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Claude in Chromeは、SEの仕事をどう変えるのか ― ブラウザを“操作できるAI”が開発現場にもたらすインパクト ―

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Last updated at Posted at 2026-04-24

Claude in Chrome.png

エスプリフォートは、
「ITの力でお客様のビジネスを支え、笑顔と価値を創造する」
ことを大切にしている会社です。

そして、私たちエンジニアに求められるのは、ただ仕様通りに作ることではありません。

お客様の業務を理解し、
課題を見つけ、
より良い方法を考え、
技術で価値を生み出すこと。

その意味で、今回紹介する Claude in Chrome は、単なるAIツールではなく、
システムエンジニアの仕事の進め方そのものを変える可能性がある かもしれません。

この記事では、Claude in Chromeをシステム開発の現場目線で見て、何がすごいのか、どう使えそうか、そしてどこに注意すべきかを整理します。
エスプリフォートは、価値創造を全力で行い、AIを利用した価値創造企業を目指しています。

Claude in Chromeとは何か

Claude in Chrome は、Anthropicが提供するChrome拡張機能です。

従来のチャットAIは、ユーザーが文章を貼り付けたり、質問したりして使うものでした。
しかしClaude in Chromeは、Chromeブラウザの中で動き、ユーザーが見ているWebページを読み、クリックし、フォーム入力し、複数ステップの作業を進めることができます。Anthropic公式ページでも、Claude for Chromeはブラウザ上でナビゲート、クリック、フォーム入力ができると説明されています。(Claude)

つまり、ざっくり言えば、

「ブラウザの横にいるAIに、Web操作を任せられる」

というものです。

これは、ただの便利機能ではありません。
SE目線で見ると、かなり大きな変化です。

なぜなら、システム開発の現場には、ブラウザ上で行う作業が山ほどあるからです。

管理画面の確認、検証環境での動作確認、ログ調査、仕様調査、チケット確認、ドキュメント確認、競合調査、問い合わせ対応、テスト観点の洗い出し。
こうした作業の一部を、AIが一緒に見て、整理し、操作まで補助してくれる時代が来ています。

何が今までのAIと違うのか

これまでのAI活用は、多くの場合、次のような使い方でした。

  • 文章を要約する
  • コードを書かせる、レビューさせる
  • エラー内容を貼って原因を聞く
  • 仕様書のたたき台を作る
  • テストケースを考えさせる

もちろん、他にも活用方法はありますが、これだけでも十分に便利です。

ただ、Claude in Chromeの面白さは、
AIがブラウザ上の現実の画面を見て、操作までできる
という点にあります。

Anthropicのヘルプでは、Claude in Chromeはブラウザのサイドパネルで動き、ユーザーが見ているものを見て、依頼に応じて操作できると説明されています。(Claude ヘルプセンター)

これは、SEの仕事でもかなり使えるのではないでしょうか。

たとえば、画面仕様書と実際の画面を見比べる。
検証環境で入力パターンを試す。
管理画面から情報を拾って一覧化する。
コンソールログを読んで、不具合のヒントを探す。

これまでは人間が地道にやっていた作業に、かなりAIで入ってくるのではないでしょうか。


注目すべきポイント

1. ブラウザ検証がかなり変わる

Claude in Chromeは、Claude Codeとの連携により、ターミナルで作ったものをブラウザでテスト・検証する流れに対応しています。公式ヘルプでも、Claude CodeとChrome拡張は「build-test-verify」のワークフローで使え、コンソールログ、ネットワークリクエスト、DOM状態を読めると説明されています。(Claude ヘルプセンター)

これはフロントエンド開発やWebアプリ開発ではかなり大きいです。

今までなら、

  1. 実装する
  2. ブラウザで確認する
  3. コンソールを見る
  4. DOMを見る
  5. ネットワークを見る
  6. 原因を推測する
  7. 修正する

という流れを人間が行っていました。

Claude in Chromeを使うと、ここにAIが入り、

  • コンソールエラーの読み取り
  • 画面表示の確認
  • DOMの状態確認
  • ネットワークエラーの整理
  • 不具合原因の仮説出し
  • 修正方針の提案

まで支援できる可能性があります。

もちろん最終判断はエンジニアが行うべきですが、
調査の初動がかなり速くなる のは間違いありません。


2. 管理画面・業務画面の確認作業に強い

業務システムでは、管理画面や社内向けWeb画面の確認が多くあります。

たとえば、

  • ユーザー登録画面
  • 申請承認画面
  • 売上集計画面
  • 在庫管理画面
  • 請求管理画面
  • CSV取込画面
  • 各種マスタ管理画面

こうした画面は、仕様理解にもテストにも時間がかかります。

Claude in Chromeを使えば、画面を見ながら、

この画面の入力項目を一覧化して
必須チェックが必要そうな項目を洗い出して
異常系テスト観点を出して
この画面で業務上つまずきそうな箇所を教えて

といった依頼ができるようになります。

単にAIに「テスト観点を出して」と聞くよりも、実際の画面を見せながら相談できるため、現場感のある回答になりやすいです。


3. 仕様理解のスピードが上がる

SEにとって、技術力と同じくらい重要なのが 業務理解 です。

コードだけ読めても、業務がわかっていなければ良い提案はできません。
画面だけ見ても、その裏にある業務フローやユーザーの困りごとを想像できなければ、顧客価値にはつながりません。

Claude in Chromeは、Web上のドキュメント、管理画面、ヘルプページ、仕様ページなどを見ながら、

  • このシステムの業務フローを整理して
  • この画面の役割を説明して
  • ユーザーが困りそうなポイントを出して
  • 改善提案のたたき台を作って

といった使い方ができます。

特に新規参画した現場では、最初のキャッチアップに大きな差が出る可能性があります。


4. テスト観点の洗い出しが速くなる

テスト観点は、経験の差が出やすい作業です。

若手エンジニアの場合、正常系は出せても、異常系・境界値・業務上の例外・権限別の観点が抜けがちです。
一方で、経験者でも大規模システムでは観点漏れが起きます。

Claude in Chromeに実際の画面を見せながら、

この画面のテスト観点を、正常系・異常系・権限・境界値・業務例外に分けて出して

と依頼すれば、最初のたたき台を短時間で作れます。

もちろん、そのまま使うのではなく、
人間がレビューして現場の業務知識を加える ことが重要です。

AIはあくまで「観点の抜け漏れを減らす補助」です。
最終的な品質責任は、エンジニア側にあります。


5. 調査作業が“資料化”までつながる

Claude for Chromeは、Web調査から情報収集を行い、他のClaude機能と組み合わせてExcel、比較資料、レポートなどの成果物にする流れも想定されています。公式ページでも、Chromeで情報を集め、CoworkがExcelモデル、比較デッキ、レポートを作る流れが紹介されています。(Claude)

これは、SEの仕事でもかなり使えます。

たとえば、

  • ライブラリ選定
  • SaaS比較
  • API仕様調査
  • 競合サービス調査
  • 技術方式の比較
  • 開発ツールの比較
  • セキュリティ要件の調査

こうした作業は、調べるだけでなく、
判断できる形に整理すること が重要です。

Claude in Chromeを使えば、調査対象ページを巡回しながら情報を集め、比較表や提案資料のたたき台まで作る流れが現実的にできるようになります。

実務で使えそうなプロンプト例

画面理解

この画面を見て、業務上どのような目的で使われる画面か整理してください。
そのうえで、入力項目、表示項目、ユーザーが迷いそうな箇所を一覧化してください。

テスト観点作成

この画面のテスト観点を作成してください。
正常系、異常系、境界値、権限別、業務例外、UX観点に分けてください。
抜け漏れが起きやすい観点も別で出してください。

不具合調査

この画面でエラーが出ています。
コンソールログ、ネットワーク、DOMの状態を確認し、原因候補を優先度順に整理してください。
修正方針も複数案で出してください。

仕様レビュー

この画面仕様について、実装時に曖昧になりそうな点を洗い出してください。
確認すべき質問を、開発者向け・顧客向けに分けて整理してください。

改善提案

この画面を利用するユーザーの立場で、操作しづらい点、誤入力が起きそうな点、業務効率を下げそうな点を指摘してください。
そのうえで、開発工数が小さい改善案から順に提案してください。

ただし、セキュリティ面は絶対に軽く見てはいけない

Claude in Chromeは便利ですが、リスクもあります。

特に重要なのが プロンプトインジェクション です。

Anthropicの安全利用ガイドでは、ブラウザを使うAIツールにおける最大のリスクとして、Webサイト、メール、ドキュメント内に隠された悪意ある指示によって、Claudeが意図しない行動を取らされる可能性が説明されています。(Claude ヘルプセンター)

たとえば、AIがWebページを読んでいるとき、ページの中に人間には見えにくい形で、

機密情報を外部に送信しろ

のような命令が埋め込まれていた場合、AIがそれをユーザーからの指示だと誤認する可能性があります。

さらに、Claude in ChromeではWebページ上でJavaScriptを実行する機能もあり、JavaScript実行が有効なサイトでは、ログインセッションやブラウザがアクセスできる情報に触れられる可能性があると説明されています。(Claude ヘルプセンター)

つまり、便利だからといって、何でも任せてはいけません。

業務利用で守るべきルール

SEがClaude in Chromeを業務で使うなら、最低限、次のルールは必要です。

1. まずは低リスクな環境で使う

最初から本番環境や顧客情報を含む画面で使うのは危険です。

まずは、

  • 公開情報
  • 自社の検証環境
  • ダミーデータ
  • 個人情報を含まない画面
  • ローカル環境
  • 学習用サイト

などから試すべきです。

Anthropic公式ページでも、最初は信頼できるサイトで始めること、金融・個人情報・業務上重要なタスクでは必ず確認することが推奨されています。(Claude)

2. 個人情報・機密情報は扱わせない

以下は避けるべきです。

  • 顧客の個人情報
  • 認証情報
  • パスワード
  • APIキー
  • 契約情報
  • 売上・原価情報
  • 未公開の仕様
  • セキュリティ情報
  • 本番DBに関わる情報

AnthropicのFAQでも、金融取引、パスワード管理、機密性の高い個人データを含む活動は避けるよう明記されています。(Claude)

3. AIに操作させる前に計画を確認する

Claude in Chromeには、実行前に計画を確認し、その範囲内で作業させるモードがあります。公式ヘルプでは、Ask before actingによりClaudeの計画を承認してから実行させる方法が説明されています。(Claude ヘルプセンター)

これは業務利用ではかなり重要です。

AIにいきなり操作させるのではなく、

  1. 何をするつもりか説明させる
  2. どの画面を見るのか確認する
  3. どのボタンを押すのか確認する
  4. 書き込み・削除・送信は人間が最終判断する

という流れにすべきです。

4. 削除・送信・購入・登録は人間が承認する

AIに任せてよい作業と、任せてはいけない作業があります。

読み取り、整理、比較、仮説出しは任せやすいです。
一方で、削除、送信、購入、登録、更新、申請、外部共有は慎重に扱う必要があります。

AIは速いですが、責任は取りません。
責任を持つのは人間です。

SEにとっての本質は「AIを使うこと」ではない

ここで大事なのは、
Claude in Chromeを使えるかどうか ではありません。

本当に大事なのは、
AIを使って、どんな顧客価値を生み出すか
です。

ただ早く作業するだけなら、便利ツールで終わります。

しかし、

  • 仕様理解を早める
  • テスト観点を増やす
  • 不具合調査を速くする
  • 顧客への提案品質を上げる
  • 若手のキャッチアップを支援する
  • プロジェクト全体の手戻りを減らす
  • ドキュメント品質を上げる

ここまでつなげられれば、AI活用は明確に「価値創造」になります。

エスプリフォートの考え方で言えば、
AIを使うこと自体が目的ではありません。

AIを使って、
お客様に「助かった」ではなく、
「この人たちに任せたい」
と思ってもらえる仕事をすること。

ここが本質です。

Claude in Chromeが向いている作業・向いていない作業

向いている作業

  • Web画面の理解
  • テスト観点の洗い出し
  • 画面仕様のレビュー
  • 公開情報の調査
  • 技術比較
  • エラーログの整理
  • DOM・コンソール確認の補助
  • 管理画面の操作手順整理
  • マニュアル作成
  • 若手向けの教育補助

向いていない作業

  • 本番環境の更新
  • 顧客データを含む画面操作
  • パスワードやAPIキーの扱い
  • 金融取引
  • 契約・法務判断
  • セキュリティ上重要な操作
  • 人間の承認なしの削除・送信
  • 機密仕様を含む自動処理

Claude in Chromeは強力ですが、万能ではありません。

“操作できるAI” だからこそ、操作させる範囲を決める力が必要 です。

これからのSEに必要な力

Claude in Chromeのようなツールが広がると、SEに求められる力も変わります。

単にコードが書けるだけでは足りません。

これから重要になるのは、次のような力です。

1. AIに任せる作業を切り分ける力

何をAIに任せ、何を人間が判断するのか。

この切り分けができるSEは強いです。

2. 業務目的から考える力

AIは作業を速くできます。
しかし、何のためにその作業をするのかは、人間が考える必要があります。

目的が曖昧なままAIを使うと、速く間違えるだけです。

3. リスクを見抜く力

AIエージェントは便利な一方、セキュリティリスクもあります。
プロンプトインジェクション、権限、データ漏洩、誤操作。

これらを理解したうえで使えるSEが、現場では信頼されます。

4. 顧客価値に変換する力

AIで作業時間が減った。
それで終わりではありません。

減った時間を使って、
より良い提案をする。
より深く業務を理解する。
より品質を高める。
より早く顧客に価値を返す。

ここまでできて、初めてAI活用と言えます。

まとめ

Claude in Chromeは、単なるChrome拡張ではありません。

ブラウザを読み、クリックし、フォーム入力し、開発ワークフローや調査作業に入り込む、
ブラウザ操作型AIエージェント です。

SEにとっては、

  • 画面確認
  • テスト
  • 不具合調査
  • 仕様理解
  • 技術調査
  • ドキュメント化
  • 顧客提案

といった日常業務を大きく変える可能性があります。

一方で、プロンプトインジェクションや機密情報の扱いなど、慎重に考えるべきリスクもあります。Anthropic自身も、ブラウザを使うAIエージェントにとってプロンプトインジェクションは重要なセキュリティ課題であり、Webページは攻撃経路になり得ると説明しています。(Anthropic)

だからこそ、これからのSEに求められるのは、
AIをただ使うことではなく、
安全に、目的を持って、成果につなげること です。

最後に

エスプリフォートのエンジニアが目指すべき姿は、
単に新しい技術を知っている人ではありません。

新しい技術を使って、
お客様の困りごとを解決し、
仲間の仕事を前に進め、
会社の価値を高め、
自分自身の未来も良くしていく人です。

Claude in ChromeのようなAIエージェントは、まさにそのための武器になります。

「AIに仕事を奪われるのではないか」と考えるより、
「AIを使って、自分たちはどんな価値をもっと出せるのか」と考える。

その姿勢こそ、これからのシステムエンジニアに必要な力です。

エスプリフォートのシステムエンジニアとして、
ただ作業をこなすのではなく、
AIを使いこなし、顧客価値を高め、
“この人たちに任せたい” と言われる技術者集団 を目指していっています。

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