に全てを使えるわけではない。

メタ文字

  • 読込時変数展開:%
  • 実行時変数展開:!setLocal enableDelayedExpansion

変数展開は " の有無に関わらず行われる。

  • エスケープシーケンス:^
  • メタ文字解釈トグル:"
  • グループ化:( )
  • コマンド連結:&
  • 短絡評価連結:&& ||ErrorLevel 依存)
  • パイプ:|
  • リダイレクト:< > >>
  • 代入・比較演算子:= ==(鬼門)

コマンドプロンプトはワイルドカード * ? を解釈しない。
それは個々のコマンドに任される。

" は文字列を作るわけではなく、
(そもそも文字列しか型がない)
「メタ文字を解釈するかしないか」をトグルする。
最初に出現した " の意味は「メタ文字解釈オフ」である。
したがって、"・・・" と囲む必要すらない。

Hello World!

cmd.exe
> echo Hello World!
Hello World!

> set value=World

> echo "Hello %value%! () & && || | < > >> =
"Hello World! () & && || | < > >> =

> echo "一行目\n二行目"
"一行目\n二行目"

> (
More? echo 一行目
More? echo 二行目
More? )
一行目
二行目

改行を入れるだけでも一苦労である。

バッチファイルの仕様

goto :eof でスクリプトを抜けれるが exit /b と等価なのか不明。
exit /bexit /b 0 は等価なのか不明。
そもそも exit 無しの場合は何なのか不明。

仕様が存在するのか神龍に問いたい。

文字列操作以前

文字列しか扱えないのだから操作しよう。
しかし、文字列を得る時点で泥沼。
文字列を得るには標準出力から受け取るしかない。
標準出力といえば echo である。

echo の罠

echo a b c で生成される文字列は、何個で何文字だろうか?

cmd.exe
> echo a b c
a b c

生成されたのは a b c 1つで5文字である。
先頭に空白を1+3、計4つ入れてみる。

cmd.exe
> echo    a
   a

ああ、やめてくれ。
リダイレクトでテキストファイルに書き込んでみる。

cmd.exe
> echo    a > sample.txt

> type sample.txt
   a

実はこれ、先頭の空白はちゃんと(?)3つある。
しかし、末尾に余計な空白1つが書き込まれている。
echo> の直前の空白を拾っているからだ。
これに対処するには echo a> とやるか、
(echo a) > とすればよいが、なんともきもい。

そして次の挙動で泣く。

cmd.exe
> echo
ECHO は <ON> です。

引数無し・空白だけの引数、共に同じ結果となる。
echo を標準出力コマンドだと思ってはならない。
エコーバック設定・確認コマンドなのである。

謎挙動

例えば、

cmd.exe
> echo. > sample.txt

これで「空白+改行」が書き込まれたりする。
なぜ?いや、そんなことは考えてはいけない。
たぶん正解は echo にはそもそも仕様など無いのだ。

欲しいものを考える

puts コマンドがあるとして、

cmd.exe
> puts

> puts "Hello World!"
Hello World!

> puts    Hello   World! "Yeah!"
Hello World! Yeah!

こんな感じを目指そう。

ユーティリティ

token:トークンを得る

token.cmd
@echo off
for %%a in (%*) do (
  if "%%~a" == "" goto :done
  echo %%~a
)

:done
  exit /b

%* にはコマンドライン引数が一行の文字列として収まっている。
引数の先頭にある「空白の連続」はこの時点で省かれる。
これを for (というか cmd.exe)は、
以下をデリミタ(セパレータ)とみなして分割する。

  • 空白(半角・全角)
  • タブ
  • 改行
  • ,
  • ;
  • =(やめれ

そして、ループの度に局所変数 %%a に順次代入する。
しかし、二重引用符に囲まれたものはトークンとみなされる。
%%~a で二重引用符を(存在すれば)省くことができる。

ちなみに for の局所変数に使える識別子は、
アルファベット1文字で、ややこしいことに大文字・小文字を区別する。
したがって、[A-Za-z] の 52種類である。

cmd.exe
> token

> token 1 2 3
1
2
3

> token 1,2,3
1
2
3

> token one=1; two=2; three=3
one
1
two
2
three
3

> token "1, 2; three=3"
1, 2; three=3

> token ""

> token "abc
コマンドの構文が誤っています。

> token """"
""

= をデリミタとみなさるのはいただけないが、
とりあえずこれを「空白がセパレータの文字列」に変換する。

line:出力を一行にまとめる

そのためにはなんとかしてパイプからトークン行を受け取る必要がある。
今回は findstr ではなく find を使うことにした。
私、正規表現が嫌いです。

cmd.exe
> token a b c | find /v ""
a
b
c

find /v "" の意味は、
「空文字列以外を含む行を表示せよ」
言い替えると、
「全ての行を表示せよ」
だ。

doskeyfind /v "" にエイリアスをつけたくなるが、
そうするとパイプを受け取れなくなってしまうという謎仕様。
なのでバッチでラップするしかない。

rap.cmd
@echo off
for /f "delims=" %%a in ('find /v ""') do (
  echo %%a
)
exit /b

for /f "delims=" の意味は「デリミタは何も無し」である。
ちなみに、制御文字をデリミタにする方法は無い、たぶん。

cmd.exe
> token   hello   world!   "yeah!" | rap
hello
world!
yeah!

これを「空白がセパレータの文字列」に変換する。

rap.cmd
@echo off
setLocal
  set line=
  for /f "delims=" %%a in ('find /v ""') do (
    if "%line%" == "" (
      set line=%%a
    ) else (
      set line=%line% %%a
    )
  )
  echo %line%
endLocal
exit /b

setLocal endLocal 内の環境変数は局所変数となる。

このコマンドは「まとめる」ことが目的なので、
二重引用符を省く処理はしないことにした。

cmd.exe
> token   hello   world!   "yeah!" | rap
yeah!

で、なぜこうなる?

変数展開の罠

変数はコマンドラインの読込時に即時展開される。
今回は if 文の読込時には %line% を展開しても値が入っていない。
(そう、シェルスクリプトと違って if for は文なのだ)
そのため set line=%%a しか評価されず、
%%a の最終値が echo %line% によって出力される。

この挙動を変えるためには、
setLocal enableDelayedExpansion とし、
「実行時まで展開を遅延しろ」と指示しなければならない。
加えて、展開対象 %line%!line! に書き換える。

rap.cmd
@echo off
setLocal enableDelayedExpansion
  set line=
  for /f "delims=" %%a in ('find /v ""') do (
    if "!line!" == "" (
      set line=%%a
    ) else (
      set line=!line! %%a
    )
  )
  echo %line%
endLocal
exit /b
cmd.exe
> token   hello   world!!!   "yeah!!!!!" | rap
hello world yeah

お気づきだろうか?
私のカルシウムは 98% 減少した!
! がメタ文字に変化したのだ。。。

cmd.exe /v

コマンドプロンプトのヘルプにはこう書いてある。

/V:ON  区切り文字として ! を使って遅延環境変数の展開を有効にします。
    たとえば、/V:ON とすると、!var! は、実行時に変数 var を展開します。
    var 構文は、FOR ループ中とは違い、入力時に変数を展開します。
/V:OFF 遅延環境展開を無効にします。

どーだいっ さっぱりわからんだろぉ?

コマンドプロンプトのデフォルトは /v:off だ。
デフォで遅延展開を使えるようにしたいなら /v:on で起動する。
一部だけ挙動を変えたいなら setLocal enable- endLocal で囲む。
これは部分上書き設定で優先度が一番高い。
「遅延展開オン」とは「! メタ文字化」を意味する。

cmd.exe
> set greet=待たせたなっ

> echo %greet%
待たせたなっ

> echo !greet!
!greet!

> cmd /v:on
Microsoft Windows [Version 6.1.7601]
Copyright (c) 2009 Microsoft Corporation.  All rights reserved.

> echo %greet%
待たせたなっ

> echo !greet!
待たせたなっ
  1. Read:%var% を展開
  • Eval:!var! を展開(するかも)
  • Print
  • Loop

です。

遅延展開はゴミ箱へ

まず打鍵数で腱鞘炎になるわ。

変数展開って結局はマクロ置換だよね。
だから "%var%"=="" なんてイディオムがあるわけで。
それを実行時展開に変更すると・・・動的スコープ?
ああ、なるほど、PowerShell 挙動ってことね?
うざーいっ

試行錯誤の結果、サブルーチンでなんとかなった。

line.cmd
@echo off
setLocal
  set line=
  for /f "delims=" %%a in ('find /v ""') do (
    call :join %%a
  )
  if "%line%" == "" goto :done
  echo %line%
endLocal

:done
  exit /b

:join
  if "%line%" == "" (
    set line=%*
  ) else (
    set line=%line% %*
  )

サブルーチンにして実装できたってことは、
:join 以降は call の時に即時展開されてることになる。
呼出元の状態によって %line% の値は決まる。
これこそ動的スコープだ。

ということは PowerShell と変わらんから、
:join をクロージャだと言っちゃうわけですね!?
きもーいっ

cmd.exe
> token | line

> token 1,2,3 | line
1 2 3

> token   hello   world!   "yeah!" | line
hello world! yeah!

これ、もう一度思い出して書けと言われたら無理。

puts:標準出力

puts.cmd
@echo off
call token %* | call line
exit /b
cmd.exe
> puts 1,2,3; zero=0 one="1" "two"=2
> 1 2 3 zero 0 one 1 two 2

> puts "Hello World!"
Hello World!

> puts   Hello   World!   "   yeah!"
Hello World! yeah!

= がデリミタ扱いされるのを、
バッチファイルだけでどうにかできないか数日考えたが、
「そこまでやるぐらいなら別言語使った方がよくない?」
となって諦めた。

それと Bash の echo の場合、
最後の出力の Hello World!yeah! の間には空白列が残り結合される。
これはどうなんだろ、どっちがいいのかなぁ。

次回

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