0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

AIサーバーの電力供給は限界寸前?

0
Posted at

Farnellでは電子部品をeコマースで1個から販売しており、ロームの各種製品の価格、在庫状況ともにでいつでもご覧いただけます。


AIの進化とともに、データセンターの電力問題は急速に深刻化しています。特にGPUを大量に搭載したAIサーバーでは、消費電力の桁がこれまでとは明らかに異なってきています。いまや1ラックあたり100kWを超えるのが当たり前になりつつあり、将来はさらに大きな電力を扱う前提でインフラを考える必要があります。

ここで気になってくるのが、大きな電力をムダにせず、安心してサーバーまで届けるにはどうすればいいのか、という点です。

そこで今回は、ロームが公開しているホワイトペーパー「ロームのAIサーバー向け800VDC構成ソリューションについて」を手がかりに、AIサーバーの電力まわりで何が起きているのか、そしてどんな解決策があるのかを見ていきます。

なぜ従来の電源方式では足りないのか?

これまでのデータセンターでは、

  • 12V DC
  • 48V DC

といった比較的低い電圧でサーバーに電力を供給する方式が主流でした。

しかしAIサーバーでは消費電力が急増しており、低電圧のまま大電力を供給すると、

  • 電流が極端に大きくなる
  • ケーブルやバスバーでの電力損失(=ムダな熱)が増え、発熱しやすくなる(電流が大きいほど損失が増えるため。技術的にはI²R損失と呼ばれる)
  • 配線が太く・重くなり、スペースやコストの制約が顕在化

といった問題が一気に表面化します。この状況はすでにデータセンターの「限界」に近づいていることを示しています。

解決策としての「800VDC」

800VDCとは、約800Vの高電圧・直流(DC)で電力を配電するアーキテクチャです。同じ電力を送る場合、「電圧を上げると電流を下げられる」という基本原理により、

  • 電力損失の低減
  • 発熱抑制
  • 銅配線量の削減

が可能になります。これは単なる「電圧を上げる話」ではなく、AI時代の電源インフラを前提から設計し直す考え方だと位置づけられています。

電源構成も大きく変わる

800VDCを前提にすると、電源の置き方も変わります。

従来構成

  • AC/DC変換(PSU)はサーバーラック内
  • ラック内部が電源部で占有されやすい
  • 電源密度が上がるほど、熱の問題も深刻化

800VDC構成

  • AC/DC変換は専用の電源ラック(Power Source/サイドカーラック)
  • ITラック(IT Rack/サーバーラック)内には主にDC/DC変換のみ

800VDC構成では、AC/DC変換はITラックの外に切り出し、専用の電源ラックでまとめて行います。ITラック側では、主にDC/DC変換だけを行う形になります。

これにより、

  • ラック内の有効スペース拡大、冷却の向上
  • GPUなど計算リソースの高密度化
  • 電力変換や配電でのロス(発熱)を減らし、電力効率と将来的な拡張性を高めやすい

といったメリットが生まれます。

SiC・GaNが重要になる理由

800VDC構成では、扱う電圧・電力が大きくなるため、従来のシリコン(Si)デバイスだけでは効率やスイッチング性能に限界があります。
そこで登場するのが

  • SiC(シリコンカーバイド)
  • GaN(窒化ガリウム)

といったワイドバンドギャップ半導体です。

  • 電源ラック:高電圧・高効率が求められるAC/DC変換部ではSiC
  • ITラック:高電力密度・高速スイッチングが求められるDC/DC変換部ではGaN

それぞれの特長を活かして使うことで、システム全体として無理のない構成になります。

まとめ:800VDCはAIインフラの前提条件

800VDCは、まだ一部の先端的な取り組みに見えるかもしれません。しかしAIサーバーの電力需要を考えると、これは将来の理想ではなく、近い現実に備えるためのアーキテクチャです。

  • AIサーバーの電力需要は、従来の48V/12Vでは支えきれない
  • 800VDCは、効率・電力密度・将来拡張性を同時に満たす現実的な選択肢
  • パワー半導体(SiC・GaN)は、この構成を支える中核技術

AI時代のデータセンターを考える上で、800VDCは将来の話ではなく、すでに検討が始まっている「次の標準」と言えるでしょう。

AIデータセンターを支えるローム製品

最後に、AIサーバー向け800VDC構成に適した、ロームのパワー半導体の製品例をご紹介します。

電源ラック:AC/DC変換部・高電圧・高効率重視

SCT4013DRC15 800V級AC/DC向け高効率SiC MOSFET SCT4013DRHRC15 高放熱パッケージ採用の高効率SiC MOS SCT4018KRC15 1200V耐圧対応の高信頼SiC MOSFET

ITラック:DC/DC・高電力密度重視

SCT4018KRC15 1200V耐圧対応の高信頼SiC MOSFET GNP2025TD-ZTR 高速スイッチング対応GaNトランジスタ RS7P200BMTB1 低電圧・大電流対応MOSFET

それぞれのラックの回路方式(トポロジー)ごとの使い分けや、より網羅的な推奨品番リストはホワイトペーパー本編をご覧ください。


本記事は、ロームが公開しているホワイトペーパー「ロームのAIサーバー向け800VDC構成ソリューションについて」を参考にしています。より詳しい技術やデータは、ホワイトペーパー本編をご参照ください。

Farnellが取り扱うローム製品は、価格、在庫状況ともにFarnellのウェブサイトのロームページでいつでもご覧いただけます。

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?