そもそもAGIってなんだ?
直訳では"汎用人口知能"。つまり人間が出来ることだったらなんでもできる機械ということである。イメージはドラえもんであるかもしれないし、スカイネットかもしれないし、もしくは全知全能の神かもしれないが、おそらく完成したとしたら人間にとって空気のようなもの、つまりは普段は意識しないがそれなしでは生きられない存在になっているだろう。とりあえずは人間の知的活動は全てこのAGIに劣るということである。なぜなら機械は疲れることも死ぬこともないし生物の限界を遥かに超えた速さと量で情報を処理することができるからである。そんな存在が完成したら今人間が思い悩むようなことは全て解決してもうこの世界そのものが様々な宗教で想定されている"天国"つまり死ぬことも老いることもないし、欲しいものはなんでも揃っている世界になるんじゃないかと妄想してみるとなんだか人生をかけたくなってしまうんじゃないだろうか?神を信仰し、日々教えを守っている人々もこんな気持ちだったのではないかと思うと今AGIを目指す人々はある意味で聖職者と本質は同じかもしれない。
AGIをみんな目指しているのか
そんな夢のような話があるのであれば、中世のおそらく多くの人の生活の基盤に宗教があったように、AGIを人類全体で目指すことが現代人の常識になっても良さそうであるが、その気配は今のところない。それどころかそんなことを言っている人を身近ではみたことがないし、目指している人の方が稀であろう。せいぜいOpen AIやGoogle DeepMindをはじめとした超巨大な資本と設備を備えた集団くらいだろうか。そもそも何をしたらいいかわからないし、今あげた巨大集団に勝てる気がしないからである。そんなのを目指すより現実的な目標を追った方が個人にとっては合理的という訳である。ちなみに筆者は一応目指している。AGIの破片でも作れればいいなと思っているくらいであるし、今の研究は脇道に逸れてきてしまったがひと段落ついたらまたAGIの破片探しをしようと思っているところである。
いつになったら実現するのか
昨今のAIブームの影響なのか機械学習研究のtop canferenceは投稿される論文が激増している。しかしこれだけ多くの論文が投稿され、莫大な資金が投与され、世界中の才能が集結しているにも関わらずAGIはなかなか完成しない。 「さっさとしてくれよこっちだって寿命があるんだ」と言いたい人もいるだろう。そういう人は是非とも機械学習の研究をしているところ (特に国立情報学研究所) に寄付をするといい。もしかしたらその寄付が決め手であなたの寿命の最終日ギリギリに間に合うかもしれないからである。
とにかく今はまだ完成していないから頑張るしかないわけであるが、そもそも道はどれほど先まで続いているのか。ここが気になるところである。しかしそれはわからない。もしかしたら10年後にはあるかもしれないし100年経っても出来てないかもしれない。2045年には出来ているという予測もあるがあまり意味のない予測である。なんせいつ決め手になるようなモデルが登場するのかがわからないからである。
どうやったら完成するのか
こんな見出しにしておいてなんだが、普通にわからない。わかったらもう完成している。しかし今のAIで出来ないことのうちで重要そうだと思うものをいくつか挙げてみることにする。
open-worldでの因果推論
これはアブダクションと言ってもいいかもしれない。アブダクションとは今ある情報をもとに目の前の現象を説明するいい感じの仮説を提案することである。例えば高い山の上で貝殻の化石を見つけたらそこは昔は海の底だっただろうと過去の状況を推論することや、りんごが下に落ちる現象を見て全てのものは質量に応じて周りのものを引っ張っているという仮説を立てるなどだ。現在の因果推論は探索空間が決まっていて、全て自動でやってくれるわけではない。これには記号創発の問題や機械による最初の仮定の設定など多くの問題が絡んでいる。
フィジカルAI
これも重要だ。やはり現実世界に直接影響を及ぼすことが出来なければ物を作ったり作業をすることはできなし、『介入なくして因果なし』というように実際に実験や経験をもとにしてしか得られない情報もたくさんある。ちょうどこの記事を書いている少し前に世間で話題になったりしていたが本当にロボットがあらゆることをやってくれるようになるのはまだ先である。
重要性の判定
多くの仮説を生成してもらっても、実際にそれが現実世と食い違っていたり、検証不可能であったりしても意味がない。少なくとも最初はAGIにはしっかりと現実的な実験によって検証可能である仮説の提案や、与える影響が大きいような発明をたくさんしてくれることが期待されるわけなので、そのようなものを他のものと分けてもらう必要がある。しかしその重要性の判定や実験可能性の判定、既存の理論の覆し得るところとそうでないところの判定なども重要な課題である
演繹的処理と帰納的な処理の融合
今のLLMも昔に比べればハルシネーションは減った。しかしChat GPTやGenimiを使っているととってきている情報が古かったり、自信満々に間違ったことを言ったりする。Leanや知識グラフを用いて出力の正誤をチェックしたり強化学習を用いて思考の連載を精度高く行ったりすることでその融合の片鱗は見えるが、やはり今のLLMは人間のように"理性的"な思考を提供してくれない。
他にもこれらに劣らず重要で解決していない課題はたくさんあるが、とりあえず4つ挙げてみた。
このようにAGIの完成はまだ先が長そうであるが、いつかは完成するという確信だけはあるのでその瞬間が楽しみである。