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ZOZO推薦チームの2025年の振り返りと現状

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Last updated at Posted at 2025-12-24

株式会社ZOZO 推薦研究チームリーダーの @f6wbl6 です。この記事は「ZOZO Advent Calendar 2025」のカレンダー8の最終回(25日目)です。

この記事では昨年・一昨年の記事に引き続き、ZOZO の推薦チームで私とチームメンバーがこの一年、サービス面・組織面で取り組んできたものをいくつか取り上げたいと思います。昨年・一昨年の振り返りについては以下の記事を参照ください。

なおこの記事のタイトルは弊社 CTO 兼執行役員の @sonots が書いた以下の記事のオマージュです。

組織の変革

昨年まで ZOZO の推薦機能は「推薦基盤」というチーム一つで賄っていましたが、2025 年には「MA推薦」というマーケティングオートメーション関連の推薦・パーソナライズ施策を推進するチームが発足しました。

2024 年の推薦基盤の注力ポイントは ZOZOTOWN のホーム画面の改善でしたが、メルマガや LINE 配信の文脈でまだまだ改善の余地があるのに全く手が出せていない…という状況を打破するために新チームを生み出しています。

推薦基盤チームで全ての推薦・パーソナライズ機能を担う方向性もありますが、ホーム画面の改善と MA では性質が大きく異なります。ホーム画面ではプロダクト部門と密に連携しながら継続的な改善サイクルを回すのに対し、MA ではマーケティング部門と連携しながらキャンペーンごとの配信施策を推進する必要があります。
またリリースサイクルや KPI の設計、A/B テストの実施方法なども異なるため、一つのチームで両方を担うとコンテキストスイッチが頻発し、各施策への集中力が低下する懸念があります。
このような背景から、チームを分割する判断に至りました。

昨年の登壇では推薦システムの活用事例を紹介しており、ここで紹介した「ホーム面」と「MA」という機能に沿ってチーム構成が組まれたことになります。

実は 2024 年には「推薦研究」という推薦技術の研究開発を行うチームも立ち上げていたので、ZOZO における推薦チームはこの一年半で3つに分裂しています。

今もなお過渡期ではありますが、まずは各チームが自律的に動き事業貢献のスピードを上げることを優先しています。今後は各チームでの強みを活かし、チーム間でシナジーを生む体制も整えていく予定です。

モジュール並び順パーソナライズ機能の改善

2024年に ZOZOTOWN のホーム画面で「モジュールパーソナライズ」という機能をリリースし、モジュールに表示される商品のCTRを大きく改善した事例を紹介しました。

2025年にはこのパーソナライズ機能のさらなる精度改善に取り組み、CTRだけでなく、これまで改善が難しかった受注系指標についても向上させることができました。

この改善施策を皮切りに、これまでは売り上げの改善を至上命題としていましたが、「より多様な商品との出会いを届けてユーザー体験を改善する」という点にも注力する方針へシフトしました。この方針が以降の施策に影響を与えていきます。

なお、このパーソナライズ施策の副産物としてユーザーと商品の embedding が得られたため、この embedding を活用した施策に繋がっていきます。

モジュール内商品のパーソナライズ

「モジュールパーソナライズ」はモジュールの縦の並び順をパーソナライズする機能の名称で、こちらの施策はモジュールに表示される商品の並び順、つまり横の並び順をパーソナライズするものです。

この施策では前述したユーザー・商品の embedding と Google Cloud の Vertex AI Vector Search を使用しており、ユーザーごとに関連度が高いと考えられる商品を提示しています。

この施策でもモジュール経由の受注金額を大きく改善できたことで embedding の有用性・汎用性が示されることとなり、次の Embedding 基盤の構想に繋がっていきます。

Embedding 基盤の構築

前述のユーザーと商品 embedding を汎用資産として各種パーソナライズ施策で活用できるようにしたものが Embedding 基盤です。

Embedding 基盤は定期的な embedding の生成とバージョン管理、Vertex AI Vector Search へのインデキシングを行うための仕組みです。施策ごとに個別の推薦モデルを構築する必要がなくなり、新しい施策への導入コストと運用コストを大幅に削減できるようになりました。

全ユーザー x 全商品の関連スコアを手軽に計算できるのは大きなメリットですが、例えば全ての施策で単純なコサイン類似度を関連スコアとしてしまうと、どの施策でも同じ商品が推薦されてしまう…という事象に繋がってしまいます。

そこで施策ごとに、特定カテゴリへの絞り込みやビジネスルールに基づくフィルタリング、スコアの重み付け調整など、施策の目的に応じた独自のチューニングを行っています。これにより、同じ embedding を活用しながらも施策ごとに異なる推薦結果を提供できるようになっています。

また、こうした embedding はランキングモデルの特徴量などにも活用できるため、今後さらに多様なユースケースへの展開が期待できます。

ZOZOTOWN ホーム面の KPI 設計

これまでホーム画面の改善では短期的な売り上げを主要なKPIとしていましたが、長期的な顧客価値の向上を目指すKPI設計へと見直しを行いました。この取り組みは推薦基盤チームが主導しつつ、ビジネスサイドのメンバーを巻き込みながら進めました。エンジニアリングとビジネスの双方の視点を取り入れることで、より本質的な価値提供につながるKPIを設計できたと考えています。

OKR の運用

2024年から推薦基盤チームでは OKR を設定し運用を始めています。組織構造やプロジェクトの進め方によって KR(Key Results)の設定やそこへのアプローチ方法は変わるため、運用の難しさを感じる場面もありますが、チーム全体の目線合わせには非常に有用だと実感しています。実際にこの OKR という指針があったからこそ、前述の KPI 設計の見直しやモジュール内商品のパーソナライズ施策といった取り組みが生まれています。

今年の総括と今後の話

2025年は、ホーム画面での成功事例を一般化し、他の機能へパーソナライズ施策を広げていく足掛かりとなる一年でした。特に Embedding 基盤の構築により、新設された MA 推薦チームでもこの資産を活用できるようになり、事業貢献へのスタートダッシュを切る助けになったと考えています。

私個人としては今年から推薦基盤のリーダーではなく推薦研究チームのリーダーとして活動しています。推薦技術を軸にした研究開発に注力しており、例えば Embedding 基盤で使用しているモデルを最先端のものにアップデートしていくといった取り組みを進めています。

推薦機能を高速に導入できる地盤が整ったので、来年は UI の観点でも推薦・パーソナライズ機能を拡げていく計画をしています。新しい推薦 UI コンポーネントの開発を通じて、ユーザーにより良い体験を届けられるよう取り組んでいく予定なので、楽しみにしていてください。

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