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「最近どう?」しか聞けなかった1on1で、メンバーが退職届を出してきた話

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はじめに

1年前、僕は週に1回、チームメンバー全員と1on1をやっていました。真面目にやってたつもりだったんですよね。でもある日、一番期待していたメンバーから退職の相談をされて、正直かなり動揺しました。
「1on1、ちゃんとやってたのに何で気づけなかったんだろう」って。
振り返ってみると、その1on1、質問のバリエーションがほぼゼロだったんです。毎回「最近どう?」「困ってることある?」しか聞いてなかった。今日はその失敗から学んだ、1on1で本当に聞くべきことについて書きます。

間違ったアプローチ: 「最近どう?」だけで済ませていた

当時の1on1はだいたいこんな感じでした。

自分: 最近どう?
部下: まあ普通です
自分: 困ってることある?
部下: 特にないです
自分: じゃあまた来週

これ、完全に事故ってますよね。質問が抽象的すぎるので、相手も答えを準備できないし、当たり障りのない返事しか返ってこない。しかも「困ってることある?」って聞かれて「実はあります」って即答できる人、そんなに多くないと思うんです。よほど信頼関係ができてるか、よほど限界が来てるかのどちらかじゃないと。
僕のチームの子は後者でした。限界に近づいていたのに、僕が聞き方を変えなかったせいで、シグナルを拾えなかったんです。
エリック・シュミットらが書いた『How Google Works』の中に、こんな話があります。

優れたマネージャーは、部下に「何を考えているか」を尋ねるのではなく、「何を観察したか」を尋ねる。抽象的な感情の質問は、抽象的な答えしか生まない。
まさにこれでした。「最近どう?」は抽象的な感情の質問そのものだったんです。

正しい理解: 1on1で聞くべき質問はこの3層構造

退職の相談を受けたあと、いろんな本を読み直したり、社内の他のマネージャーに聞いたりして、自分の中で質問を3層に整理し直しました。

ステップ1: 事実を聞く(観察可能なことから始める)

最初にやるべきは、感情ではなく事実を聞くことです。

NG: 最近どう?
OK: 今週やった作業の中で、一番時間を溶かしたのは何?
OK: 直近のタスクで、想定より時間がかかったところはどこ?

事実ベースの質問だと、相手は「答えを探す」というプロセスを経由せずに、記憶をそのまま話せます。ここで出てきた事実の中に、感情のヒントが埋まっていることが多いんですよね。

ステップ2: 感情を聞く(事実の後にセットで)

事実が出たら、そこに紐づく感情を聞きます。順番が大事で、感情を単独で聞くと抽象化されてしまうので、必ず事実のあとに聞きます。

OK: そのタスク、進めてるときどんな気持ちだった?
OK: それをやってて、楽しかった部分としんどかった部分ってどこ?

アンディ・グローブの『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』では、1on1の目的を「情報交換」と明確に定義していて、感情もその情報の一種として扱うべきだと述べられています。感情を聞くのは優しさのためだけじゃなくて、マネジメントに使う情報を集めるためなんです。

ステップ3: 将来を聞く(本人が言語化してない不満を拾う)

最後に、少し先の話を聞きます。これが一番重要で、僕が一番サボっていたところでした。

OK: 3か月後、今のチームでどんな仕事をしていたい?
OK: 今の仕事の進め方を1つだけ変えられるなら何を変える?
OK: このチームに1年後もいると想像したとき、しっくりくる?

最後の質問、正直かなり踏み込んでいます。でもこれくらい直接的に聞かないと、本人も「自分がこのチームにいたいのかどうか」を言語化する機会がないまま、モヤモヤだけが溜まっていくんですよね。
実際、退職を相談してきたメンバーに後から聞いたら「1年後もいると思うか、って聞かれたら多分そのタイミングで正直に話せてたと思う」と言われました。それを1年前に聞けていなかったのが、僕の一番の反省点です。

まとめると

1. 事実: 何が起きたか(観察可能な事実)
2. 感情: それについてどう感じたか(事実に紐づけて)
3. 将来: このまま続けたいと思えるか(踏み込んで聞く)

この順番で聞くようにしてから、1on1の質が明らかに変わりました。抽象的な相槌の会話から、具体的な話ができるようになったんです。

おわりに

1on1って「話を聞く場」だと思われがちですが、実際は「マネージャーが情報を集める場」でもあるんですよね。抽象的な質問しかしていないと、抽象的な情報しか入ってきません。それはマネージャー側の設計不足なんだと、今は思っています。
あの退職相談から1年経って、今のチームでは同じ失敗を繰り返さないよう、事実→感情→将来の順で聞くことを意識しています。まだ完璧じゃないですが、少なくとも「気づいたら退職届が出ていた」という状況は避けられるようになった気がします。
もし今、1on1で「最近どう?」しか聞いていない人がいたら、次の回だけでも質問を変えてみてください。きっと今まで見えていなかった何かが見えてくると思います。

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