WSLのAlmaLinuxでSFTP putが遅い時の解決策

※ この記事は、Claude sonnetが100%書きました。

問題の概要

WSL2環境でAlmaLinuxを使用していると、SFTPでのファイル転送（特にputコマンド）が異常に遅くなることがあります。数百MBのファイルが数十KB/sでしか転送されない、といった症状です。

原因

WSL2のネットワーク仮想化層とAlmaLinuxのデフォルト設定により、以下の問題が発生します：

• IPパケットのQoS設定が最適化されていない
• TCP/IPスタックの設定がファイル転送に適していない
• ネットワークバッファサイズが小さすぎる

解決策

1. SSH設定でIPQoSを最適化

~/.ssh/configに以下を追加します：

Host *
    IPQoS throughput
    Compression yes
    TCPKeepAlive yes
    ServerAliveInterval 60

IPQoS throughputの効果：

• パケットをスループット重視モードに設定
• ネットワーク機器に「大容量データ転送用」と指示
• 遅延よりも帯域幅を優先

2. SFTPコマンドのオプション調整

# バッファサイズと同時リクエスト数を最適化
sftp -C -B 262144 -R 16 username@hostname

# 圧縮を無効化する場合（既に圧縮されたファイルなど）
sftp -o "Compression=no" -B 262144 -R 16 username@hostname

3. システムレベルのTCP設定調整

# /etc/sysctl.confに追加
sudo tee -a /etc/sysctl.conf << EOF
net.core.rmem_max = 134217728
net.core.wmem_max = 134217728
net.ipv4.tcp_rmem = 4096 87380 134217728
net.ipv4.tcp_wmem = 4096 65536 134217728
net.ipv4.tcp_window_scaling = 1
EOF

# 設定を反映
sudo sysctl -p

設定例

完全な~/.ssh/config設定例

# ファイル転送用サーバー
Host fileserver
    HostName your-server.com
    User username
    Port 22
    IPQoS throughput
    Compression yes
    TCPKeepAlive yes
    ServerAliveInterval 60
    ServerAliveCountMax 3
    Ciphers aes128-ctr,aes192-ctr,aes256-ctr
    MACs hmac-sha2-256,hmac-sha2-512

# すべてのサーバーに適用
Host *
    IPQoS throughput
    Compression yes
    TCPKeepAlive yes

使用例

# 設定後の転送コマンド
sftp -C -B 262144 fileserver
sftp> put large_file.zip

効果の確認

設定前後の速度比較

# テスト用ファイル作成
dd if=/dev/zero of=test_100mb.bin bs=1M count=100

# 設定前
time sftp username@hostname <<< "put test_100mb.bin"

# 設定後
time sftp -C -B 262144 username@hostname <<< "put test_100mb.bin"

期待される改善

• 設定前: 50-100 KB/s
• 設定後: 10-50 MB/s（環境により異なる）

代替案

rsyncを使用する場合

# SFTPより高速な場合が多い
rsync -avz --partial --progress -e "ssh -C -o IPQoS=throughput" file username@hostname:/path/

並列転送

# 複数ファイルを並列転送
find . -name "*.zip" | parallel -j 4 scp -C -o IPQoS=throughput {} username@hostname:/path/

注意点

1. ネットワーク環境に依存：企業内ネットワークなどQoS対応環境で効果が高い
2. 暗号化のオーバーヘッド：非常に高速なネットワークでは暗号化処理がボトルネックになる場合がある
3. ファイルサイズ：小さなファイルでは効果が限定的

トラブルシューティング

SELinuxの影響確認

# SELinuxが影響している場合
getenforce
sudo setenforce 0  # 一時的に無効化してテスト

firewalldの影響確認

# firewalldが影響している場合
sudo systemctl status firewalld
sudo systemctl stop firewalld  # 一時的に停止してテスト

まとめ

WSLのAlmaLinuxでSFTP転送が遅い場合、IPQoS throughput設定が最も効果的な解決策です。これにより、ネットワーク機器にスループット重視の処理を指示し、大幅な速度改善が期待できます。

設定は簡単で副作用も少ないため、WSL環境でのファイル転送に困っている方はぜひ試してみてください。