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ARTF / AdCP / UCP を技術視点で整理するエージェント広告の標準化最前線

Last updated at Posted at 2025-12-25

はじめに

AIエージェントが広告の買付・最適化を担う「Agentic Advertising」の流れが強まる中で、
広告取引の世界でも “共通言語” を作る動きが加速しています。

社内でディスカッションを進めるにあたり、視点を揃えるための材料になればという観点で、かんたんにまとめてみました。

エージェント広告の標準化

中心にあるのが、次の3つの仕様です。

  • ARTF(Agentic RTB Framework)
    RTBの 実行基盤 を再設計する
  • AdCP(Ad Content Protocol)
    広告プラットフォームを操作する 統一API
  • UCP(User Context Protocol)
    ユーザー文脈をエージェント間で共有するデータ形式

LLM / Agent によって「広告運用の自動化」が現実味を帯びてきましたが、

  • 各広告プラットフォームのAPIはバラバラ
  • データ表現も統一されていない
  • RTBはミリ秒単位で制約が厳しい

という課題があります。

そこで「制御 / データ / 実行」を分離して標準化しようというのが、これらの仕様の背景です。

ひとことで整理すると、以下のようなレイヤーになります。

  • AdCP (制御) = 「何をするか」 を伝える
    キャンペーン作成・入稿・配信・調整
  • UCP (データ) = 「何を知っているか」 を共有する
    ユーザー文脈・反応・意味的特徴
  • ARTF (実行) = 「どう速く動かすか」 を変える

何を解決しようとしているのか?

ARTF

ARTFの発想はとてもシンプルで、

RTBが遅い最大の理由は、サーバー間通信では?

という点に着目し

  • DSPやデータベンダーの機能(特徴量生成、スコアリング、不正検知など)をコンテナ化
  • SSPなどホスト側の 近辺で実行

という設計を取っています。

これにより、従来はRTB時間内に間に合わなかった処理重めの処理も、時間内に完了しやすくすることを目指しています。

AdCP

AdCPは、広告運用全体を

「エージェントが横断的に操作できる統一インターフェース」

として再定義しようとしています。

対象は RTB そのものではなく、

  • 計画
  • 入稿
  • 配信
  • レポート
  • 調整(予算移動・入札変更)

といった 運用フロー全体です。

ポイントは、個別プラットフォームAPIの差分を吸収し、広告運用フローをエージェント向けに揃えることです。

UCP

ユーザーの意図、状況、反応など文脈情報を、従来のID + 属性 + セグメントから一歩進めて

ベクトル表現

にしようとしています。 ベクトル(embedding)は以下の特徴があります

  • データ量が小さい
    多次元の特徴を数百次元に圧縮 → 通信・処理が軽い
  • 意味を保持できる
    単なるカテゴリではなく「近さ(類似)」として扱える
  • 推論と相性が良い
    内積 / コサイン類似度でマッチングが楽
  • プライバシーと折り合いを付けやすい
    生ログや生IDを出さず「要約」で共有できる

ビットリクエストにデータを載せすぎるとレスポンスが悪化したケースも見受けたりするので、ベクトルを共通言語にして会話するという世界観は、かなり現実的なアプローチだと感じています。

期待と違和感

ARTF

  • コンテナでデータを閉域に寄せる
  • 近接実行でレイテンシを削る

という思想自体は理解しつつ、個人的にはまだ 腹落ちしていない点 もあります。

  • どのくらいのデータをコンテナ内に持たせられるのか?
  • プラットフォーム側がコンテナを解析しない保証はどうするのか
  • 外部との通信はどこまで許容するのか / しない?
  • 判断材料となるコンテキストは、どこから持ってくるのか

このあたりは実装例や運用ガイドラインを含めて、もう少し Watch していきたいと思います。

AdCP

AdCPが充実していくことで、

  • 人の手による入稿
  • 人やAIが、UIをポチポチ操作する運用

から、エージェントによる入稿・調整が主流になる世界が現実に近づく、という期待があります。

結果として、より細かく、データを使った高速な最適化が進みやすくなると考えています。

UCP

弊社のように、データを保有する企業 にとっては、UCPはかなり興味を引く仕様です。

  • ビットリクエストにデータを全部載せない
  • ベクトルを共通言語として意味をやり取りする

という設計は、パフォーマンス、拡張性、プライバシーのバランスが取りやすいと感じています。

おわりに

ARTF / AdCP / UCP は、どれか1つが「勝つ」話ではなく、レイヤーごとに役割を分担する話だと捉えています。

実装・運用・ガバナンスの難しさはありますが、エージェント広告が本格化する中で、
避けて通れない標準群でもあると認識しています。

今後の実装例や実運用を引き続き注視していきます。

今年のインティメート・マージャーのアドベントカレンダーはいかがでしたでしょうか?

参加3年目も、エンジニア・ビジネス協力して、全日を埋めることができました。

少しでも弊社に興味をもってくれる人が増えたらうれしいです。

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