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実習ROS 2 URDFを記述する1

Last updated at Posted at 2024-07-11

環境

本記事は以下の環境を想定して記述している。

項目
OS Ubuntu 22.04
ROS ROS 2 Humble

概要

この記事では、ロボットの構造を記述するための書式であるURDF(Unified Robot Description Format)の概要を説明する。ごく簡単なURDFファイルを作成したのち、作成したURDFをRVizで可視化する。
この記事は、ROS 2公式チュートリアルを参考に、ROS講座13 URDFを記述する1の内容をROS 2対応させたものである。

URDFとは

URDFはロボットの構造を記述するためのフォーマットである。URDFでは、ロボットの構造をリンクとジョイントの2種類の要素を使って表現する。リンクとはロボットの駆動しない1ブロックを指し、ジョイントはリンクとリンクをつなぐ関節部にあたる。例えば以下の図では、4つのリンクと3つのジョイントを持つロボットを表している。

ROS Wikiより引用

リンク、ジョイントはそれぞれ以下のような要素を持つ

  • リンク
    • 見た目  :色や形など
    • 衝突判定 :衝突判定を持つ範囲やその形状など
    • 物理特性 :重さ、イナーシャ(慣性)など
  • ジョイント
    • 種類   :固定ジョイント、回転ジョイントなど
    • オプション:回転軸の方向、移動量の限界値など
    • 親子関係 :親リンク、子リンク

URDFで記述されたロボットは、ジョイントに設定した親子関係に基づいて、木構造を持つ。上記の図の木構造はこのようになる。

リンク1
  ├──────────┐
リンク3       リンク2
  │   
リンク4

なお、木構造を持つURDFの特性上、閉ループ構造を持つロボット(パラレルリンクロボットなど)は記述できない。

ROS 2パッケージの実装

urdf1というパッケージを作成し、作成したパッケージ内にsimple_urdf1.urdfというURDFファイルを作成する。URDFファイルは、/urdf/以下に作成する。したがって、ディレクトリ構成は以下の形となる。
includeディレクトリおよびsrcディレクトリはパッケージ作成時に自動生成される。この記事の範囲ではこれらのディレクトリを使用しないため、GitHub上のサンプルには含まない。

urdf1
├── CMakeLists.txt
├── include
│   └── urdf1
├── package.xml
├── urdf           #新規作成
│   └── simple_urdf1.urdf
└── src

ROS 2パッケージの作成

パッケージurdf1を作成する。このチュートリアルは、Pub&Sub通信を実行していることを前提に、Pub&Sub通信のチュートリアルで作成したワークスペースros2_lecture_wsを利用する。
本記事の後半では、RVizを使用してURDFを可視化する。その際にurdf_launchパッケージを使用するため、urdf_launchパッケージへの依存関係をコマンドで指定する。

cd ~/ros2_lecture_ws/src
ros2 pkg create urdf1 --build-type ament_cmake --dependencies urdf_launch

URDFファイルの作成

以下のコマンドでurdfディレクトリを作成する。

cd ./urdf1
mkdir urdf && cd urdf

作成したディレクトリ内にsimple_urdf1.urdfを作成し、以下の通り記載する。

<robot name="test_robot">
  <link name="base_link">
    <visual>
      <geometry>
        <box size="0.3 0.3 0.2"/>
      </geometry>
      <origin xyz="0 0 0" rpy="0 0 0"/>
      <material name="red">
        <color rgba="1.0 0.0 0.0 1.0"/>
      </material>
    </visual>
  </link>

  <link name="body_link">
    <visual>
      <geometry>
        <box size="0.1 0.1 0.3"/>
      </geometry>
      <origin xyz="0 0 0.15" rpy="0 0 0"/>
      <material name="green">
        <color rgba="0.0 1 0.0 1.0"/>
      </material>
    </visual>
  </link>

  <joint name="body_joint" type="fixed">
    <parent link="base_link"/>
    <child  link="body_link"/>
    <origin xyz="0 0 0.1"/>
  </joint>
</robot>

simple_urdf1.urdf

URDFファイルの書式の説明

simple_urdf1.urdfで使用したURDFの記法を説明する。より詳しく知りたい場合は、ROS 2公式チュートリアル:Building a visual robot model from scratchや、ROS公式ドキュメントなどを参照すると良い。

  • <robot>タグ
    • name=xxxでロボットの名前を設定する
    • このタグ内にリンクやジョイントの情報を記述する
    • <link>タグ
      • name=xxxでリンクの名前を記述する
      • このタグ内にリンクの見た目や衝突判定、物理特性を記述する
      • <visual>タグ
        • このタグ内にリンクの見た目を記述する
        • <geometry>タグ
          • <visual>の形状と大きさを記述する
          • 形状は、箱型(box)や球(shpere)、円柱(cylinder)などが利用できる
          • 大きさの単位は[m]を使用する
          • 大きさの記述方法は形状により異なる
            • 箱型:xyzの順で辺の長さを指定する(以下は辺の長さが1mの箱型の例)
              <box size="1 1 1"/>
            • 球:半径を指定する(以下は半径が1mの球の例)
              <sphere radius="1"/>
            • 円柱:高さと半径を指定する(以下は高さ1m、半径1mの円柱の例)
              <cylinder length="1" radius="1"/>
        • <origin>タグ
          • リンクの座標系に対する<visual>中心までの相対位置と相対角度を指定する
          • 位置の単位は[m]で、xyzの順で指定する。
          • 回転角の単位は[rad]で、rpyの順で指定する
        • <material>タグ
          • name=xxxでmaterialの名前を設定する
          • このタグ内にリンクの色やテクスチャを記述する
          • <color>タグ
            • リンクの色を記述する
            • 色の指定には、rgbaを用いる
            • aはアルファ値(透明度)で、0のときに透明に、1のとき不透明になる
    • <joint>タグ
      • name=xxxでジョイントの名前を、Type=xxxでジョイントの種類を指定する
      • このタグ内にジョイントのオプションや親子関係を記述する
      • <parent>タグ
        • 親リンクを記述する
      • <child>タグ
        • 子リンクを記述する
      • <origin>タグ
        • 親リンクを基準とした子リンクの相対位置を指定する

simple_urdf1.urdfの説明

  <link name="base_link">
    <visual>
      <geometry>
        <box size="0.3 0.3 0.2"/>
      </geometry>
      <origin xyz="0 0 0" rpy="0 0 0"/>
      <material name="red">
        <color rgba="1.0 0.0 0.0 1.0"/>
      </material>
    </visual>
  </link>

このブロックでは、base_linkという名前のリンクを作成している。base_linkはロボットの位置を表す基準となるリンクである。
<geometry>タグを使って、x軸方向に0.3、y軸方向に0.3、z軸方向に0.2の大きさの箱型(box)を指定している。また、<origin>タグでリンクの基準位置から箱型までの相対位置を指定している。相対位置の指定がxyz="0 0 0"のため、リンクの基準位置と箱型の中心が一致する。
<material>タグではredという名前を付けて、リンクの色を赤色に設定している。

  <link name="body_link">
    <visual>
      <geometry>
        <box size="0.1 0.1 0.3"/>
      </geometry>
      <origin xyz="0 0 0.15" rpy="0 0 0"/>
      <material name="green">
        <color rgba="0.0 1 0.0 1.0"/>
      </material>
    </visual>
  </link>

このブロックでは、body_linkという名前のリンクを作成している。
<geometry>タグを使って、x軸方向に0.1、y軸方向に0.1、z軸方向に0.3の大きさの箱型を指定している。また、<origin>タグでリンクの基準位置から箱型までの相対位置を指定している。相対位置の指定がxyz="0 0 0.15"のため、z軸方向に0.15m移動した位置に箱型の中心が位置する。<material>タグではgreenという名前を付けて、リンクの色を緑色に設定している。

  <joint name="body_joint" type="fixed">
    <parent link="base_link"/>
    <child  link="body_link"/>
    <origin xyz="0 0 0.1"/>
  </joint>

このブロックでは、body_jointという名前のジョイントを記述している。ジョイントの種類には、駆動しないジョイントであるfixedを指定している。
<parent>タグで親リンクをbase_linkに、<child>タグで子リンクをbody_linkに設定している。<origin>タグで、親リンクを基準とした、子リンクの相対位置を設定している。

パッケージのビルド

CMakeLists.txtに以下の内容を追記する。

# install urdf files
install(
  DIRECTORY
  urdf
  DESTINATION share/${PROJECT_NAME}/
)

CMakeLists.txt

以下のコマンドを実行し、作成したパッケージの依存関係を解決する。
URDFファイルのチェックおよび可視化に利用するパッケージがインストールされる。
urdf_launchパッケージが依存するパッケージ(urdfdomパッケージなど)がインストールされていない場合も、上記のコマンドでまとめてインストールされる。

sudo rosdep init
rosdep update
rosdep install --from-paths ~/ros2_lecture_ws/src/urdf1

作成したパッケージをビルドする。

cd ~/ros2_lecture_ws
colcon build --packages-select urdf1

作成したURDFのチェックと可視化

URDFファイルのチェック

作成したURDFが正しく記述できているか、"check_urdf"というツールで確認できる。check_urdfは以下のコマンドで使用する。

check_urdf ./src/urdf1/urdf/simple_urdf1.urdf

すると以下のような結果が表示され、URDFが正しく記述できていることを確認できる。

robot name is: test_robot
---------- Successfully Parsed XML ---------------
root Link: base_link has 1 child(ren)
    child(1):  body_link

記述が正しくないときは、エラー情報が表示される。例えば<robot name="test_robot">と最終行の</robot>をコメントアウトすると、以下のように表示される。

Error:   Could not find the 'robot' element in the xml file
         at line 80 in /tmp/binarydeb/ros-humble-urdfdom-2.3.3/urdf_parser/src/model.cpp
ERROR: Model Parsing the xml failed

しかし、このツールでは検出できないミスも多い。例えば、""のような綴りミスは検出できない。このようにミスを含むURDFをRVizで表示すると、ミスのある行は無視され、``にはデフォルトの値(xyz="0 0 0" rpy="0 0 0")が反映されるため、意図した形状のURDFが表示されない。

RVizでURDFの可視化

作成したURDFをRVizで可視化する。RVizの起動にはurdf_launchパッケージのdisplay.launchというlaunchファイルを使用する。なお、launchファイルの内容はこの記事では取り扱わない。
ディレクトリros2_lecture_ws/src/urdf1から以下のコマンドを実行し、URDFを可視化する。このコマンドでは、launchファイルのパラメータに作成したURDFファイルのパッケージおよびパッケージ内の配置場所を指定し、launchファイルを起動している。

. install/setup.bash
ros2 launch urdf_launch display.launch.py urdf_package:=urdf1 urdf_package_path:=urdf/simple_urdf1.urdf 

なお、RVizの画面上に正常に表示されないときは以下の2点を確認する。

  1. 左側の"Displays"欄の"Fixed Frame"に"base_link"が指定されていること
  2. "Robot_model"にチェックが入っていること

RViz_display

RViz上では2つの座標軸が表示されている。それぞれの座標軸は、URDFで定義したbase_linkbody_linkの2つのリンクの座標軸を表す。ジョイントで指定した位置(base_linkからz軸方向に0.1m移動した点)に、body_linkが位置する。また、base_linkの座標軸を中心とした赤色の箱型と、body_linkからz軸方向に0.15mの点を中心とした緑色の箱型の2つが表示されている。

参考

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