Farnellの、業界リーダーへのインタビューシリーズ「Top Tech Voices」から、バイエルン応用科学大学のデジタルサイエンス、オートメーション、リーダーシップの教授ドミニク・ボゼル氏が語った「ロボット工学とIoTの未来」を、3つの記事で紹介します。今回はその第1回です。
インタビューは英語ですが、Youtubeの日本語字幕でご覧にいただくことができます。
ロボットが壊れなさすぎてAIが学べない?予知保全の意外な壁
「AIで予知保全を実現したい」
製造業に携わる方なら、一度は耳にしたことがあるフレーズではないでしょうか。しかし、実際にそれを実現しようとすると、思わぬ壁にぶつかることがあります。その一例を、ロボティクスと人間拡張の専門家であるドミニク・ボゼル氏が語ってくれました。彼は、ある大手ロボットメーカーが予知保全のソリューションを完成させるのに7年もかかったという、驚きのエピソードを紹介しています。
故障しないロボットが、AIの学習を妨げる
ボゼル氏によれば、予知保全のAIモデルを構築するには、当然ながら「故障のデータ」が必要です。しかし、産業用ロボットは非常に高い信頼性を持ち、めったに壊れないのです。
「ロボットが壊れなさすぎて、学習に必要なデータが集まらなかったのです。」
さらに、製造現場の企業が自社の設備データを外部に提供することに慎重であることも、データ不足に拍車をかけました。ようやくデータが集まっても、今度はデータの質が不十分で、AIモデルの訓練には使えない、そんな悪循環が続いたといいます。
安全性の高さが、逆に学習の障壁に
「安全性が高い=故障が少ない=学習データが得られない」という、予知保全における逆説的な課題です。AIは万能ではなく、「学習できるだけの質と量のデータ」があって初めて機能するという現実を、ボゼル氏は強調しています。
「技術者の能力が足りなかったわけではありません。ロボットが優秀すぎたのです。」
教訓:AI導入には「データ戦略」が不可欠
この話から得られる教訓は明確です。AIを導入する際には、「どんなデータが必要か」「それをどう集めるか」という視点を、プロジェクトの初期段階から持つことが不可欠です。特に予知保全のような分野では、「壊れたときのデータ」こそが最も貴重であり、それをどう確保するかが成功の鍵を握ります。
ボゼル氏の語る、人とロボットの協働、AIと現場のリアルなギャップは、技術者や企画担当者にとって多くの示唆を与えてくれます。次回の記事では、ボゼル氏が語った、目的なきテクノロジー導入の危うさについてご紹介します。お楽しみに!
また、さらに詳しくはインタビュー動画をご覧ください。
続きの、第2回はこちら。
このエピソードが語られた動画について
スピーカー: ドミニク・ボゼル(バイエルン応用科学大学のデジタルサイエンス、オー*トメーション、リーダーシップの教授)
案内役: ジョージア・ルイス・アンダーソン(AIコンテンツとプロンプト工学ストラテジスト)
この記事は、動画の内容を抜粋して記事化しています。動画からの抜粋にAIを使用しています。
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